【オーシャン・カレント】つなぐ棚田遺産

【ポイント】
 「つなぐ棚田遺産」とは、代表的な農村景観ともいえる棚田を保全・継承していくための取組みで、現在、全国で271か所が認定されています。

山や谷間の傾斜地に階段状に作られた棚田は、美しい農村景観の代表の一つです。日本の棚田の多くは長い歴史を有し、国民への食料供給にとどまらず、国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等に大きな役割を果たしてきました。
 1999年、この国民的財産を保全・継承していくために「日本の棚田百選」が認定されましたが、その後20年以上が経過し、高齢化等により荒廃の危機に直面している棚田も多くなっています。一方、2019年には議員立法で「棚田地域振興法」が成立・施行されています。

 このような状況の中、改めて優良な棚田を認定する取組み(「つなぐ棚田遺産〜ふるさとの誇りを未来へ〜(ポスト棚田百選)」)が2021年から行われています。
 現在、全国で271の「つなぐ棚田遺産」が認定されていますので、機会があればぜひ訪ねてみて下さい。

なお、「世界農業遺産」もそうですが、「遺産」(heritageの和訳)という用語には個人的には違和感があります。ピラミッドや法隆寺といった「ユネスコ世界遺産」とは異なり、「農業遺産」も「棚田遺産」も、地域の方々の生業と暮らしがあることで維持・保全され、将来の世代に向けても継承されていく動的なシステムです。
 「遺産」に代わる、より適切な用語があれば農林水産省に提言してみたいと思っているのですが、読者の皆様にいいアイデアがあればご教示頂ければ幸いです。

[参考]農林水産省ホームページ「つなぐ棚田遺産」
 https://www.maff.go.jp/j/nousin/tanada/tanadasen.html