−山下惣一『百姓の遺言』(2023.7、家の光協会)−
https://www.ienohikari.net/book/9784259547837
何度か書いてきましたが、昨年7月に逝去された山下惣一さん(佐賀・唐津の農民作家)の一連の作品は、私にとって人生の羅針盤ともいえる存在でした。
本書は、「生涯一百姓」を貫かれた山下さんがエッセイ等のかたちで遺された警鐘や提言をまとめたもので、1979年に地上文学賞を受賞し直木賞候補ともなった小説『減反神社』も収録されています。
山下さんは、時代の流れに翻弄されつつも、減反や自由化、規模拡大を推進する農政に強烈に異議を唱え続けてこられました。そして、少なくとも前半生においては、同時に「消費者」とも闘っていたことが分かるエピソードが収録されています。… 続きを読む