-鳥井昭美『夕日沈む彼方へ-少年の目から見た満州引揚げ記』-
[参考:高専シンポジウムHPの掲載手記]
https://sunset.kosen-sympo.org/section1/
【ポイント】
終戦当時8歳の少年が目撃・体験した、過酷で貴重な旧満州からの引き揚げの記録。著者は、現在のファッショ的な思想の復活を危惧し警鐘を鳴らしています。

毎年、8月も6日、9日、15日が過ぎると戦争関係の報道もめっきり少なくなりますが、15日に直ちに平和が訪れた訳ではありません。特に旧植民地等の「外地」に居住していた人たちにとっては、さらなる苦難が始まったのです。
著者は1937年東京生まれ。6歳の時に父親の勤務先があった旧満州(中国東北部)に移住し小学校に編入学。1945年8月にはソ連が条約を破棄して侵攻、翌1946年から集団引揚げが開始されました。
本書は、終戦当時8歳の少年だった著者による過酷な、かつ貴重な体験記です。
牧歌的ともいえる満州での生活は敗戦により一変しました。置き去りにされた日本人は迫害され、食べものもなく、極寒の収容所で次々と命を失います。子どもを中国人に託す母親や、日本人同士の醜悪な人間関係の様子も描かれています。
何とか生き延びて1947年(10歳の時)に帰国し、父親の郷里で小学校3年生に編入した後も、同級生や周囲からいじめや迫害を受けたことも記されています。「思い出したくない出来事」も少なくなかったそうです。
「戦争は人を変える。餓鬼にする」とする著者は、「いま、戦争当時の強権政治のあり方、無慈悲さ、残酷さが忘れられている」「当時、国民に刷り込まれたファッショ的な思想が復活しつつあるように思えてならない」と警鐘を鳴らしています。
なお、本書は、著者が教授を務めた久留米高専の教え子たちの要望を受けてウェブ掲載した手記を、佐藤 弘氏(元西日本新聞、小農学会事務局)が再構成し、自費出版されたものです。
多くの方に手に取って頂きたい冊子です。入手を希望される方は中田まで連絡(本メールに返信)下さい。あるいは佐藤氏の連絡先をご存じの方は、直接、お問合せ下さい。
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.348、2026年8月27日(木)[和暦 文月十五日]
https://food-mileage.jp/2026/09/08/letter-348/
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