◇フード・マイレージ資料室 通信 No.225◇
2021年9月7日(火)[和暦 葉月朔日]
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◆ F.M.豆知識 関係人口と移住
◆ O.カレント ポケマル「産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査」
◆ ほんのさわり 指出一正『ぼくらは地方で幸せを見つける』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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多様性や共生など様々な気づきを頂いたパラリンピックも閉幕し、今日は二十四節気の白露。今号のテーマは「関係人口」です。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録下さった皆様に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−関係人口と移住−
総人口が減少し東京圏への一極集中が進むなかで、「関係人口」が注目されています。
「関係人口」とは、観光(交流)以上、移住(定住)未満の、地域と様々なかたちで関わる人々のことで、地域の人と交流するイベントや体験プログラムの企画・運営・参加、地域の企業等での就労、副業・テレワーク、ボランティアなど、そのかたちは多様です。
リンク先の図225は、人口1万人当たりの関係人口の人数と、2012年から2019年までの8カ年の田園回帰の状況(三大都市圏からの転入超過回数)について図示したものです(出典は国土交通省資料)。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/09/225_kankei.pdf
これによると、その地域を訪問している関係人口の人数が多い市町村ほど、三大都市圏からの転入超過回数が多いことが見て取れます。つまり、様々なかたちでの関係人口が増加することが、移住・定住の促進にもつなかっていることが伺えるのです。
なお、関係人口の来訪が多く、転入超過回数が多い市町村では、外部の人を受け入れる環境を整えていることが影響していると国土交通省は推測しています。
[資料]
国土交通省「関係人口の農林漁業及び農山漁村への関わり」
(農林水産省「新しい農村政策の在り方に関する検討会」第9回(2021.3/18)資料)
https://www.maff.go.jp/j/study/nouson_kentokai/attach/pdf/farm-village_meetting-175.pdf
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−ポケマル「産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査」−
2016年9月にスタートしたポケットマルシェ(ポケマル)は、生産者と消費者をつなぐ産直アプリ。メッセンジャー機能等を使った直接的なコミュニケーションも可能で、現在、約5,700名の生産者と35万名の消費者が登録しているとのこと。
このアプリを運営する(株)ポケットマルシェ(岩手・花巻市、高橋博之代表)は、ポケマル登録ユーザのうち5,600名を対象として、関係人口創出に関する実態調査を実施・公表しました。
調査結果によると、生産者と仲の良い(販売・発送以外のやりとりをしている)ユーザの71%が生産者のいる地域を訪れたいと回答しており、実際に100名以上が生産の現場を訪問しているとのこと。
つまり、アプリを利用して食べものを購入している消費者は、商品自体や生産者のみならず、その食べものが生産されている地域にまで関心が広がっていることが伺えるのです。
オンライン上で気軽に食べものを購入することが、生産地や産地とつながるきっかけになり、関係人口に発展する可能性があることが示唆されています。
[資料]
(株)ポケットマルシェ「産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査」(2021.8)
https://www.pocket-marche.com/news/2021082611001406/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−指出一正『ぼくらは地方で幸せを見つける−ソトコト流ローカル再生論』(2016/12、ポプラ新書)
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201111.html
著者は1969年群馬県生まれの月刊『ソトコト』編集長。
島根県「しまコトアカデミー」のメイン講師を務められるなど、多くの地域づくりプロジェクトに関わり、「関係人口」という言葉の提唱者の一人とされています(注)。
著者は、これまでの社会は幸せや豊かな社会の尺度を東京や東京的なものに置いてきたのに対して、現在、これら既成の価値観にとらわれることなく、それぞれのやり方で自分が手ごたえを感じながら、地域で本当に豊かな暮らしを送っている若い人たちが各地で活躍しているとしています。
著者自ら取材した「顔の見える」各地の「ローカルヒーロー」たちとは、例えば新潟の限界集落で古民家を「出会いの場」としてリノベーションしたアート集団、ボランティアをきっかけに宮城の半島部に移住した女性たち、島根の離島で仕事を作るIターン移住者、山形で伝承野菜を生産する農家の後継者と仲間たちなど。
全国各地で活躍する多くのヒロイン・ヒーロー達が紹介されています。
彼女・彼らには、人の役に立ちたい、地域の支え手になりたいという(ソーシャルな)意識が非常に強いという共通点があるとのこと。また、楽しいことを小さく始めて自分たちが面白がっていると、回りに仲間に入りたいという人が増えて、コミュニティの形成につながっているそうです。
さらに、「正論(「べき」論)では人の共感は得られない、届かない」という言葉も印象に残りました。個人の正義ではなく、地域全体の未来を自分ゴトとして考え、楽しみながら行動することが大切としています。
(注)
オーシャン・カレント欄で紹介したポケマルの高橋博之さんも、関係人口の提唱者のお一人。『都市と地方をかきまぜる』も地域づくりに関心のある方には必読の書です。
https://food-mileage.jp/2016/09/15/hon-9/
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 金子文子の思想[8/24]
https://food-mileage.jp/2021/08/24/blog-330/
○ 正義の食、真っ当な食[8/30]
https://food-mileage.jp/2021/08/30/blog-331/
▼ 筆者が企画・進行役を務める食農市民談話会(全6回)の第4回です。参加者募集中です。
○ 第4回 食と農の市民談話会【本日です】
日時:9月7日(火)19:00 〜21:00
話題提供:大和田順子さん(同志社大学教授)
『市民協働による関係人口づくりを通じた持続可能な社会づくり』(仮題)
場所:オンライン
主催:NPO 市民科学研究室
(詳細、問合せ等↓)
https://www.shiminkagaku.org/agrifoodmeetings/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 奥沢ブッククラブ第70回
セバスチアン・ジャブリゾ『シンデレラの罠』
日時:9月13日(月・休)19:00〜21:00
場所:オンライン
主催:奥沢ブッククラブ
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/382387326624465
○ 座標塾 第17期第4回
白川真澄さん(PP研)「グリーン・ニューディールは気候危機を解決できるか」
日時:9月17日(金)18:30〜21:00
場所:ピープルズ・プラン研究所(東京・江戸川橋)、オンライン
主催:研究所テオリア
(詳細、問合せ等↓)
http://theoria.info/?cat=3&paged=3
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「最高責任者なのに、突然の不出馬表明とは」
「青天(政権)の霹靂だね」
9月4日は「青天の霹靂」の誕生日だったそうです(陸游「九月四日鶏未鳴起作」)。それにしても国民への説明は最後までないまま「投げ出し」とは。
コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.226は9月21日(火)[和暦 葉月十五日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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バックナンバー
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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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