【ほんのさわり344】斎藤幸平『人新世の「黙示録」』

-斎藤幸平『人新世の「黙示録」』(2026.4、集英社)-
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-737010-2

【ポイント】
 著者は国家による計画経済化が必要で、「下からの自治の力」を育てることが重要と主張していますが、果たして現在日本にその土壌があるかどうかは懐疑的です。

2020年に出版され大きな反響を呼んだ前著『人新世の「資本論」』については、当時のメルマガ(No.207)の本欄で、気候危機が深刻化するなかでのマルクス理論を踏まえた鋭利な現状(資本主義)批判に比べて、将来に向けての具体的処方箋(<コモン>を重視する「脱成長コミュニズム」)については物足りないと、率直に書かせて頂きました。… 続きを読む

【ほんのさわり342】グリーンズ『リジェネラティブデザイン』

-グリーンズ『リジェネラティブデザイン』(2026.7、英治出版)-
https://eijipress.co.jp/products/2359

【ポイント】
 リジェラティブデザインとは、人と社会と環境を再生するための具体的な考え方。一人ひとりが「内なる自然」を取り戻すことの大切さも強調されています。

編著者のグリーンズは、ウェブマガジン「greenz.jp」で環境・社会問題解決に向けての情報発信等を行っているNPO法人。… 続きを読む

【ほんのさわり341】佐藤洋一郎『米の日本史』

-佐藤洋一郎『米の日本史-稲作伝来、軍事物資から和食文化まで』(2020.2、中公新書)-
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2020/02/102579.html

【ポイント】
 育種学者である著者による、米と稲作に対する畏敬と愛情に満ちた書です。将来に向けて、米と稲作が再評価される必要性が訴えられています。

1952年和歌山県生まれの農学者(専攻は育種学)である著者は、本書において、米の歴史を独自の時代区分に沿って記述しています。これによって時代をアクリル板のように重ねて重層的に眺め、米と稲作の文化が何であったかを鮮やかに描き出すことに成功しています。… 続きを読む

【ほんのさわり340】平賀 緑『お金儲けしない経済学』

-平賀 緑『お金儲けしない経済学-食べものから考える<共(コモン)>の仕組み』(2026.4、岩波ジュニア新書)-
https://www.iwanami.co.jp/book/b10160906.html

【ポイント】
 主流派経済学が無視してきた多種多様の非営利の活動に着目し、「身の回りから、小さく、分散して、自主的に動き始める」ことの重要さが強調されています。… 続きを読む

【ほんのさわり339】菅野静枝『非戦行脚29年』

-菅野静枝『非戦行脚29年~戦前にしないために』(2023.10、学習の友社)-
https://gakusyu.hateblo.jp/entry/2023/10/19/110554

【ポイント】
 戦犯処刑者の孫の妻だった著者は、夫の一周忌の日から非戦のための全国行脚を行い、戦争経験者等へのインタビューを続けています。

東日本大震災から15年目に当たる2026年3月11日(水)、渋谷の映画館のロビーで『金子文子~何が私をこうさせたか』の上映開始を待っていた時、やはり映画を待っておられた小柄な高齢の女性から声をかけられました。髪は短く刈り込み、尼さんのような風貌です。… 続きを読む

【ほんのさわり338】三原由起子『歌集・土地に呼ばれる』

-三原由起子『歌集・土地に呼ばれる』(2022.3、本阿弥書店)-
https://www.honamisyoten.com/item/tochiniyobareru/

【ポイント】
 著者がふるさと浪江の「復興」の現実と向き合い、問いかける第2歌集です。

著者は1979年福島・双葉郡浪江町(なみえまち)生まれ。実家はおもちゃと自転車を扱う商店だったそうです。1997年、高校生の時に第1回全国高校詩歌コンクール短歌部門優秀賞を受賞。進学のために上京した後も歌を詠み続け、多くの賞の候補となってきました。現在は日本歌人クラブ参与、現代歌人協会会員。東京・下北沢でご主人と出版社を営んでいるそうです。… 続きを読む

【ほんのさわり】杉本鉞子『武士の娘』

-杉本鉞子『武士の娘』([新訳]2016.3、PHP研究所)
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82778-0

【ポイント】
 日系人移民排斥運動が広る第二次世界大戦前のアメリカにおいて、杉本鉞子が英文で発表した『武士の娘』は、戦中戦後の日米間の相互理解等に大きく貢献しました。

杉本鉞子(えつこ)は1873(明治6)年、旧越後・長岡藩(現在の新潟・長岡市)の筆頭家老の娘として生まれました。幼少時代は厳格な武家の教育を受け、1898(明治31)年、25歳の時に結婚のために渡米します。… 続きを読む

【ほんのさわり331】2025年の振り返り(敬称略)

「令和の百姓一揆」関連では、実行委員会代表の菅野芳秀『生きるための農業 地域をつくるための農業』[No.309]、田中優子『一揆を通して社会運動を考える』[No.310]、幕末の世直し一揆を扱った小説・青山文平『下垣内教授の江戸』[No.314]を紹介。
 成田闘争にも参加した小泉英政『土と生きる-循環農場から』[No.326]、中世の宗教改革に先立つフランツ『ドイツ農民戦争』[No.328]も取り上げました。

米の関係では、30年以上前の論調がまったく古びていない井上ひさし『コメの話』[No.318]、お米への愛がてんこ盛りの柏木智帆『知れば知るほどおもしろい お米のはなし』[No.317]を紹介。… 続きを読む