農家数や就業者数に比べると、農家人口という指標はあまり注目されません。しかし、消費者から農(生産の現場)が遠くなってしまった要因を探る上では、重要な指標となります。
リンク先の棒グラフは、農家人口(農家世帯員数)の推移を年齢階層別に示したものです。
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1960年の農家世帯員数は3,441万人と、総人口の36%を占めていました。つまり、人口の約4割は農家の世帯員(家族)だったのです。それが2020年には約349万人と約10分の1へと激減しました。なお、これは、農家数(29%)、農林業就業者数(16%)に比べても大きな減少率です。
この結果、総人口に占める農家人口の割合は約3%へと大きく低下しています。
さらに、農家世帯員数を年齢階層別にみると、若い世代が特に大きく減少していることが分かります。農家世帯員数に占める20歳未満の者の割合は1960年では41%だったのが、2020年には11%へと低下しています。
農家の子弟は、経済が高度成長するなかで実家を離れ、東京など大都市圏に移住し他産業に就職しました。しかし両親や親戚の多くは「田舎」で農業を続けているため、生まれ育った実家に帰省する機会も多く、農業を手伝うこともありました。つまり、ふだんは農業に携わらない国民(消費者)の多くにとって、「農の現場」は身近な存在だったのです。
ところが、都会で生まれた次の世代にとっては、祖父母の家は、せいぜい盆暮れに「遊びに」行くだけの場所になってしまい、その機会も次第に減少していきました。
これが、消費者にとって農の現場が遠くなり、産地や生産者のことを想像することが難しくなっている要因の一つとなっていると思われます。
データの出所:
農林水産省「農林業センサス」(累年統計)、総務省「国勢調査」(時系列データ)から作成。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/past/stats.html
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200521&tstat=000001011777
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.275、2023年9月15日(金)[和暦 葉月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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