【オーシャン・カレント】農業・農村の多面的機能

農林水産省パンフレットより。https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/pdf/adult_zentai.pdf

農業・農村は、食料の供給だけではない様々な重要な役割を果たしています。
 例えば、水田には雨水を一時的に貯留することで洪水や土砂崩れを防ぐ機能があります。全国の水田に貯留できる水の量は約50億立米(東京ドームの約4千杯)とも言われています。
 さらに、河川の流量安定と地下水の涵養、生物多様性の維持、農村景観の保全、伝統文化の継承、体験学習や教育の場の提供など、様々な役割を果たしているのです。

これらの機能は基本的に貨幣換算できるものではなく、お金で買うこともできないものですが、2001年の日本学術会議の答申によると、洪水防止機能が3兆5千億円、河川流況安定機能が1超5千億円、土砂崩壊防止機能が約5千円、保健休養・やすらぎ機能が2兆4千億円等と試算されています。

これら機能がもたらす恩恵は、都市住民を含めて広く国民全体に及んでいます。そして、これらの機能が維持・保全されているのは、言うまでもなく、先祖からの農地を守り、あるいは新規就農して、経済的にはペイしない山間部の棚田等を含めて耕し続けて来られた生産者の方々の営みによるものです。
 食料の安全保障に危機感が高まっているなか、特に私のような都市部に暮らす非農業生産者は、改めて生産者の方々に対する畏敬の念を強くする必要があると思います。

[参考]
 農林水産省HP「農業・農村の有する多面的機能」
 https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.239、2022年4月1日(金)[和暦 弥生朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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