【ほんのさわり No.226】勝川俊雄『魚が食べられなくなる日』

−勝川俊雄『魚が食べられなくなる日』(2016/8、小学館新書)
 https://www.shogakukan.co.jp/books/09825278

1972年東京生まれの水産学者(東京海洋大学准教授)である著者は、このままでは日本の水産業は衰退の一途をたどり、漁食文化の存続さえ危ぶまれると強い警鐘を鳴らしています。
 資源量が減る一方で消費者の「魚離れ」もあり、「獲れない+売れない→儲からない」という悪循環から漁村の限界集落化が進んでいるというのです。

その背景には、著者は水産政策の不備もあるとします。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.226】森 歩(もり・あゆみ)さん

(写真は森さんのフェイスブックより)

森さんは東京都のご出身。
 外国人相手の日本語教師をしながら、『東北食べる通信』の縁で知り合った岩手の漁師さんのお手伝いに通ったり、わかめを東京・高円寺のマルシェで販売したり、という活動をされていましたが、本年4月、兵庫・但馬(たじま)の豊岡市に移住されました。
 但馬は兵庫県北部の日本海側に位置し、豊岡市はコウノトリや2019年に劇作家の平田オリザさんが主宰する劇団とともに移転された地として有名です。

森さんが就職したのは但馬漁協(JF但馬)。漁協とは漁業者からなる協同組合で、森さんは新製品の企画やオンラインショップの運営等を担当されています。… 続きを読む

【豆知識】輸入物価指数が過去最大の上昇

日本銀行が9月13日(月)に発表した2021年8月の企業物価指数(速報)によると、円ベースの輸入物価指数は前年同月比29.2%上昇と、比較可能な1981年以降で最大の上昇率となりました。
 なお、輸出物価指数は伸びが鈍化しており、輸出物価を輸入物価で割った交易条件は低迷しています。

リンク先の図226は、2000年代に入って以降の輸入物価指数(円ベース)の推移(折れ線グラフ)と、21年8月の品目別の上昇率(速報、棒グラフ)を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/09/226_yunyu.pdf

21年8月の上昇率を品目別にみると、石油・石炭・天然ガスが73.8%、金属・同製品が56.3%と特に大きく上昇しています。… 続きを読む

【ブログ】『ゆっくり、いそげ』のこれまでとこれから(東京・国分寺)

2021年9月20日(月、敬老の日)は好天。
 午前中のイベントに参加するため(リアルのイベント、久しぶりだな~)、西武線・恋ヶ窪駅から徒歩で西国分寺へ。住宅地の間には手入れされた農地。生産性が高く後継者の確保率も高い東京農業、侮れません。

 余裕でクルミドコーヒーへ。一度、訪ねてみたいと思っていたカフェです。… 続きを読む

【ほんのさわり No.225】指出一正『ぼくらは地方で幸せを見つける』

−指出一正『ぼくらは地方で幸せを見つける−ソトコト流ローカル再生論』(2016/12、ポプラ新書)
 https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201111.html

著者は1969年群馬県生まれの月刊『ソトコト』編集長。
 島根県「しまコトアカデミー」のメイン講師を務められるなど、多くの地域づくりプロジェクトに関わり、「関係人口」という言葉の提唱者の一人とされています(注)。

著者は、これまでの社会は幸せや豊かな社会の尺度を東京や東京的なものに置いてきたのに対して、現在、これら既成の価値観にとらわれることなく、それぞれのやり方で自分が手ごたえを感じながら、地域で本当に豊かな暮らしを送っている若い人たちが各地で活躍しているとしています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.225】ポケマル「産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査」

((株)ポケットマルシェ プレスリリース(2021.8)より)

2016年9月にスタートしたポケットマルシェ(ポケマル)は、生産者と消費者をつなぐ産直アプリ。メッセンジャー機能等を使った直接的なコミュニケーションも可能で、現在、約5,700名の生産者と35万名の消費者が登録しているとのこと。

このアプリを運営する(株)ポケットマルシェ(岩手・花巻市、高橋博之代表)は、ポケマル登録ユーザのうち5,600名を対象として、関係人口創出に関する実態調査を実施・公表しました。

調査結果によると、生産者と仲の良い(販売・発送以外のやりとりをしている)ユーザの71%が生産者のいる地域を訪れたいと回答しており、実際に100名以上が生産の現場を訪問しているとのこと。… 続きを読む

【豆知識】関係人口と移住

総人口が減少し東京圏への一極集中が進むなかで、「関係人口」が注目されています。
 「関係人口」とは、観光(交流)以上、移住(定住)未満の、地域と様々なかたちで関わる人々のことで、地域の人と交流するイベントや体験プログラムの企画・運営・参加、地域の企業等での就労、副業・テレワーク、ボランティアなど、そのかたちは多様です。

リンク先の図225は、人口1万人当たりの関係人口の人数と、2012年から2019年までの8カ年の田園回帰の状況(三大都市圏からの転入超過回数)について図示したものです(出典は国土交通省資料)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/09/225_kankei.pdf

これによると、その地域を訪問している関係人口の人数が多い市町村ほど、三大都市圏からの転入超過回数が多いことが見て取れます。つまり、様々なかたちでの関係人口が増加することが、移住・定住の促進にもつなかっていることが伺えるのです。… 続きを読む

【ブログ】第1回 全国農泊ネットワーク大会(宮城・大崎)

2021年のカレンダーは早くも9月に。一転して肌寒い日が続きます。
 自宅近くに一画を借りている市民農園では冬野菜の準備を始めました。
 たくさんの収穫をもたらしてくれたトマト、キュウリ、ナスを片付け。ナスとピーマンはまだ実を付けてくれています。
 そのようななか、一昨年の洪水で大きな被害を受けられた長野市のかとうりんご農園続きを読む