2014年8月の福島×新宿復興カフェ「結イレブン」

 2014年8月も、11日がめぐってきました。
 2011年3月11日の東日本大震災から3年5か月。
 毎月11日、福島の生の声を伝え、その復興に誰でも参加できる道を拓きたいとの思いで、新宿と福島を結ぶ「結イレブン」というイベントが続けられてます。
 主催は東京有機マルシェ「すずめの未来市」(みらいち)、会場は新宿・富久町の「ダイニングカフェ・結」です。
 2014年8月11日(土)は台風一過とはいえ蒸し暑い1日。お盆の週を迎えて東京は電車なども空いています。
 19時に会場に着くと、さほど広くない店内は10名ほどでほぼ満席。店内の壁には、福島の現状や復興の様子を伝える写真やパネルが壁一面に張り出されています。
140811_1_convert_20140812091453.png
 今月のテーマは「ふくしまと新宿を結ぶネットワーカー大集合」。
 まず、ナビゲーターの鈴木亮(りょう)さんが、パワーポイントを使って短いプレゼン。
 鈴木さんは1972年生まれ、ニュージーランドの大学を卒業後、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」の活動に共同代表等として関わってこられました。現在は東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)福島担当として福島に在住、この日のイベントの主催者でもあります。
 鈴木さんからは、現在の経済をグリーンエコノミー、さらにライフエコノミーに転換していくことの重要性が強調されるとともに、福島での実体験を踏まえて新宿でできる活動について提案がなされました。また、食卓を変えれば未来が変わる、とも。
140811_2_convert_20140812091529.png
 続いて、参加者から自己紹介を兼ねて一言ずつ。
 NPO「元気になろう福島」副代表・事務局長の本田紀生さんと、その東京での活動を手伝っておられる社会福祉法人にお勤めの方。
 長年にわたって様々なボランティア活動に携わってこられたという男性は、近い将来に福島に開拓のために移住したいとのこと。
 投資コンサルタント会社の若き経営者の方。福島で農業用水路の溝さらい活動にも参加しているという大学院生の方。
 公務員の人。スタッフとして参加されている若い女性は、特別支援学校の教員をされているそうです。
 ここ「結」のオーナーでNPO「元気になろう福島」代表の根本二郎さんは、この日もカウンターに入って自ら調理などをされています。
 ところでこの日のシステムは、参加費1000円に1ドリンクと軽食がついています。生ビールなどを飲みながら、食べながらの気軽なイベントです。
 軽食として、福島・二本松の「きぼうのたねカンパニー」から、菅野瑞穂(すげのみずほ)さんの夏野菜がたくさん出されました。十分な量の「軽食」です。
 冷やしトマト、ししとうやピーマンの炒めもの、ポテトサラダ、ズッキーニのソテーなど。
140811_4_convert_20140812091613.png
 ここから先の飲みもの、食べものは、各自が自由に追加。「結」では、野菜だけではなく、東北の美味しい食材を使った料理を頂くことができます。
140811_5_convert_20140812091635.png 福島県復興応援焼酎「輝」(かがやき)というのを頂きました。
 喜多方市のコシヒカリを原料に、米焼酎の本場・熊本県人吉市の老舗酒造会社が作ったもの。新聞で読んだ記憶があります。米焼酎らしく、端麗で飲みやすい味でした。
 美味しいものを頂きながら、意見交換は続きます。
 ある人が、ここに来る途中新宿の雑踏の中で大多数の人は福島の復興の問題に無関心なのではと感じた、との発言されたのを受け、どうすれば新宿での活動を広げていけるかがテーマのひとつになりました。
 ボランティア達人の方からは、極論すればボランティアは自己満足に過ぎないのだから、広げることを意識しすぎてはいけない、敷居を低くして情報発信を続けていくしかないとの達観した意見も。自分も楽しむこと、若い人が頑張ったら褒めてあげることも大事、とも。
 確かに、毎月の「結イレブン」に集まる人も関心の高い人に限られ、このようなイベントが開かれていること自体もあまり知られていないとの意見も。
 といった話し合いの中、9月以降の「結イレブン」では、映画の上映会や、福島・大熊町など現地の方をお呼びしてのシンポジウム等を企画していくこととなりました。
 もっとも「結」では入れる人数も限られるというジレンマがあります。企画内容や会場も、引き続き検討していくこととなりました。
 
 根本さんからは、色々と活動している人はいるが、みんなバラバラ。お互いに手をとって情報交換できる場として「結」も始めたのだが、人手が足りず、やり切れていないとの悩みも。手伝ってもらえる人を募集中だそうです。
140811_3_convert_20140812091550.png
 また、A SEED JAPANの若い女性からは、「支援」ということではなく、自分たちも主体的に共に新しい社会を創り上げていくという姿勢が大事ではとの意見。復興活動に携わっている方からは、現地でも「支援」という言葉を嫌う現地の人たちもいる、との言葉も。
 これに対して根本さんは「浜通りの旧警戒区域内は住民の大多数は避難し、建物など町の光景は震災・津波直後のまま。言葉はともかく、まだまだ支援は必要」との意見。
 よく「時間が止まったまま」と表現されますが、現実には人の手の入らない建物は確実に朽ちつつあり、農地には雑草や灌木が成長しています。状況は止まっているわけではなく、悪化の一途を辿っているのです。
 そのような中、根本さんや鈴木さんの献身的な尽力により、毎月11日に「結イレブン」が継続開催されてます。
 この取組がより多くの人たちに知られ、一人でも多くの人が復興に関心を持ち、さらに活動に参加するようなきっかけになればいいと、祈るような気持ちです。
140811_6_convert_20140812091659.png
 このブログを執筆している8月14日(木)、夏の甲子園大会で福島代表・聖光学院(伊達市)が接戦を制して初戦突破。
 校歌の一節には「希望に燃ゆる若人が、復活の主、仰ぎゆく」。
 さて、明日2014年8月15日は69回目の終戦記念日。本人の意に反して先の大戦の犠牲となられた多くの方々を悼み、平和を祈る日です。
 ひるがえって現在の日本では、意に反して多くの人たちが避難を余儀なくされています。このことにも、思いを馳せることを忘れてはならないと思います。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキングに参加しています。よろしかったらクリックして下さい。)

人気ブログランキングへ