【ブログ】兵庫県 但馬(たじま)を食べて解きほぐす晩

2021年9月17日(金)は自宅でテレワークだったのですが、1時間早く切り上げて東京・神田の47都道府県レストラン・箕と環へ。

 各地の生産者・事業者の顔が見える特産食材を使った月替わりの定食などが楽しめます。店内には直売スペースも。

この日18時30分から開催されたのは、「兵庫県但馬(たじま)を食べて解きほぐす晩」と題するイベントです。

兵庫・但馬漁業協同組合(JF但馬)の森歩(もり・あゆみ)さんをゲストスピーカーに迎えて(オンライン)、但馬の暮らしや食についてのお話を聴きながら但馬の食材を楽しもうというイベント。
 「食べる通信」関係のイベントや高円寺で開催されているマルシェ等で面識があった森さんは、この4月に移住されたばかりです。

この日の参加者は7名ほど。
 森さんと色々な繋りがある方ばかりで、但馬や森さん宅を訪ねられた経験のある方、京都から自転車で来られたという学生さんも。
 それぞれ自己紹介の後、地元からのオンライン参加の森さんの話が始まりました。変わらずに元気でパワフルなお姿です(文責・中田)。

「本年4月に兵庫・豊岡市に移住。日本海に面した竹野浜というところに住んでいる。神戸などからは遠い。
 兵庫県は広く、歴史も風土も異なる「ひょうご五国」からなる(摂津エリア、播磨エリア、丹波エリア、淡路エリア、但馬エリア)。ちなみに「ヒョーゴスラビア」という言葉もある(笑)」

 「私は東京出身。沖縄やフィリピンで暮らした後に東京に戻り、10年ほど外国人向けの日本語教師をしていたが、そろそろ東京を出たいという思いが強くなっていた」 

「元々演劇が好き。豊岡市のことは、平田オリザさんが主宰する劇団とともに移った先として知っていた。
 今から1年ほど前に実際に訪ねてみると素晴らしいところで、ここに移住しようと決めた」

 「仕事は決まっていなかったが、『東北食べる通信』の縁で東北の漁師さんのお手伝いに通っていた経験があったので、一次産業を盛り立てる仕事をしたいと思っていたところ、コネも何もなかったが、但馬漁業協同組合(JF但馬)に就職することができた。
 現在、新製品の企画やオンラインショップの運営等を担当している」

 「漁協とは漁業者による協同組合で、地方卸売市場の開設等のほか、水産加工品の製造販売も行っている。漁協職員もセリに参加し、生鮮流通に乗りにくい未利用・低利用の魚介類も落札。漁業者の所得確保につながり、地元の加工業者に製造委託することで地域経済にも貢献」

 「漁協オリジナル商品の一つである麹の魚醤は5年かけて開発したもので、香住カニ、甘えびなど7種類ある。
 旨干しは一度魚醤にくぐらせている。柔らかくなり臭みがなくなる。炊き込みご飯の調味料も魚醤のみ。麹の力は素晴らしい」 

 「自分で魚をさばける人は少なく、家庭での魚の消費は減っている。手に取りやすいかたちで消費者に届けるのも、加工品に取り組んでいる理由の一つ」

森さんのお話が一段落したところで、「但馬スペシャル定食」を出して頂きました。
 ハタハタとエテカレイの旨干し。のどぐろの炊き込みご飯。初摘みむかしのり。そして「スペシャル」のホタルイカの旨干し(ネットショップでも扱っていないそうです)。いずれも魚醤が使われているとのこと。
 野菜たっぷり、具沢山のお味噌汁も。

食事を頂きながら、モニターの中の森さんと質疑応答と懇談(一緒に食事できないのは残念でしたが)。

 住んでみて良かったところ、期待外れだったところは、とお尋ねしたところ、
 「海がすぐ近くにあり、低い山もある。気持ちをリセットできる場所が身近にたくさんある。田舎ながら住宅街のなかにあり、回りの方も気にかけてくれて寂しくない。
 一方、困ったことや嫌なことは何もないが、ただ、これから迎える冬は極寒でほとんど太陽が見られないらしい。そこが不安と言えば不安」等と答えて下さいました。

 漁協の職員は、セリ等の現場は別にして女性や若い職員も多いこと。自家で食べるためだけに準組合員となっている人も多いことなど。
 炊き込みご飯の素は地元の水産高校の生徒たちが作っていて、近年、志望者が増えていること等についても話して下さいました。

 また、豊岡市は積極的な行政の取組みもあって移住者が多い地域だそうです。
 「豊岡市はコウノトリの野生復帰に取り組んでいることでも有名だが、移住者にはお米一俵がプレゼントされる。ただし、農家さんに手伝いに行くことが条件。農家との顔の見える関係ができる」とのこと。

森さん宅を訪ねたことのある方からは
 「あいにくの悪天候だったのは残念だったが、人は多く、人と人とのつながりの深さを感じた」等の感想。
 例年だと年間30万人が海水浴等に訪れる観光地で、近くにはコンビニもあるそうです。

 最後の方で愛犬・アフロが登場した時には「こんなに大きくなったの」との驚きの声も。もっともアフロ君自身は、モニターに映った自分の姿を見て凍っていたようですが。

21時過ぎにイベントは終了。ご馳走様でした。お土産に希少品のホタルイカの旨干しを頂きました。
 
なお、但馬定食は9月の月替わりメニューとして頂けます(ホタルイカはつかないと思います)。
 また、箕と環の店内では但馬漁協の加工品なども販売中。ネットでも購入できますが、ここなら送料無料でお得です。

 月内に、もう一度くらい食べに来ようかな。