【ほんのさわり】保阪正康『五・一五事件』

−保阪正康『五・一五事件-橘孝三郎と愛郷塾の軌跡』(2019.4、ちくま文庫)−
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480435873/

本書は、1939年北海道生まれで昭和史の実証的ルポルタージュの第一人者が、五・一五事件の首謀者とされた橘孝三郎に対する長時間のインタビューをもとに著したものです。1973年(当時、著者33歳、橘孝三郎80歳)の刊行から46年後に文庫化されました。

代表的な農本主義者の一人とされる橘は、水戸の出身。
 第一高等学校に進むも中退して郷里に帰り、自ら山野を開墾して家族的小農を基礎とする協同農業を実践しつつ、農村青年教育のための愛郷塾を主宰しました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】過去最高値を更新するFAO食料価格指数

−過去最高値を更新するFAO食料価格指数−

FAOのウェブサイトより。https://www.fao.org/worldfoodsituation/foodpricesindex/en/

去る4月8日、国連食糧農業機関(FAO)が公表した2022年3月の世界の食料価格指数(2014〜16年=100)は159.3と、前月の141.4から17.9ポイント(12.6%)上昇し、1990年の集計開始以来、2か月連続で最高値を記録しました。

穀物は前月から17.1%上昇しており、特に紛争のためウクライナとロシアからの輸出が混乱していること等から小麦は19.7%、とうもろこし等の粗粒穀物は20.4%と高騰しています。… 続きを読む

【豆知識】米の購入先の変化

ウクライナ危機により世界的に食料安全保障に対する関心・懸念が高まっていますが、日本の場合、主食である米が国内自給できていることは大きな強みです。
 その日本の消費者の精米の購入先をみると、スーパーマーケットが49.8%(2020年度、以下同じ。)と約半分を占めており、ドラッグストア5.7%、ディスカウントストア3.9%、生協7.0%、米穀専門店2.4%等となっています。また、生産者からの直接購入が5.0%、インターネットショップが9.7%あります。

リンク先の図240の横軸は、購入先のシェアの2017年度から2022年度への変化を示しています。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/04/240_nyushu.pdf
 
 最もシェアが大きいスーパーマーケットのシェアは49.7%から50.5%へとほぼ横ばいで、ドラッグストアは1.8倍(3.7%→6.6%)、ディスカウントストアは1.3倍(2.8%→3.8%)とシェアを高めており、逆に生協は0.8倍(8.1%→6.4%)、米穀専門店等は0.9倍(2.7%→2.4%)とシェアを落としています。… 続きを読む

【ブログ】「脱成長」と食料安全保障

2022年も後半に入りました。一刻も早い停戦を祈るばかりです(このフレーズ、いつまで使わなければならないのでしょうか)。

気候は変動しつつも初夏に向かっており、気が付けば花水木が満開。
 郷里・徳島の友人(農家)が見事なニンジンを送って下さいました。有難うございます。天候不順と資材価格上昇に悩まされているそうです。

4月16日(土)の19時からは、脱成長ミーティングのオンライン公開講座続きを読む

【メルマガ】F.M.Letter No.240

去る2022年4月15日(金)[和暦 弥生十五日]、登録下さっている読者の皆様に以下のメルマガを配信させて頂きました。
 なお、ウェブ掲載にはタイムラグがあるため終了してしまったイベント等もありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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【セミナー(予告)】『フード・マイレージ』(5/12(木) 19時~、市民研・著者に尋ねる)

2022年5月12日(木)19~21時(オンライン)、NPO市民科学室特別講座「著者に尋ねる」第6回で、拙著『フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える(新版)』を取り上げて下さることになりました。
 https://www.shiminkagaku.org/booktalk_nakata_20220512/

コロナ・パンデミックに続いてウクライナ危機。かつてないほど、食べものや一次産業のことについて真剣に考えなければならない時期が来ています。食べものや一次産業のことについて、多くの方と意見交換できることを楽しみにしています。
(恐縮ながら市民研会員以外の方は参加費500円が必要です。申込み等はリンク先から。)

なお、本講座は、2021年6月~22年3月に開催した「… 続きを読む

【ブログ】全国に「ビレッジプライド」を!

2022年4月も1/3が過ぎましたが、ウクライナでの戦火はやみません。一日も早い停戦を願うばかりです。

天候不順が続くと思ったら、突然の夏日に。
 自宅近くに借りている市民農園の一画では、ようやくブロッコリやキャベツを整理(花芽は茹でて頂きました)。夏野菜等の作付けの準備が遅れています。

4月11日(月)の午後は、東京・竹橋へ。お堀端では八重桜等が満開です。

久しぶりに… 続きを読む

【ほんのさわり】足達太郎ほか『農学と戦争』

−足達太郎、小塩海平、藤原辰史『農学と戦争−知られざる満州報国農場』(2019.4、岩波書店)−
 https://www.iwanami.co.jp/book/b450153.html

ロシアのウクライナへの武力侵攻により、食料安全保障の重要性に対する認識が高まっていますが、食料や農業は、ある意味、戦争と強い「親和性」があります。戦争遂行に当たって、食料の確保は不可欠の条件であるためです。

第二次世界大戦中の日本も、食料確保のための国策を強力に推進しました。
 国内では少年たちを食糧増産隊として動員して全国に報国農場を設けると同時に、植民地であった満洲(中国東北部)には「満洲報国農場」という制度をつくり、府県や農業団体に政府公認の農場(むろん、本来の所有者の現地の人たち)を割り当て、入植・移民させたのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】農業・農村の多面的機能

農林水産省パンフレットより。https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/pdf/adult_zentai.pdf

農業・農村は、食料の供給だけではない様々な重要な役割を果たしています。
 例えば、水田には雨水を一時的に貯留することで洪水や土砂崩れを防ぐ機能があります。全国の水田に貯留できる水の量は約50億立米(東京ドームの約4千杯)とも言われています。
 さらに、河川の流量安定と地下水の涵養、生物多様性の維持、農村景観の保全、伝統文化の継承、体験学習や教育の場の提供など、様々な役割を果たしているのです。

これらの機能は基本的に貨幣換算できるものではなく、お金で買うこともできないものですが、2001年の日本学術会議の答申によると、洪水防止機能が3兆5千億円、河川流況安定機能が1超5千億円、土砂崩壊防止機能が約5千円、保健休養・やすらぎ機能が2兆4千億円等と試算されています。… 続きを読む

【豆知識】米と輸入小麦の価格の推移

総供給カロリーの13%を占める小麦の価格は、4月以降、大幅に値上げ改定されています。
 小麦は約9割を輸入に依存していますが、輸入小麦については、政府が計画的に買い入れて製粉企業等に売り渡す仕組みとなっており(買入価格と売渡価格の差額は国内産小麦の生産振興等に充当)、その売渡価格は、直近6か月間の国際価格、海上運賃、為替レートの動向等を反映して半年ごとに改定されます。
 2022年4月期の輸入小麦は5銘柄加重平均価格(税込み)で72,530円と、前期に比べ10,710円(17.3%)の引き上げとなりました(リンク先の図239の上のグラフ)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/03/239_beibaku.pdf… 続きを読む

【メルマガ】F.M.Letter No.239

去る2022年4月1日(金)[和暦 弥生朔日]、登録下さっている読者の皆様に以下のメルマガを配信させて頂きました。
 なお、ウェブ掲載にはタイムラグがあるため終了してしまったイベント等もありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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