【ブログ】雑穀収穫と『種子をつなぐ人』上映会(山梨・西原)

2023年9月10日(日)は晴天、気温も上昇するとの予報。
 山梨・上野原市西原(さいはら)へ。農作業や地域の手仕事を学ぶ「しごと塾さいはら」として、この地を定期的に訪ねるようになってから14年目になります。

 午前中は「お山の雑穀応援団」(山村の伝統食・雑穀を守り育て、次世代につなぐために立ち上げられたプロジェクト)との合同イベントとして、もちきびの収穫。

 9時30分に交流施設・びりゅう館前に20名ほどが集合。自己紹介に続き、世話役の冨澤太郎さん(やまはた農園)から、この日のスケジュールと作業内容の説明など。
 もちきびは穂の下の葉を1枚残してハサミで刈り取り、8~10本ほどを束ね、もう一束とともに麻ひもで縛り、はさに掛けていくという作業内容です。

びりゅうかん前の畑に5月に種まきしたもちきびは、多くの穂をつけています。
 鳥除けのネットを外し、思い思いに畑に入って刈り取っていきます。

手分けして、教えられたとおりに刈り取って束ね、軽トラに掛けていき、最終的にはびりゅう館の軒下にはさ掛けました。
 特に優良な(茎が長く、実が大きな)穂は、来年、播く種子として別に保存します。

11時半頃には、車に分乗して地域で雑穀栽培を守り続けて来られている中川さん兄弟の畑に移動。引き続きもちきびの収穫です。兄の「雑穀名人」智さんは体調を崩されており、弟の仁さんとともに作業します。

こちらは「名人」中川さんの畑らしく、背も高く、実もたくさん着いています。
 ここでは中川さん流に、穂のすぐ下からハサミで刈り取っていきます。刈った穂は、天気のいい日に屋根などに広げて天日干しをするそうです。ただ、この方法だと、雨が降ってくると急いで取り込む必要があるなど、相当の労力がかかるそうです。
 結局、時間の関係もありすべてを刈り取ることはできませんでした。

12時半過ぎにはびりゅう館に戻って昼食。
 雑穀ご飯、水車挽き手打ち蕎麦、夏野菜の天ぷらと煮物、せいだのたまじ、刺身こんにゃくなど、山村の幸がたっぷりの定食です。

昼食後は再び車に分乗し、古民家宿「したで」に移動。
 築150年の古民家を、2015年ごろにワークショップ形式でリノベーションした建物。ワークショップには私も何回か参加しました。

雑穀栽培などの写真が展示されています。
 カフェも併設。リノベ前に比べると見違えるようにきれいに、お洒落になっています。

14時から映画『種子をつなぐ人-西原・中川智さんの雑穀栽培の暦』の完成披露上映会が開催されました。
 中川さんご兄弟、研修生の方の雑穀栽培の様子を1年間追ったドキュメンタリ。農法、農具の使い方、四季の西原の風景などが淡々と描かれていきます。
 番外編として「西原の郷土食」編も。雑穀だけではなく、蕎麦、馬鈴薯など伝統に支えられた様々な食文化が描写されています。

制作に関わった方たちによる挨拶とトーク。
 「中川さんは、雑穀の種だけではなく、自然との関わりの中での生活というものをつないでくれている。メディアという立場で、映像として残すことで貢献していきたい」

 太郎さんは、午前中に刈り取ったもちきびを手に登場。
 「この地に移住・就農して約10年。中川さんが伝統的な農業を続けておられることを知った時は衝撃を受けた。とはいえ、自分の農業は非効率な手作業だけでは回らないため、耕うん機なども使っている現状。しかし雑穀に限らず、原点としての手作業の大事さを忘れないようにしたい」等のコメント。
 もう一人の新規就農者の方は「農地防災面でも、機械による作業だけではなく『最後のひと鍬』により水を切ることが重要」と話されました。

 上映会の主催者でもある「したで」オーナー・長田容子さんからは、FBのグループページ「雑穀街道-縄文雑穀の種を未来へ」等について説明がありました。
 FAO 世界農業遺産登録に向けても活動しているそうです。

16時過ぎに終了。
 したでを出て改めて周囲を見渡すと、豊かな山ムラの眺望が広がっています。この豊かさは、便利さや効率性とは裏腹の関係にあります。
 近くの神社に参拝。10年近く前に訪問した時に比べると、石段などには雑草が繁茂していました。

しごと塾のメンバーはびりゅう館に戻り、屋外に置かれたテーブルで10月8日(日)の西原ふるさとまつりの相談。
 今回は、コロナ前以来久しぶりに仕事塾としてブースを出展する予定とのことです(2018年の模様はこちら)。