和暦招聘講座・植物と虫の素晴らしき関係

2018年6月3日(日)は好天、気温も上昇。
 東京・井の頭公園も緑が濃くなってきました。湧水が目に涼やかです。

久しぶりに森の食卓(三鷹市井の頭5)へ。

この日開催されたのは、「【和暦招聘講座】植物と虫の素晴らしき関係~お互い様のいのちの交信」と題するイベント。
 主催は「和暦手帖」の高月美樹さん(ルナワークス)です。

25名ほどの参加者で会場は満席。
 まずは、森の食卓オーナーの田中眞喜子さんの手によるランチを頂きました。天然酵母パン、地元産野菜を使ったサラダヤラタトゥーユなど。

食事を頂きながら、参加者一人ひとりから簡単に自己紹介。山梨や神奈川から来られた方も(一緒に食事をすると、初対面の方でも一気に距離が縮まります)。

ゆったりと食事を頂いた後、高月さんから開会の挨拶と、この日のゲストのお二人の紹介。

名古屋で開催されたイベントに参加された高月さんが感じ入って、ぜひ東京でもと、この日のイベントを企画されたそうです。

グロッセ・リュックさんは、1951年ブリュッセル生まれのペイザジスト(自然風景式庭園デザイナー&ガーデナー)。
 1987年に来日。(有)みどりのゆび/エコール・グロッセを設立し、岩手・花巻市東和地区等を拠点に、多様な植物、虫、微生物等が共生する庭づくりをされている方。

パーチナーのグロッセ世津子さんは、リュックさんとはフランスで出会ったそうで、園芸療法の実践家でもあるそうです。

「植物と虫:お互いさまの命の交信」というタイトルの詳細なレジュメを配って下さいました。

スライドを映写しながらリュックさんがフランス語で説明されるのを、世津子さんが通訳されます(漫才のような楽しい「掛け合い」です(失礼))。

ベルギーで通っておられた学校の校庭、日本のガーデン等の美しい光景が映写されます。

なお、来週9、10日には「東和ビオガーデン」で「ガーデン&マーケット in 東和 2018」が開催されるとのこと。

さらに色鮮やかな、様々な植物や虫のスライドが次々と映写されます。

自然界(花)は、受粉を助けくれる昆虫を引きつけるために、色や匂いを工夫している。腐った肉に擬態する(臭い!)植物も。
 ランタナは、異なる色の花を時間をずらして咲かせることで多種類の昆虫を引き寄せる。

蜜蜂は紫外線は見えるが赤色や赤外線は識別できない。
 蜜蜂を呼び寄せるために紫外線を発する花も。自然界には驚くべき仕掛けがある。

生き物に擬態した植物もある。クモ蘭、ハエ蘭、モンキーオーキッドなど。なかには「神様のジョーク」としか思えないようなものも。

次々と映写される変わった色や形の植物に驚いていると、中にはリュックさんのジョーク(トカゲとランの花の合成写真)も混じっていました。
 真剣に見ていた参加者から「騙された!」と笑いが起きます。

合成写真がそれほど不自然に感じられないほど、自然の造形は不思議です。

ドクチョウ属の翅の2本の赤いラインは、毒があることのサイン。
 赤いラインを隠すと捕食される率が上がるという実験結果も。

中南米に棲息するハキリアリは、花や葉を切り落として行列になって巣に運び、菌類を栽培して餌にしている。農業をするアリ。

アカシアの一種は、トゲの一部をアリの巣にして餌(樹液)も提供。1本の木に10万匹ものアリを棲まわせ、共生し、草食動物等の攻撃を防いでもらっている。

私たちの体は多くの細胞から構成されている。体の中には多数の微生物がいて、その微生物のおかげで私たちは生かされている。私たちは多くの命の総和。

体の表面にも微生物がいる。その種類や構成は1人ずつ違う。あたかも指紋のよう。

自然界は、常に循環し変化しているダイナミックな世界。

現代の私たちが孤立していると感じるのは、自分自身が全体の一部であることを忘れているから。
 共生、おたがいさまということを大事にしたい。

お二人の話に続いて、高月さんから和暦と蜜蜂の生態等について説明がありました。
 蜜蜂の社会は完全平等とのこと。人間は蜜蜂から学ぶことが多いそうです。

16時を回っていったんお開きに。

時間のある人は残り、リュックさんご夫妻と懇談したり、高月さんが持ってきて下さった江戸時代の農書(細密で色鮮やかな野菜の挿絵には驚かされました。)や「マルハナ札」(マルハナバチのカードゲーム)を手に取ったり。

自然(人間もその一部)の素晴らしさを、改めて知ることができたイベントでした。
 帰り際に高月さんが、「今日の講座は、ぜひ緑豊かな森の食卓で開催したかった」と仰っておられたのが印象的でした。

森の食卓では、これからも様々なイベント等が計画されているようです(もっとも田中さん、ちょっと忙し過ぎかも)。