【オーシャン・カレント】柏木智帆さん

柏木智帆(かしわぎ・ちほ)さんは神奈川県の出身。新聞記者としてお米やお米文化についての取材活動を続けるうち、「これはただの農産物ではない」とお米に魅せられていきます。

ついに「現場を知らずに記事を書くのはもどかしい」と8年勤めた新聞社を脱サラ、千葉県の営農組合に転職されました。ここで米生産の作業を学び、翌年には「無謀にも」(本人談)独立、45アールの水田で機械も農薬も使わずに米生産に取り組みます。
 また、中古車を改造して炊飯器を積載、おむすびの移動販売も始められます。しかしキッチンカーが故障で廃車になったこともあり、改めて「米の消費拡大のために自分だからできることをやっていこう」と考え、鍬を再びペンに持ち替えました。
 現在はフリーランスの「お米ライター」として活躍中です。

お米を中心とした日本の食文化の再興、お米の消費拡大等をテーマに、新聞、雑誌、ネット、ラジオ等の媒体を通して、あるいはワークショップの講師等として、積極的に情報発信されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】米穀通帳


 お米を買うのに「通帳」が必要な時代がありました。
 「豆知識」欄でも紹介したとおり、戦争が拡大するなか、国内の農業生産が次第に停滞・減少し、同時に朝鮮等からの輸入も困難となったことから、日本は深刻な食糧不足に直面することとなりました。

このようななか、太平洋戦争の最中の1942(昭和17)年に制定されたのが食糧管理法(食管法)です。
 これは、米、麦、イモ等の生産・流通・消費を国家一元的に管理することによって、食糧を国民が平等に入手できるようにすることを目的としたものでした。
 生産者には公定価格による政府への売渡(供出)義務が課され、販売には許可制度が設けられました。そして、全国の消費者は、米穀通帳がなければ米を購入する(配給を受ける)ことができなくなったのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】昭和館


 東京・千代田区九段南にある昭和館は、戦中・戦後に国民が経験した労苦についての歴史的資料を収集、保存、展示し、後世代の人々に伝えていくことを目的として、1999(平成11)年に開館した国立の施設です。

食に関しても様々な展示があります。
 例えば「統制下の暮らし」のコーナーには、食料不足が深刻化するなかで実施された配給制度に関する実物資料(配給切符等)、「節米運動」を奨励するポスター(「兵隊さんのことを思えば、銃後の国民が米のゴハンで満腹するなどバチが当たる」)等が展示されています。

また、防空壕に避難するときの携帯食料(乾パン等)や、戦後の闇市の「残飯鍋」、援助物資により再開された学校給食を再現した展示等もあります。「体験コーナー」では一升瓶に入れた玄米を棒でつく(簡易精米)体験もできます。
 展示物の多くが「実物資料」だけに、その時代を証言する力には迫力があります。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】天山祭り(福島・川内村)

川内村(かわうちむら)は、浜通り地方のなかでも阿武隈山地に入った内陸部にあり、全村域の7割を森林が占めています。

その自然豊かな村は、2011年3月の原発事故により、一時、全村避難を強いられました。
 幸い線量が比較的低かったこともあり、翌年にはいち早く「帰村宣言」が出され、現在は 7割以上の村民が帰還を果たしています。
これは避難指示が出された浜通りの市町村のなかでも高い割合です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】ハイブリッド型総合書店 “honto”

“honto”は、「読書をもっと便利に! 楽しく!!」をキャッチフレーズに、(株)トゥ・ディファクトが運営するオンライン書店。

このサイトでは電子書籍の購入や立ち読みができるほか、大手書店と連携して全国200店舗の「紙の本」の店頭在庫まで検索することができます。
 気になる本があれば自ら足を運び、店頭で(大きさや手触りを含め)確認することができるのです。もちろん、紙の本をネット購入することもできます。

つまり、ここでは電子書籍と紙の本は「敵ではなく仲間」と位置づけられており、目的や利用シーンによって使い分けることが提案されているのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】共奏ファーム(埼玉・東松山市)


 東京・池袋から50分ほどの東武東上線・高坂駅で降り、15分ほどバスに乗って、さらに小川沿いの心地よい道を徒歩で20分ほど。
 そのような場所に共奏ファームはあります(車であれば高坂駅から10分ほど)。

オーナーのまさひこさん(桂政彦さん)については、本メルマガNo.111(2017.1/28)でも紹介させて頂きましたが、大手外資系IT企業をリタイアされた後、ホームページ製作支援会社・creativekeiの運営、各地での地域おこしに取り組んでおられるほか、最近は介護福祉士の資格を取得されるなど、多彩な活躍をされている方です。

地元の方とのご縁で、500坪ほどの耕作遊休地を使わせて頂けるようになったのが5年ほど前のこと。
 その頃は一面、背高泡立草やメルケン苅萱に覆われ、あちらこちらには野ウサギの糞が落ちていたそうです。そこをまさひこさんは、ほとんど一人で開墾して畑にし、固定種のトマトやサツマイモの栽培を始められました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】食育月間


 前号(No.144)では、毎年6月は「環境月間」であることを紹介しましたが、6月は「食育月間」でもあります。

2005年6月17日に成立した食育基本法を踏まえ、食育推進基本計画(第3次計画は2016年3月決定)において、毎年6月を「食育月間」とし、食育に重点的・効果的に取り組むこととされているのです。

期間中は、関係団体、地方公共団体、国などが連携し、全国各地で食育をテーマとした多くの取組やイベントが実施されます。
 6月23日(土)~24日(日)には、大分市において、第13回食育推進全国大会が 開催され、「明治150年」特別企画シンポジウムや各種展示等が行われます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】環境の日、環境月間


 毎年6月5日は「環境の日」です。
 これは、1972年6月5日からスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、国連でも同日を「世界環境デー」と定めています。
 なお、日本の「環境の日」は、法律で定められているというユニークな記念日の一つです。

「環境基本法」(1993)は、環境保全の基本理念を定め、国や国民の責務を明らかにすること等を目的として1993年に制定されましたが、このなかで、事業者や国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めることを目的として「環境の日」が定められているのです(第10条)。

さらに日本では6月の1ヶ月間を「環境月間」として、全国で様々な行事が行われます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】銀座農業コミュニティ塾


 銀座農業コミュニティ塾は、前身ともいえる銀座農業政策塾(2016年まで5期にわたって開催)の塾生を中心に、昨年(2017年)11月に立ち上げられました。

その最終的な目的は、自然や生命を大切にする持続可能な農的社会のライフスタイルの実現です。
 それに向けて、会員自らがそれぞれの現場で農に親しみ、食を豊かにする取組みに参画・寄与していくことを支援するため、塾として、勉強会や交流会の開催、現地見学、情報発信等を行っています。

塾長は高安和夫さん(銀座ミツバチプロジェクト)、代表世話人は蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)、事務局長は黒田浩介さん(CSA青山)が務められています。

昨年11月の発足以来、これまで3回の勉強会を開催してきました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】福島県産農産物等流通実態調査


 -2017年度 福島県産農産物等流通実態調査(農林水産省)-

農林水産省は、2018年3月、福島県産農産物等の販売不振の実態と要因を明らかにするため、主要品目の流通実態を調査した結果を公表しました。

米、青果物(桃、きゅうり等)、畜産物(牛肉、牛乳等)、きのこ、水産物(かつお、ひらめ等)20品目について、生産・流通・販売に携わる事業者及び消費者を対象として、ヒヤリング及びアンケート調査(インターネット及び店頭)を実施したものです。
 また、統計データにより福島県産農産物等の販売量や価格の変化についても分析されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】たんたんぺろぺろ


-たんたんぺろぺろ(浜下り神事、福島・広野町)-

福島県の浜通りにある広野町(ひろのまち)では、五穀豊穣を願い、130 年ほど前から浜下りの神事「たんたんぺろぺろ」が行われていました。そのユニークな呼び名は、太鼓と笛の音色に由来するとのこと。

貞観八(西暦866)年に常陸の国・鹿島神社から勧請し、旧下浅見川村の鎮守として奉られ、旧暦の四月八日に浅見川の上流に鎮座する大滝神社と下流に鎮座する鹿島神社の御輿に御神体を移した御輿が旅所を廻った後、上浅見川桜田地区で出合います。
 その後、旅所を廻りながら浅見川河口で海に入って潮垢離(しおごり)し禊祓(みそぎはらえ)をするというものです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】ふくしまサポーターズクラブ2018


 NPO法人 福島県有機農業ネットワーク(ふくしま有機ネット)は、福島県内の有機農業に関わる農業者、消費者、研究者、技術者、農業団体や行政などが連携し、有機農業のさらなる発展を目指すネットワークで、有機農業者同士の技術交流、生産者と消費者との交流事業等に取り組んでいます。

そのふくしま有機ネットが 2018 年度から新たにスタートさせる取組が「ふくしまサポーターズクラブ」です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】なみへい、たまTSUKI、番來舎


 今月一杯で、私にとって大切だった3ヶ所の「場」が閉じられます。
 まずは、全国うまいもの交流サロン・なみへい(東京・神田)。
 川野真理子さんが「東京から故郷おこし」をコンセプトに2008年7月にオープンした飲食店で、美味しい月替わりの特選コース料理や地酒を何度も堪能しました。
 4月以降は、この場は地域PRイベント等の拠点として活用するとともに、川野さんご自身も積極的に地域に足を運ばれる予定とのことで、現在、セカンドステージに向けて「なみへい応援団」の会員募集中です。
 3月29日(木)と31日(土)にはイベント「なみへい感謝のラストラン」が予定されています。川野オーナーや山本料理長、スタッフの皆さまに感謝の気持ちを伝えるための多くの人で、賑わうものと思われます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】こくベジプロジェクト(東京・国分寺市)


 自給率が日本一低い東京都は、農業と縁が薄い地域のようにもみえますが、多数の消費者が近隣にいるという特性も活かしつつ、多くの地域においてユニークな取組みが行われています。

その一つが、今回紹介する「こくベジプロジェクト」です。
 東京・国分寺市はJR 中央線で新宿から 20 … 続きを読む

【オーシャン・カレント】大塚洋一郎さん


 大塚洋一郎さんは1954年、東京・府中市のご出身。
 北海道大学大学院修士課程(原子工学)を修了後、旧科学技術庁に入庁し、国際課長、文部科学省宇宙開発利用課長等を歴任。その後、経済産業省に出向され、大臣官房審議官(地域経済担当)として農商工連携促進法の制定と運用に参画されていましたが、一大決心して2009年に早期退職され、NPO法人農商工連携サポートセンターを設立されました。

大塚さんは「公務員からNPOに転じて一番良かったことは、人に感謝されるという実感があること。それまでモノクロームだった人生は、NPOの活動を始めてからはフルカラーになった」と語っておられます。

農商工連携サポートセンターのミッションは「農商工連携による地域の雇用創出-地域に元気を!食と農の新しい出会いをサポートする!」。
 その具体的な取組みのひとつが「ちよだいちば」(東京・神田錦町)です。全国の市町村の特産品を販売するアンテナショップで、お客さんは近隣に勤める女性会社員などで多くがリピーターとのこと。ここに出店する市町村は月替わりで、毎月、異なった地域の特産品を購入することができ、特産品を使ったお弁当も販売されています(毎日25食限定)。… 続きを読む