2021年9月20日(月、敬老の日)は好天。
午前中のイベントに参加するため(リアルのイベント、久しぶりだな~)、西武線・恋ヶ窪駅から徒歩で西国分寺へ。住宅地の間には手入れされた農地。生産性が高く後継者の確保率も高い東京農業、侮れません。
余裕でクルミドコーヒーへ。一度、訪ねてみたいと思っていたカフェです。
ところがドアを開けてみると、イベントの会場は隣駅にある姉妹店とのこと(ちゃんと確認せんかい)。従業員の方が、やや憐みの目線で(私の主観です)地図の入った姉妹店のカードを渡して下さいました(汗)。

慌てて駅へ。入線してきた上り電車に乗って一駅、国分寺駅から徒歩5分ほどの胡桃堂喫茶店へ(はあはあ)。5分ほど遅れてしまいました。
昔ながらの懐かしいような外観。会場の2階に上がり、コーヒーなど頂いて、空いていた一番奥の窓際の席へ(すでに始まっていたのに、演壇近くをウロウロと失礼しました)。
陽が射しこむ窓ガラスもアンティークで趣きがあり、快適な空間です。

この日9時から開催されたのは「『ゆっくり、いそげ』のこれまでとこれから」と題するイベント。
『ゆっくり、いそげ』の著者でクルミドコーヒー・胡桃堂喫茶店店主の影山知明さんから、発刊から6年半後の今、何を思い、この先にどんな展望を描いているか、じっくり聴いてみようという企画です。
以前、まちづくりイベント等で影山さんのお話は何度か伺ったことがあります(久しぶりです)。
聴き手の鈴木弘樹さん(胡桃堂喫茶店スタッフ、22歳とのこと)の進行により、『ゆっくり、いそげ』の内容を振り返りつつ、影山さんのお話が始まっていました。
現地の参加者は人数制限もあり15名ほど。オンライン中継もされています。(以下は中田の文責による意訳です。正確な全体のご発言内容等についてはYoutubeをご覧下さい。)
「本を出してから6年がたち確信したことがある。人が幸せになり、同時に仕事や経済が健全に育つことと両立させるには、この本に書いたようなやり方しかないのでは」
「(本を手に振り返りつつ)1章では、不特定多数でも特定少数でもない『特定多数』が重要と書いたが、最近は特定中数という言葉も出てきた。コロナ禍のなか、お店に足を運んで下さる方たちに救われた。
『お手紙珈琲』という取組みも始めた。お店に来た方が次回のコーヒー代を支払って手紙を残すと、手紙を読んでコーヒーを飲んだ人から手書きの返事が届くというもの。人と人とのつながりができる」
「この店の開店に当たってはクラウドファンディングを活用。寄付付きの出資形式という、お金は間違いなく減るという仕組みであるにもにもかかわらず、多くの人に助けてもらった」

「これまでの組織は、上がミッションを作って人を集めるという三角形。これを逆にしたいと思っていた。集まった人がやりたいことを重ね合わせることで、組織の方向性を決めていく。ダイナミックで弾力的。
だから、お店もスタッフが変わると、今も人気のあるトマトジュースなど無くなってしまったメニューもある」
「ぶんじ寮も作った。自由な生き方を実現しながら町に暮らす拠点という位置づけ」
「6年前の出版時からテキスト自体は変わっておらず、今も自分の拠り所となっている。
しかし、今も多くの方に読んで頂いているということは、世の中が変わっていない証拠ともいえ、複雑な思いもある。
一方で、自分の周りでは変化の芽が出てきていると言ってくれる人もいる」
「自分はタコのようなもの。どんどん上がっていくし、まだまだ上がれるという自負もある。そこを糸で引っ張ってもらって、多くの人とつながっている。これからもチャレンジを追求していきたい」
「48歳を迎えて、やると決めたことが6つある。
世の中に大きな物語が無くなってしまい、みんなバラバラになってしまった今、中くらいの物語を他者とのお互いの関係のなかで育てていきたい。
まずはゴータマ・シッダルタやガンジーなど(笑)、多くの思想家との連続対話をやってみたい。ボコボコにされるかも知れないが、自分は思想家ではなく実践家。
銀行、学校、エネルギー、空き家活用等にも取り組んでいきたい」

投票率向上運動など政治への関心も強い影山さん、2年後に予定されている市議選なども視野に入っておられるそうです。
「私たちの社会は、電力など大きなシステムから無縁ではいられない。一人では無理。みんなの力を持ち寄り、できることから一歩ずつでも、この町(国分寺)で、新しい社会システムづくりにチャレンジしていきたい」
「一人ひとりが、他者に配慮しつつ、のびのびと暮らせる社会(コモンズ)を実現していきたい。ローカル・足元での取組みが、自然にグローバルにつながっていくと確信している」
影山さんからは、この日のイベントに寄せられた多くのメッセージの一部も紹介されました。日本の各地で、影山さんの考えに賛同される方たちが活動を始めておられるようです。
その影山さんは来月から「旅」に出られるとのこと。
あえて細かなスケジュールは立てず、ゲリラ的に全国各地の会いたい人を訪ねて行かれるそうです。
「時間がかかった方が、着実に進んでいくこともある。『ゆっくり』が、かえって早く目的地に到達できる」
「イメージできないところには、誰も近づいていけない」等の言葉も。

影山さんのお話は、単なる思想や理論ではなく、実践に裏付けられているだけに、人を引き込んでいく説得力があります。今後の展開にも、大きな期待を持って注目していきたいと思います。
素晴らしいトークショーでした。スタッフの皆様にも感謝申し上げます。
終了後の会場は、影山さんや鈴木さん、参加者の皆さんで大いに盛り上がっていました。やはりリアルに顔を会わせての会合は、オンラインでは代替できません。
帰り際、影山さんのご著書2冊と、胡桃とお茶のホロホロクッキーを求めさせて頂きました。
他にも色々とイベント等も開催されているようです。また機会があれば、クルミドコーヒー共々、訪ねたいと思います。