【ブログ】清水 淳さん「狭山丘陵はなぜ守られたのか」(スマガク)

私事で恐縮ながら、2026年のお盆過ぎは2年ぶりに岡山、徳島に帰省して墓参りなど。
 熊本、千葉などで被災されている方には申し訳ないことながら、ゆったりとした時間を過ごさせて頂きました。

写真は大鳴門橋と鬼ノ城(岡山・総社市)。

リフレッシュして帰京した翌日・8月22日(土)の午後は、スマガク企画「地域で活躍!あの人に聞く」に参加。
 主催のNPO法人PAGE2は、東京・東村山市を中心に「こもの雑貨市」や映画上映会等を実施している市民グループ。この日のゲストは、北川かっぱの会代表の清水 淳さんです。

 会場は東村山市中央公民館の会議室。生憎の悪天候で参加者は20名弱と少なめです(開催中、ものすごい豪雨となりました。全国的に気候が不安定です)。

スライドを用いてお話して下さいました。ダイジェスト版は手元に配って下さっています
(なお、以下の文責はすべて中田にあります)。

 清水さんは1955年東村山市生まれ。3代続く「土着民」とのことですが、生家は現在は、東京都に上水道を供給する村山貯水池(多摩湖)の湖底だそうです。
 転勤族だったのが40歳頃に市民活動に参加するようになり、地元にとんでもなく元気な方たちがいることを知り、定年後には大学院でも学びつつ市民活動に関わってこられたそうです。

清水さんによると、狭山丘陵の保全を巡る市民活動は、対抗の時代、市民協働模索の時代、持続可能性追求の時代に大きく分けられるとのこと。

公害問題を受けての1970年代の対抗(バトル)の時代には、早稲田大学進出など開発から狭山丘陵を守っていくために複数の団体が連携して立ち上がり、行政への提言、ナショナルトラスト運動等で対抗。
 1990年代に入ってからの市民協働模索の時代には、協議体の設置など行政と協働しつつ里山・里川の保全活動が始まり、新しい形でのコモンズが再生された。トトロの森も拡大。
 2006年頃からの持続可能性追求の時代には、協議体に指定管理者も参加するようになり、生物多様性保全のための定期的な植生調査等も実施するようになったそうです。

また、これらの運動の背景には、狭山丘陵の保全活動に積極的に関わってきた廣井敏男(1933~2017、元東京経済大学教授、フィールド・サイエンティスト)の思想があるとのこと。
 藤井の「社会化された自然」とは、人間が手を加え続けてきた現生のままではない自然のことで、人間が利用し、人間と自然が調和することに価値があるというもの。
 清水さんは、これまでの保全活動の経緯を踏まえた今後の中期的な課題として、社会化された自然思想と、里山保全の方法論双方の定着が必要と訴えられました。

さらに長期的な課題としては、地球という空間スケール(プラネタリー・バウンダリー等)で考えると、ネイチャーポジティブの考え方の下、人間中心主義から地球・生態系中心主義へのパラダイムシフトが必要であると強調されました。
 そして21世紀においては、昔の里山をヒントにしつつ、国際的にも認知され始めている「SATOYAMA」保全によって自然共生社会を作り上げてくことの必要性を訴えられました。
 また、次世代につなぐグローカルな里山・里川保全の具体策の例として、狭山丘陵での取組み事例をさらに広めていきたいとも話されました。 

お話の後は、会場の参加者との間で質疑応答。
 具体的に保全活動に取り組んでおられる方もおられ、実態に即した具体的な質疑応答も行われました。
 私からは、例によって不躾に「生成AIの普及等でますます地球環境の危機が高まると予想される中、果たして里山保全等で危機を克服できるか」との質問をさせて頂きました。
 清水さんからは「確かに危機は深刻だが、自分としては里山・里川を軸にして、自分のできることからやっていきたい」と、真摯な回答を頂きました。

なお、この日は会場に向かう途中に中央図書館に立ち寄り、清水さんのご著書を借りました。『狭山丘陵に河童の住む里川をつくる』(2024年)と『狭山丘陵を守った男』(2023年)の2冊、いずれもけやき出版から自費出版されたものだそうです。
 この日のお話の内容がさらに詳しく記述されている書籍で、さらに理解が深まりそうです。

 この日の清水さんのお話からは、地球的な危機を目の前に絶望して立ちすくむのではなく、身近な(自分にもできる)里山・里川における実践することの大切さが理解できました。
 ぜひ一人でも多くの方に、清水さんのお話を聞いて頂きたいと思います。

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