◇フード・マイレージ資料室 通信 No.199◇
2020年8月19日(水)[和暦 文月朔日]
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◆ F.M.豆知識 猛暑日の年間日数の経年変化
◆ O.カレント 気候非常事態宣言
◆ ほんのさわり 大田昌秀『沖縄 鉄血勤王隊』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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全国的に猛暑日が続きます。今号は暑い夏の特集になりました。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
(過去の記事はこちらにも掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−猛暑日の年間日数の経年変化−
今年の8月は暑い日が続き、ほぼ連日、全国の多くの地域で最高気温が35℃を超える「猛暑日」となっています。
リンク先の図199は、全国(都市化が進んだ地域を除く13地点の平均)の猛暑日の年間日数の経年変化を示したものです。
棒グラフ(赤)は各年の年間日数(全国13地点における平均で1地点あたりの値)で、直線(紫)はこの期間の傾向線を示しています。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/08/199_moushobi.pdf
これによると、最近30年間(1990〜2019年)の平均年間日数は2.3日と、統計期間の最初の30年間(1910〜1939 年)の0.8日と比べて約2.9倍に増加しています。全国の猛暑日の年間日数は、統計的にも増加しているのです。
ちなみに過去最多の7.1日を記録した2018年には、熱中症により1,581人が死亡しました。
なお、気象庁気象研究所等は、大量のデータを用いるシミュレーション手法(EA)を用いて、人為起源による温室効果ガスの排出に伴う地球温暖化を考慮しなければ、2018年のような猛暑は起こりえなかったことを明らかにしています。
[資料]
気象庁「全国(13地点平均)の猛暑日の年間日数」
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
環境省「令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」p.7〜8
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/pdf.html
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−気候非常事態宣言−
気候変動の影響が顕在化し「気候危機」とも呼ばれる状況のなか、オーストラリアのデアビン市を皮切り(2016年12月)に、「気候非常事態宣言」を出して市民に緊急行動を呼びかける自治体が増えています。
世界では、約30か国の約1,500自治体が宣言を行っており、このうち日本においては15自治体となっています。
また、環境省のほか、宣言を行っている学会や研究機関等もあります。
日本での第一号となった長崎・壱岐市の「気候非常事態宣言」(2019年9月)においては、人間活動に起因する地球温暖化が既に人間社会や自然界にとって著しい脅威となっているという認識に立って、非常事態を宣言し、地球温暖化を回避するための脱炭素化の実現に向けて、SDGs未来都市として壱岐市全体で取り組むべき活動を打ち出しています。
これら多くの自治体等が宣言を行うようになった背景には、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんを始めとする世界の若者たちの気候ストライキ等の活動の拡がりがあります。
未来に対する危機感は(当然かもしれませんが)若者の方により強く、行動力もあるのです。
[参考]
長崎県壱岐市「『気候非常事態宣言』を表明します!」
https://www.city.iki.nagasaki.jp/soshiki/sdgs/6196.html
未来共創フォーラム(イーズ)「気候非常事態を宣言した日本の自治体」
https://www.es-inc.jp/ced/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−大田昌秀 編著『沖縄 鉄血勤皇隊』(高文研、2017.6)
http://www.koubunken.co.jp/book/b287286.html
暑い暑い8月は、鎮魂と慰霊の月でもあります。
本書の著者は1925年沖縄・久米島生まれ。沖縄師範学校在学中には鉄血勤皇師範隊の一員として沖縄戦に参加。
戦後は早稲田大学、アメリカの大学院への留学を経て、琉球大学社会学部教授に就任。1990年から沖縄県知事を2期8年、2001年から参議院議員を1期6年務めた後は、NPO沖縄国際平和研究所を設立し平和研究を続けられました。
本書は、著者が逝去された2017年6月に刊行されたものです。
著者が生涯にわたって一日たりとも忘れられなかったのは、「いくつもの地獄を一か所に集めたかのような、悲惨極まる沖縄戦の生々しい体験」でした。
太平洋戦争も末期の1945年3月、米軍の空襲と艦砲射撃が本格化し沖縄の住民が「根こそぎ召集」されるなか、県下の12の男子中等学校の13〜19歳の生徒1600名以上(正確な数字は不明とのこと)も、法的な根拠もないまま駆り出されたのです。
そして激化する戦闘の中、少年たちは陣地構築や食糧・弾薬の輸送、あるいは特攻兵として従軍し、6月22日の日本軍司令官の自決後も含めて、半数以上が「人生の蕾のままで戦場の露と消えた」のです。
なお、女子生徒も400名以上が看護要員として動員され(ひめゆり学徒隊など)、やはり半数が犠牲となっています。
本書には、著者が長年にわたってアメリカの公文書館で収集した米軍による写真(泥にまみれた少年たちの姿には心が痛みます)のほか、元隊員の手記、12の中学校ごとの鉄血勤王隊の詳細な戦闘記録や戦没者名簿等も収録されています。
九死に一生を得て生き延びた著者にとって、生きる意味とは、絶対に二度と同じ悲劇を繰り返さないため、戦死した学友たちの正確な記録を残し、世界平和の創出に努めることでした。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 例年と違う8月[8/11]
https://food-mileage.jp/2020/08/11/blog-273/
〇 タクシー会社による“Food Camp”の取組み(福島・郡山市)[8/14]
https://food-mileage.jp/2020/08/14/blog-274/
〇 オンラインでの車座座談会[8/18]
https://food-mileage.jp/2020/08/18/blog-275/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 配信ヒナタバー!禎ちゃんナイト0820
日時:2020年8月20日 (木)20:00〜22:00
場所:オンライン
主催:ヒナタバー
(詳細、問合せ等↓)
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/013uet115hg09.html
○ 静岡県西伊豆町オンラインちょい飲み
日時:2020年8月21日 (金)19:00〜21:00
場所:オンライン
主催:ちよだいちば
(申込み先、参考↓)
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=bbylTzjA
https://www.chiyodaichiba.com/
○ ポケマル代表 高橋が埼玉県へ参ります!〜47キャラバン in埼玉〜
日時:2020年8月24日 (月) 18:30〜20:30
場所:見沼グリーンセンター(さいたま市)、オンライン
主催:ポケットマルシェ(ポケマル)ほか
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/14065270228679662020
○ ニュー農マル時代!都市から始まる帰巣本“農”
ベジアナは見た!東京のローカル回帰
講師:小谷あゆみさん
日時:2020年8月30日(日)10:00〜11:30
場所:オンライン
主催:霞ヶ関畑(第171回)
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/250050142629974
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「大駒は飛車しか使わんのじゃ」
「そうなんですか」
「角(核)は不要じゃけえ」
どなたか広島弁の添削をして下さると幸いです。
コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.200(!)は9月2日(水)[和暦 文月十五日]に配信予定です(ついに大台! でも、ちょっとマンネリ気味だな〜)
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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