【ほんのさわり】榊田みどり『農的くらしを始める本』

−榊田みどり『農的くらしを始める本−都市住民のJA活用術』(2022.1、農山漁村文化協会)−
 https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54021235/

著者は秋田県生まれ。生協勤務を経て、現在はフリーの農業ジャーナリスト、農政ジャーナリストの会副会長、明治大学客員教授。農水省の核種検討会の委員等も勤められています。

「豆知識」「オーシャンカレント」欄でみてきたように、様々な施策が講じられているものの新規就農者数が十分に確保されていないなか、神奈川・秦野市における先進的・ユニークな取組みはかねて注目されてきたところですが、本書は、その全体像を詳しく明らかにしているルポルタージュです。
 著者が注目しているのは、狭い意味での(農業を仕事とする)「新規就農者」だけではありません。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】農業をはじめる.JP

「農業をはじめる.JP」は、新規就農を目指す人のためのポータルサイトで、農林水産省の補助事業により(一社)全国農業会議所が運営しています。
 https://www.be-farmer.jp/

全国農業会議所とは、全国の市町村で農地の権利移動や転用の許認可等の業務を担っている農業委員会の全国系統組織で、全国新規就農支援センター(相談窓口など)の運営も担っています。

「農業をはじめる.JP」では、職業としての農業に興味を持たれた方や農業を仕事にしたいと考え始めた方が、就農に向けて具体的なアクションを起こしていくために役立つ情報を、分かりやすく、一元的に提供しています。[就農を知る][体験する][相談する][研修/学ぶ][求人情報][支援情報]に分類され、必要な情報にアクセスしやすいように工夫されています。
 また、全国及び各県の新規就農相談センターで行われている相談会や個別の相談業務(対面、オンライン、メール、電話等)、就農イベント(新・農業人フェア)に関する情報も掲載されています。… 続きを読む

【豆知識】担い手の減少と新規就農

1960年頃には1200万人近くいた農業の担い手(基幹的農業従事者数;仕事が主で、農業が主)の数は、長期的に大きく減少し、さらに近年も減少を続けています。
 リンク先の図236の右側が、2010年以降における基幹的農業従事者数の推移です。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/02/236_sinki.pdf

これによると、基幹的農業従事者数は近年も平均して毎年5万人ほど減少しており、2021年では約130万人と、1960年頃の約1割強の水準となっています。また、65歳以上の者の割合が約7割を占めています。
 かつての高度成長期における担い手の減少は他産業への流出によるものでしたが、現在のは高齢者のリタイアなど自然減少が主要因となっているのです。… 続きを読む

【ブログ】谷崎潤一郎『陰影礼讃』(奥沢ブッククラブ第76回)

徐々に朝夕の日が長くなってきました。何度か雪の予報は出たものの、東京地方は総じて晴れの日が多くなっています。
 2022年2月12日(土)の夕刻は、遠く西空に富士山のシルエットが望めました。いつの間にか梅の季節は過ぎつつあり、市内の公園では河津桜が咲いています。

2022年2月14日(月)19時からは、第76回の奥沢ブッククラブにオンライン参加。
 京都からの参加者・Iさんは、大学院を修了し島根での就職が決まったとのこと。障がい者福祉を学び、その経験を踏まえた優れた著書続きを読む

【ブログ】きっかけ食堂-戸倉っこかき(宮城・南三陸町)

2022年2月10日(木)から11日(金)にかけては、南岸低気圧の発達により東京地方も積雪との予報も出ていましたが、幸い、先月のような大雪とはならず。
 自宅近くの河川敷には、コロナ禍のなか花を植えて下さっている方がいます。小さなビオトープ(?)も。
 11日(金)は青空が広がりました。

その11日(金)の19時から開催されたのは、「きっかけ食堂@京都・愛知 続きを読む

【ほんのさわり】山本有三『米百俵』

−山本有三『米百俵』(2001.1、新潮文庫)−
 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784101060118

新潟・長岡市に伝わる逸話をもとに、1943年に山本有三が戯曲化し出版したもの。
 戊辰戦争において長岡藩は、家老・河井継之助の主導の下、新政府軍に徹底的に抗戦し破れました(司馬遼太郎の小説『峠』でも有名です)。
 焦土と化し、禄高も三分の一に削られた長岡の再建を託されたのが、恭順派として斥けられていた小林虎三郎でした(ちなみに『武士の娘』の杉本鉞子の父・稲垣茂光家老も、河井と対立して地位を追われた側でした)。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】伝統工芸品・亀田縞(新潟)

もんぺ製作所HPより https://monpeseisakusho.com/

亀田縞は、新潟・亀田郷において300年以上にわたり育まれてきた伝統織物です。
 現在の新潟市中央部に位置する亀田郷は、越後平野を流れる信濃川や阿賀野川に囲まれた広大な低湿地帯で、第二次世界大戦後に土地改良事業(排水事業)が実施される以前は、舟を使って腰まで水に浸かりながらという過酷な稲作が営まれていました。その様子は司馬遼太郎『潟のみち』にも描かれています。

その亀田郷での農作業や暮らしの中で、泥や水に強い綿織物として生み出された亀田縞ですが、戦後、海外からの安価な繊維製品の輸入が増加するなかで、いったんほとんど姿を消してしまいました。しかし平成の時代に入り、技術を守り続けてきた地元の方たちの尽力によって復活したのです。… 続きを読む