【オーシャン・カレント No.213】被災市町村「復興度」アンケート

(河北新報社HPより)

河北新報社(宮城・仙台市)は3月1日(月)、東日本大震災で津波被害を受け、あるいは原発事故により避難区域が設定された岩手(12)、宮城、福島(各15)の計42市町村の首長を対象としたアンケート調査結果を公表しました。
 これによると、復興の進み具合を0〜100%の数値で示す「復興度」については、岩手、宮城では「90%以上」と考える首長が9割以上を占めています。これら両県では、大半の首長が復興は総仕上げの段階に入ったと認識していることが伺えます。

ところが、福島県では過半数の首長が復興度は「30〜70%」と回答しており、原発事故の影響が明らかとなっています。
 また、復興の完了時期の見通しについては、3県で「2021年度末ごろ」が7人、「25年度末ごろ」が5人等となっていますが、福島県内では7人が「見通せない」と回答しています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.212】リスコミ「共に考える 食品中の放射性物質」

東電福島第一原発の事故から10年近くが経過し、基準値を超える食品はほとんど検出されなくなっている一方で、震災直後と比べて報道等で情報を得る機会は減っています。また、いわゆる「風評被害」も払拭されてはいません。 

 内閣府食品安全委員会、消費者庁、厚生労働省及び農林水産省は、食品に関するリスクコミュニケーション「共に考える 食品中の放射性物質」をオンラインで開催します。学識経験者や行政からの情報提供を受けて、関係者の間で意見交換を行うものです。ポケマル等でお世話になっている福島・いわき市の生産者の方も登壇される予定です。
 動画等は2021年3月1日(月)から公開、7日(日)までの間に意見・質問等を受け付け、回答は後日ウェブサイトに掲載されるとのことです。 

(参考)消費者庁HP… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.211】フラワーバレンタイン

間もなく迎えるバレンタインデーは女性が男性にチョコレートを贈る日として定着していますが、世界の多くの国では愛や感謝を伝えるために花を贈る習慣があるそうです。

 日本でも(一社)花の国日本協議会の呼びかけにより、今年も「フラワーバレンタイン」キャンペーンが行われています。
 ジェンダーに関わらず、様々な愛のかたちを「花」を贈ることで伝えようというもので、今年のキャッチフレーズは「花は自由なラブレター」。世の中がコロナ禍で重苦しい空気に沈むなか、大事な人に花を贈ってみてはいかがでしょうか。

ところで2017年11月に飯舘村を訪問させて頂いた際には、いち早く農業(花き栽培)を再開されたハウスを見学させて頂きました。3月末に避難指示が解除されたばかりの飯舘村に、トルコギキョウやアルストロメリアが色鮮やかに咲き誇っていたことが、強く印象に残っています。

(参考)… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.210】2020年の貿易収支

1月21日(木)に財務省が発表した2020年の貿易統計(速報)によると、全体の輸出額は68.4兆円、輸入額は67.7兆円と、前年に比べそれぞれ11.1%、13.8%と大幅に減少しました。いずれも2年連続の減少です。
 輸出については、米国向けを中心とした自動車等が大きく減少し、リーマン・ショックの2009年の33.1%以来の減少幅となっています。一方、輸入については海外に依存している原油の価格が下落したことが大きな理由です。
なお、貿易収支(輸出額−輸入額)は3年ぶりの黒字(7千億円)となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大により世界全体の経済活動が低迷し、日本の貿易収支にも大きな影響を及ぼしています。貿易立国という日本の「国是」は見直されるべき時代を迎えているのかも知れません。

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【オーシャン・カレント No.209】国産有機サポーターズ

有機農業の推進に関する基本的な方針」(2020年4月)においては、国内の有機食品市場における国産のシェアの目標(2017年の60%から2030年には84%まで拡大)が設定されています。この目標達成に向けて、国産の有機食品の需要喚起の取組を進めるためのプラットフォームとして農林水産省が立ち上げたのが「国産有機サポーターズ」です。

有機食品の普及のためには、生産者、消費者、行政のみならず、小売や飲食関係など様々な事業者を含めた幅広い連携が不可欠です。本プラットフォームは、国産有機食品の販売・提供や、有機農業・食品についての消費者に分かりやすい情報発信等に取り組む事業者の方が「国産有機サポーター」として登録されています。
 2020年12月16日現在で64社が参画しており、さらに登録希望者を募っています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】2020年まとめ

食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介してきました。
 新年最初の号では、ガンジーの研究者である石井一也先生(香川大、No.184)を紹介させて頂きました。
 桜と日本文学(No.188)、土用の丑の日(No.197)、閏月と自然のリズム(No.193)についても紹介しました。

政策・制度関連では、3月に策定された新たな食料・農業・農村基本計画(No.191)、花いっぱい応援プロジェクト(No.189)、国産農林水産物等販売促進緊急対策等(No.196)、農福連携(No.203)、改正種苗法(No.207)を紹介しました。
 また、鳥インフルエンザはヒトには感染しないこと(No.206)も紹介しました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】改正種苗法

去る2020年12月2日、種苗法の一部を改正する法律が成立しました。

 今回の改正は、国内で開発された優良品種の海外流出を防ぐことが目的でしたが、一部、誤った情報が広く拡散するという混乱がありました。
 例えば、伝統種や固定種等の自家増殖(農家自ら種を採り増やすこと)を一律に禁止するものではありません。現在、栽培されている多くの品種(一般品種)は、今後も自由に自家増殖ができます。県の試験場等が開発した登録品種については許諾料が必要となりますが、許諾が必要なことは現在と変わらず、法改正によって生産者のコストが大きく上昇する事態は想定されません。
 また、海外の多国籍企業を優遇したり、遺伝子組換え作物の利用を推進したりするものでもありません。

いずれにせよ、生産者のみならず消費者の中でも種についての関心が高まっていること自体は、日本の農業や食料供給のあり方を見直す機会となるという意味で貴重です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】鳥インフルエンザ

新型コロナウイルスの感染が拡大する一方で、家きんの病気である高病原性鳥インフルエンザの発生が世界で相次いでいます。
 国内でも3県・10農場で発生が確認され、過去最大に迫る160万羽の殺処分や周辺農場の移動制限等の措置がとられています。野鳥でも相次いでウイルスが確認されており、例年よりも感染リスクが高い状況にあります。

一方、鳥インフルエンザが人に感染することは一般的にはありません(海外では、感染した鳥に直接触れて羽をむしるなど濃厚に接触した場合に感染した事例があります)。
 また、感染が確認された農場の家きんの肉や卵は流通していませんが、仮に食べたとしても鳥インフルエンザウイルスに感染する可能性はありません。鳥インフルエンザウイルスは70度以上の加熱や胃酸により不活化(死滅)するとされています。

ちなみに厚生労働省は、「鶏肉を未加熱または加熱不十分なままで食べることは、食中毒を予防する観点からもお勧めできません」としています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】大崎駅前マルシェ「おおさき二十四節気祭

東京・品川区にある大崎駅の南改札口前では、毎週、金・土曜日の12〜19時にマルシェが開催されています。
 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時休止された時期もありましたが、現在は感染拡大防止に留意しつつ、規模を縮小し再開されています。

 出店しているのは、全国の生産者や地元の事業者の方たち。全国各地の新鮮な旬の農産物や加工品などが出品されています。
 主催しているのは設計会社の若い方で、大崎を「食」でデザインし、地域で頑張る生産者や事業者の方が真っ当な対価を得ることができるようサポートされているのです。
 さらには、災害等の際にもお互いに手助けができるようなネットワークづくりも目指しているとのこと。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】30・10運動

出典:長野・松本市HPより。

食品ロス(食べ残し)が特に多いのが宴会や飲み会です。
 30・10(さんまる・いちまる)運動は、宴会等における食べ残しの量を削減するために長野・松本市で始まったとされ、今は全国に拡がっています。
 これは、宴会等では適量を注文することを前提に、乾杯後30分間は席を立たず料理を楽しむ、お開き前10分間は自分の席に戻って再び料理を楽しむことを推奨する運動です。

 幹事さんの呼びかけのタイミングや内容がポイントで、「乾杯の後の30分間と、お開き前の10分間は自分の席について料理を楽しみ、『もったいない』を心がけ、食品ロス削減の取り組みにご協力ください。それでは、乾杯のご発声を〜」といった例も示されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】農福連携とは

 写真:全国農福連携推進協議会ホームページ

農福連携とは、農業分野と福祉分野が連携して、障がい者や生活困窮者、高齢者等の農業分野への就農・就労を促進する取組みのことで、農業分野における働き手の確保や荒廃農地の解消、障がい者等の社会参画を促す等の効果が期待されます。

 農福連携という言葉自体は2010年頃から出てきた比較的新しいものですが、農作業や自然とかかわることが障がい者等の心身の健康回復に効果があることは以前から知られており、園芸療法に取り組む事業者は1950年代から存在していました。さらに農業分野の課題も同時に解決としようとする取組みが、農福連携です。

 農福連携の推進については国の各種ビジョン等にも位置付けられており、2017年には全国農福連携推進協議会が設立され、ノウフク・アワードやセミナーの実施、ノウフクJASの普及、オンラインショップの運営等もなされています。

 今後、連帯経済の構築や地域コミュニティ維持等の観点からも、農福連携の取組みの拡がりが期待されます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】エシカル消費とは

出典:消費者庁リーフレット「エシカル消費ってなぁに?」(2018.3)より。

近年、持続可能な消費行動を表すキーワードとして、エシカル(Ethical)消費が注目されています。直訳すれば「倫理的消費」となります(堅いですね)。

 消費者庁では、2015年5月から2年間にわたって調査研究会を開催し、倫理的消費の普及に向けた調査や議論を行いました。
 そのとりまとめによると、持続可能性の観点から喫緊の社会的課題は多く、課題解決には消費者一人ひとりの行動が不可欠かつ有効で、「安さ」「便利さ」に隠れされている社会的費用を意識することが必要とされ、倫理的消費(エシカル消費)の重要性を指摘しています。

 また、その定義は、「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」とのこと。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】母なる地球を守ろう研究所(福島・喜多方市)

−母なる地球を守ろう研究所(福島・喜多方市)−

 長谷川 浩さんは1960年岐阜県生まれ。
 農学博士で、国の研究機関で有機農業の研究等に24年間従事された後、2011年の原発事故を機に退職。福島・喜多方市山都(やまと)の中山間地に移住し、自ら有機農業や豚の放牧の実践に取り組んでおられる方。
 NPO福島県有機農業ネットワーク、同・縮小社会研究会の理事等を務められており、『食べものとエネルギーの自産自消』等のご著書もあります。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】気候非常事態宣言

出典:気候非常事態を宣言した日本の自治体(未来共創フォーラム(イーズ)HP)より
 https://www.es-inc.jp/ced/

気候変動の影響が顕在化し「気候危機」とも呼ばれる状況のなか、オーストラリアのデアビン市を皮切り(2016年12月)に、「気候非常事態宣言」を出して市民に緊急行動を呼びかける自治体が増えています。
 世界では、約30か国の約1,500自治体が宣言を行っており、このうち日本においては15自治体となっています。
 また、環境省のほか、宣言を行っている学会や研究機関等もあります。… 続きを読む