梅雨も明けるはずの時期ですが、全国的に雨が続きます。
特に九州では「経験のないような」豪雨で大きな被害も。熊本市内の白川が氾濫している様子のニュース映像は、衝撃的でさえありました。熊本は3年間を過ごした地、その時のご縁で、今でも多くの友人・知人、お世話になった方たちが住んでおられます。被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げます。
東京地方も数日おきに強い雨。玄関脇の百合が今年もきれいに咲きました。
7月13日(金)の夕方、退庁して地下鉄に向かうと、霞ヶ関周辺は官邸前デモに向かう多くの人たち。毎回、参加者は増えているようで、この日は警察車両も多く出て、霞ヶ関の交差点から誘導のマイクの声。
この日、7月の「共奏キッチン」が開かれました。
誰でも参加できる月1回ほど開催されているのイベントで、前回の6月20日に続き2回連続の参加です。
会場はJR山手線・田町駅近くの「三田の家」。繁華街の中の古民家が地域づくりの拠点として活用されています。
この日は、北品川の「マルダイ大塚好雄商店」さんに無理を言って、江戸東京野菜を送って頂いていました。
大塚好雄さんは、かねて江戸東京野菜の普及に力を入れておられる方です。「品川かぶ」を食育の一環として学校の屋上で栽培指導したり、商店街にプランターを並べたり、といった活動をされています。
江戸東京野菜、特に伝統品種は出回り量も少なく、無理のない範囲でとお願いしていたのですが、この日は寺島茄子、半白胡瓜、伝統小松菜、千寿葱などを、大きな箱で届けて頂いていました。
しかも、江戸東京野菜を紹介する手作り資料を、何部も同封して頂いていました。
さて、みんなで料理を作って一緒に食べて語り合おうというこのイベント、19時過ぎに伺った時にはすでに料理が始まっていました。寺島茄子は味噌を挟んで焼き、小松菜はおひたし、胡瓜や葱はKさん特製の「冷汁」にも入れられました。
このイベントは、いつも若い学生さん達が多いのですが、男子学生も料理を手伝い野菜を美味しいと食べていました。
この日のメインの料理づくりは「ちまき」です。
材料は、主催者の「たかったー」さんが、先週自ら新潟から持ち帰られた餅米など。
笹の葉を洗って水気を拭き取り、手で巻いて三角錐状にして米を入れ、さらにもう1枚の葉をかぶせ、イ草の紐でしっかりとくくります。上手な人は、綺麗な三角形に仕上がります。
食事とちまき作りが一段落した後、広間にみんなで座って交流タイム。
私からは、江戸東京野菜について紹介させて頂きました(説明資料)。時間がなかったのに説明の機会を作って頂いた「たかったー」さん、熱心に聞いて下さった参加種の皆さん、有難うございまた。
食べものや農業に関心の高い方も多く、余った資料を持って帰って下さった方も。
近年、日本でも「食」の重要性についての認識が高まっています。それも、食料や農業の専門ではない、他の分野の方から強い関心を寄せられています。
例えば霊長類学の山際寿一先生は、「食」こそがヒトをヒトたらしめているのであり、「食事という社会的行為が消滅した時、人間の社会性も危機に直面」すると指摘されています。
一方、地球物理学の松井孝典先生は「食は意識を変えるという意味では一番大きな可能性」があるとされ、社会学者の宮台真司先生は、震災後の原発事故に関して大規模なシステムに盲目的に依存する日本人・日本社会の問題点を指弾しつつ、「スローフード運動等は共同体自治の手掛かりになる」と期待感を表明されています。
また、世界の潮流をみると、最近評判になっている映画「幸せの経済学」ではローカリゼーションの重要性が指摘され、アメリカではCSA(Community Supported Agriculture)が拡がりを見せています。ところが、この映画では先進事例として埼玉・小川町等が取り上げられているにも関わらず、また、CSAの原型とされる「産消提携」システムが日本では廃れてしまった(?)ように、日本社会は世界の潮流に取り残されているのが現状です。
社会のありようを変えていくことは簡単ではないかも知れませんが、そのきっかけとなる「食」は身近なものです。さらに伝統野菜は、私たちの食の来歴や地域のこと、食文化に思いをはせる「よすが」となります。
「共奏キッチン」のような取組が、たかったーさんが夢見るように色々なところに拡がっていけば、私たちの社会はよほど住みよいものになるに違いありません。
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