総供給カロリーの13%を占める小麦の価格は、4月以降、大幅に値上げ改定されています。
小麦は約9割を輸入に依存していますが、輸入小麦については、政府が計画的に買い入れて製粉企業等に売り渡す仕組みとなっており(買入価格と売渡価格の差額は国内産小麦の生産振興等に充当)、その売渡価格は、直近6か月間の国際価格、海上運賃、為替レートの動向等を反映して半年ごとに改定されます。
2022年4月期の輸入小麦は5銘柄加重平均価格(税込み)で72,530円と、前期に比べ10,710円(17.3%)の引き上げとなりました(リンク先の図239の上のグラフ)。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/03/239_beibaku.pdf
今回の引き上げ改定の主な要因は、昨年夏の高温・乾燥による米国・カナダ産小麦の不作の影響であり、今後、さらにロシアのウクライナ侵攻の影響が出てくることが懸念されます。
一方、総供給カロリーの21%を占める米の相対取引価格(出荷業者と卸売業者との間での契約価格)は低下傾向で推移しており、近年、下落の度合いが大きくなっています(リンク先の図239の下のグラフ)。これは、長期的に継続する需要の減少を反映したもので、全国の米生産農家は苦境にあります。
それでも主食である米を作り続ける国内の生産者がいるからこそ、輸入小麦等が値上がりしても、日本の食料安全保障は相対的に確保されていると言えるのです。
[資料]
農林水産省プレスリリース「令和3年産米の相対取引価格・数量について(令和4年2月)」(2022年3月18日)
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/220318.html
同「輸入小麦の政府売渡価格の改定について」(2022年3月9日)
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/boeki/220309.html
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.239、2022年4月1日(金)[和暦 弥生朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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