【ブログ】タクシー会社による “Food Camp” の取組み(福島・郡山市)

2020年8月は梅雨明けから猛暑続き。と思うと、8月12日(木)の午後はすごい豪雨に。
 夜には晴れて、火星、木星、土星が輝いています。15分ほど眺めていましたが、この日極大だったペルセウス流星群は1個も見えず。

その12日19時からは、語り場プロジェクト主催「話題沸騰のFood CampⓇ 運営会社社長の人生とそのターニングポイントとは?」と題するイベントにオンラインで参加。
 リアルな会場とオンラインとの同時開催でした。

 この日のゲストは山口松之進(しょうのしん)さん。
 郡山観光交通(株)、山口タクシーグループの代表取締役で、復興庁「復興事業事例顕彰」(2018)、環境省「第7回グッドライフアワード環境大臣賞優秀賞」(2019)等を受賞されている方。

 スライド(Zoomで共有)を使って、山口さんの話が始まりました(文責はすべて中田にあります)。

1970年、福島・郡山市に生まれた山口さんの人生には、これまで4つのターニングポイントがあったそうです。

 野球一筋で体力には自信があったのに、東京の大学に進学した時に自然気胸で入院。同室の患者が亡くなられ、人生の無常を知ったのが第一のターニングポイント。

 第2は、九州で先駆的に取り組まれていた介護タクシーとの出会い。ご自身も始めドライバーがヘルパーの資格を取得し、高齢者の病院への行き帰りや買い物をサポートする事業につながっています。

 第3は社員に書かせた始末書。つらい思い出だったようで、時折、言葉を詰まらせながら語られます。「生きがいの循環を目指したい」と、経営者としての責任感を自覚するターニングポイントになったとのこと。

 そして第4が東日本大震災と原発事故。自然の怒りを体験すると同時に、自然の恵みを実感した。
 これらは福島しか経験していないことで、福島は世界の共生都市のモデルになりうる。自分でできることをやっていきたい、等と語られました。

写真は「孫の手トラベル」HPより。https://magonotetravel.co.jp/

山口さんは本業のタクシー業のほか、運送、コンビニ経営、介護、旅行業など幅広い事業を展開されていますが、その中で最も勢いのある看板的な取り組みが「Food Camp」とのこと。
 一日限りのアウトドアレストランを楽しむ日帰りバスツアーとのことです。

 地元の情報番組の動画も流しながら、詳しく紹介して下さいました。
 バスで畑に到着した参加者の皆さんを出迎えたのは、ウェルカムドリンクならぬ「ウェルカム茄子」。生のまま美味しそうにかじっているのは、佐助茄子という地域の伝統品種だそうです。
 畑で収穫を体験したのち、青空の下、畑に拡げたシートの上にごろんと横になるのは、野菜の気持ちを体験するためとのこと。

 そして生産者の方が心をこめて育てた野菜は、その場でフードカートで料理人が調理し、畑の中にしつらえたテーブルで頂きます。
 参加者の皆さんの美味しそうな笑顔、笑顔。生産者、料理人の方も笑顔です。

「原発事故後は風評被害にも悩まされた福島の野菜の美味しさ、生産者の方の思いを伝えていきたい。言葉だけでは伝えきれないこと」等と山口さんは話されました。

写真は「孫の手トラベル」HPより。https://magonotetravel.co.jp/

後半は質疑応答。オンラインと会場から、積極的に質問が出されした。実際に起業している若い方も多く、山口さんの事業は注目されているようです。

 私も、なぜ食や農業に注目されたのかと質問させて頂きました。
(周りを気にすることなくチャットで入力しておけば、司会の方が順番に指名して下さいます。オンラインのメリットの一つです。)

 山口さんからは、
 「食は一番、人間の本能に近いところにある。美味しければ楽しい。震災直後は『応援』で買ってくれる人はいたが、情ではなく、美味しいからと食べてもらいたいと思った。
 福島に限らず、地元には美味しいもの、価値ある宝物ものがたくさんある。みずみずしい茄子など一口食べるとファンになる。大事なのは知識ではなく、自分の体験と感情」
等のお答え。

 また、郡山ではかねてブランド野菜等に取り組む意欲的な生産者の方たちがいることも、背景にあったそうです。確かに志ある生産者の方がいないと、このような取組みは成り立ちません。

写真右は主催者(語り場プロジェクト)HPより。https://www.facebook.com/kataribap

最後にオンラインの画面と会場で記念撮影(写真は主催者のFBから)。
 少人数で和気あいあいとした楽しい時間でした。山口さん、主催者の皆さんに感謝です。

 とはいえ、「体験の大切さ」の話をオンラインでしか聞けなかったのは、やや物足りなくもありました。
 世の中が落ち着けば、ぜひ一度、Food Camp に参加したいと思います。