【ほんのさわり】日本ペンクラブ編『うなぎ』

−浅田次郎選、日本ペンクラブ編『うなぎ:人情小説集』 (2016/1、ちくま文庫)
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480433336/

内海隆一郎、岡本綺堂、井伏鱒二、林芙美子、吉村昭など9人による短編小説と、斎藤茂吉の短歌選が収められています。それにしても主題であれ脇役であれ、ウナギが登場すると、かくも濃厚に人間模様(家族のぬくもり、男女の愛憎、犯罪、戦争など)が描かれるのかと驚きます。

 亡き父の単身赴任先だった松江で常連だった料理店を訪ね、好物だった「ウナギのたたき」を頂く娘、新婚旅行の時に夫が失踪した川沿いの温泉宿に毎年逗留する女性、行きずりの男と一夜を過ごした安ホテルの路地の先にはウナギを割く人の姿が。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】土用の丑の日

土用とは、四立(しりゅう;立春・立夏・立秋・立冬)の直前の約18日間のことで、この間に12日周期で割り当てられる十二支の「丑」と重なるのが「土用の丑の日」です。2020年は春、夏、秋、冬合計で7日あり、このうち夏は7月21日(火)と8月2日(日)の2日あります(一の丑、二の丑と呼ばれます)。

 土用はいずれも季節の変わり目に当たりますが、特に夏の土用は夏バテを解消するため、ビタミンAなど栄養豊富なウナギを食べる習慣があります。

 夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、平賀源内が流行らせたという通説の真偽はともかくとして、江戸中期に始まりました。もっともウナギが夏バテに効くことは『万葉集』の時代から知られており、ウナギは歴史的に日本の季節や風土と密接に結びついた食文化の一つなのです。

 また、ウナギを食べるのは日本だけではありません。
 古代ギリシアのアリストテレスは「ウナギは泥の中から自然発生する」と書き遺し、15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチは「最後の晩餐」の中央のテーブルにウナギ料理の皿を描いています。強靭な生命力と高い栄養、謎に満ちた生態等に、人類は魅せられてきたのです。… 続きを読む

【F.M.豆知識】うなぎの供給量等の推移

今日は土用の丑の日(次節参照)。日本の食文化ともかかわりの深いウナギですが、その供給量は近年大幅に減少しています。
 リンク先の図197は、ウナギの国内供給量(国産及び輸入)と価格の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/07/197_unagi.pdf

 これによると、ウナギの国内供給量は1980年代半ば以降から増加し、2000年には史上最多の約16万トンとなりました。8割以上は輸入で、特に中国における日本向けのヨーロッパウナギの養殖に支えられたものでした。
 その後、供給量は急速かつ大幅な減少に転じ、最近は5万トン程度で推移しています。… 続きを読む