【ほんのさわり269】辻 信一『ナマケモノ教授のムダのてつがく』

−辻 信一『ナマケモノ教授のムダのてつがく-「役に立つ」を超える生き方とは』(2023/1、さくら舎)−
 https://namakemono.shop-pro.jp/?pid=171926845

著者は1952年東京生まれの文化人類学者、NGO「ナマケモノ倶楽部」代表、明治学院大学名誉教授。インドのサティシュ・クマールの思想や南米の民話「ハチドリのひとしずく」を日本に紹介した方としても著名です。

本書で著者は、コロナ禍のなか「不要不急を避けよ」と叫ばれるなど、ムダに対する風当たりが強まり、ムダが忌避・敵視されることで、世の中はずいぶんと生きづらくなっているのではないかと警鐘を鳴らしています。… 続きを読む

【豆知識269】東京圏在住者の地方移住への関心

内閣府は、新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関するインターネット調査を定期的に行っています。
 リンク先の図269は、本調査における東京圏在住者の地方移住への関心の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/06/269_iju.pdf

これによると、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年5月の段階では、東京圏在住者(全年齢)のうち地方移住に関心のある人は30.2%でした。この割合はコロナ禍の下で徐々に増加し、2023年3月調査では35.1%(強い関心がある4.5%、関心がある9.7%、やや関心がある21.0%)となっています。
 これを20歳代についてみると、地方移住に関心のある人は2020年5月時点で39.2%と全年齢平均より9ポイント高く、コロナ禍の下で平均を上回って上昇し、2023年3月時点では44.8%(強い関心がある7.1%、関心がある13.5%、やや関心がある24.3%)と、平均を10ポイント近く上回っています。… 続きを読む

【ブログ】ぶらり歴史散歩(鎌倉・比企谷など)

2023年6月24日(土)。梅雨時らしく蒸し暑い日が続きますが、この日は雨にはならないとの予報。鎌倉へ日帰りぶらり散歩へ。

 昨年のNHK大河ドラマ(今年のは私には今イチだな~)で鎌倉初期の凄惨な歴史を知り、史跡巡りをしたいと思い続けていたところ、コロナ禍も収まり、ようやく1年ぶりに念願が叶いました。

お昼前の江ノ電藤沢駅は混雑。
 それでもGWの時のニュース映像のように恐れていたほどではありません。聖地巡りらしい女子高校生達も(鎌倉高校前で降りていきました)。

和田塚駅で下車。南へ徒歩数分、住宅地のなかの一段高くなっている一画が… 続きを読む

【ブログ】2023年の梅雨どき雑記

2023年6月8日(木)、気象庁は関東甲信地方が梅雨入りしたと発表。各地で激しい雨の日があると思うと、晴れ間には真夏日も。年々、気候変動が激しくなるようです。
 以下、個人の備忘録的に。

6日(火)は地元・東村山市内にある北山公園へ。昨年、コロナ禍の影響で3年ぶりの再開となった菖蒲祭りは、今年は模擬店も出るなど賑わいを取り戻しています。… 続きを読む

【ほんのさわり268】島村菜津『シチリアの奇跡』

−島村菜津『シチリアの奇跡−マフィアからエシカルへ』(2022/12、新潮新書)−
 https://www.shinchosha.co.jp/book/610978/

著者は1963年長崎生まれ、福岡育ちのノンフィクション作家。イタリアのスローフード運動を紹介した『スローフードな人生!』(2000年)は大きな話題となり、私自身も当時、大いに触発されたことを覚えています。
 その著者が10年以上にわたって取材を続けてきたのがイタリアのシチリア島。シチリア島と言えば映画『ゴッドファーザー』で描かれているように、マフィアの本場というイメージがあります。

本書でもマフィアによる凶悪な事件の数々が描かれています。… 続きを読む

【豆知識268】「エシカル消費」に対する意識と実践

消費者庁「令和4年度第3回 消費生活意識調査」(2022年12月)はエシカル消費を取り上げています。本調査では、「エシカル調査(倫理的消費)」を「地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動」と定義しています。

 エシカル消費を知っていると回答した人の割合は26.9%で、2016年(6.0%)、2019年(12.2%)に比べると、認知度が徐々に浸透してきていることを示しています。
 エシカル消費に対する認知度・興味、実践の状況を、性別・年齢階層別に示したものがリンク先の図268です。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/06/268_ethical.pdf続きを読む

【ブログ】次の時代を先に生きる人々(千葉・匝瑳)

池袋でオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」を経営されていた髙坂 勝(こうさか・まさる)さんが、千葉・匝瑳(そうさ)市に本格移住されてたのが2018年。
 それ以前からも取り組んでこられた米作りの場づくりのほか、古民家農泊、ソーラーシェアリング等の幅広い活動の現場を見学したいと熱望しつつ、コロナ禍もあって実現できていなかったのですが、2023年6月4日(日)、ようやくその機会が訪れました。… 続きを読む

【ほんのさわり267】白川真澄著『脱成長のポスト資本主義』

−白川真澄著『脱成長のポスト資本主義』 (2023/4、社会評論社)−
 https://www.shahyo.com/?p=11707

著者は1942年京都市生まれ。かつて60年安保闘争、ベトナム反戦運動、三里塚闘争等に関わり、現在はピープルズ・プラン研究所などで研究・普及、ネットワークづくり等に取り組んでおられます。私も、高坂勝さん(SOSAプロジェクト)と共催されている「脱成長研究会」に何度も参加させて頂くなど、多くの学びを頂いています。
 
 本書によると、現代の世界は深い危機(ウクライナ戦争、新型コロナの流行、気候危機、社会内部の格差の拡大と分断等)のただ中にあり、資本主義という現代の支配的なシステムは行き詰まりを見せているものの、予想以上の強い延命力を持っており、その手直しや自己修正では問題は根本的に解決できないとしています。… 続きを読む