遺産(Heritage)-未来に引き継いでいくべきもの

 先日、金沢の友人Nさんが、素敵なパンフレットを送って下さいました。
 タイトルは「七尾 能登半島 -世界農業遺産認定、能登の里山里海をめぐろう。」。
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 Nさんは旅行情報誌等を扱う出版関係にお勤めの方で、七尾市観光協会に提案していた企画が実現したのだそうです。
 2011年6月、世界農業機関(FAO)により、「能登の里山里海」が、佐渡とともに、世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。
 この地域の農業を通じて何世紀にもわたって形づくられてきた文化や景観、生物多様性等が、次世代に継承すべき財産と認められたのです。先進国では初めてとのことです。
 このパンフレットはA5版と小ぶりですが、美しい写真と情報で、能登の素晴らしさに満ち溢れています。
 観光スポットやグルメ情報のみならず、千枚田での田植え・稲刈り、ごぼうや野菜の収穫などの農漁業に触れることができる体験メニューも、たくさん掲載されています。
 眺めているだけで、能登に行きたくなってくるようなパンフレットです。
 Nさん、有難うございました。
 さて、週末9月23日(日)は、朝から一日、強い雨。どうもこの秋は天候が不順です。
 各地で予定されていたお祭りやイベントには、生憎の天気となってしまいました。
 ところで自宅に最寄りのバス停の前は、以前は普通の農地でしたが、数年前から体験農園として市民に開放されています。年会費を払えば苗や資材が提供され、さらには栽培指導もしてくれるタイプで、競争率は相当高いとそうです。
 天気がいい休日には、子どもを連れた家族連れの方たちが大勢訪れています。都市住民の農業に対する関心が高まっていることが、身近に実感されます。
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 バスで清瀬、西武池袋線で桜台駅まで。ここから歩いて数分のところに、練馬区立豊玉リサイクルセンターがあります。
 ここで10時から、ドキュメンタリー映画「森聞き」の上映会が開催されました。以前から見たかった映画です。
 玄関のポスターの後ろには、古紙の回収箱。入ってすぐの展示ケースには、古紙で作った葉書や古布で作った布ぞうり等が展示されています。ここでは、これらを作る様々な講座やイベントが開催されているようです。
 スケジュール表には「練馬産キャベツで手作り保存食」やエコクッキングの講座も。面白そうです。情報資料コーナーも充実していて、壁には「譲ります」等リサイクルの掲示板も。
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 さて、多目的室には椅子がゆったりと並べられており、「森聞き」の上映が始まりました。
 4人の高校生が、それぞれ日本各地の山村に暮らす老人「森の名人」を訪ね、その人生と技を聞き書きするという内容です。
923-1-2_convert_20120923234809.png 母親から「ブランド校」への進学を期待されつつも環境問題に関心が向いている東京の少女は、富山・五箇山の79歳の茅葺(かやぶき)名人のところへ。急峻な斜面での茅刈りの作業は見るからに重労働です。名人は、茅ぶきは一人でやる仕事ではなく、大勢の人の技術が一つの力になるのだと語ります。
 三重の漫画とサッカー大好き少年は、奈良で、綱1本で杉の大木に登って種を採取する76歳の名人のところへ。その技に驚きつつも、国内で植林の需要が無くなってしまったため、その日が最後の木登りと知り、目の前で一つの職業が絶える瞬間を目撃して声を失います。
 北海道・真狩で畑作農家を手伝っている少年は、84歳の「伝説のきこり」を訪ねます。危険と隣り合わせの山で暮らすことは「自然人、宇宙人」でもあると。後に少年は、実家の農業は継がずに林業に就きます。
 宮崎の進学校に通う少女は、70年以上、焼き畑を続けてきた85歳のおばあちゃんのところへ。
 「焼き畑のどこが好きですか」という素朴な質問に、おばあちゃんは少々語気を荒げ、「好きっちゅうことはないけん。山があるから、一生の仕事だから。みんなそうだからね。植物も動物も、生きて子孫残すために、何十年でも、何百年でも、何千年でも生きている」。
 おばあちゃんは、小ぶりながら粘りがあるという在来種の蕎麦の種を伝えて行くために、焼き畑を続けているのです。
 4組の高校生と山の名人達。進学や就職という人生の岐路に立つ高校生たちの魂が揺さぶられる様子が、高齢の名人達の満足そうな姿とともに、たんねんに、鮮やかに描かれていきます。
 今、世界では、日本の農地面積を上回る500万haの農林地が砂漠化していると言われています。過伐採と森林資源の減少が、多くの地域で問題となっています。
 しかし、日本の深刻な森林の問題とは、資源の減少や枯渇とは違います。温帯モンスーン地帯に属する日本の山には、豊かな森林資源が現に存在しています。問題は、それが有効に活用されていないということ。国内で林道を整備して伐り出すよりも、海外から輸入する方が安く上がるという「経済合理性」。
 その結果、日本の林業を支えてきた技術や、中山間地の伝統的な品種の多くが絶えようとしているのです。これらは、いったん失われてしまうと、二度と復活できないことが多いのです。
 遺産(heritage)とは、亡くなった方が死後に残したもの、という意味ではありません。
 これまで人類が長い間守り続けてきて、将来にわたって子孫に継承していくべき価値があるもの、という意味です。
 日本の農山村は、遺産(heritage)だらけです。「日本の田舎は宝の山」と表現される方もおられます。
 しかし今、その価値を見直さないと、本当に遺物になってしまいかねないものも、たくさんあるのではないでしょうか。
 正午過ぎに映画は終了。
 外に出ると雨脚はさらに強くなっています。桜台駅に戻り、池袋で乗り換えて東武東上線ときわ台駅(板橋区)へ。
 この週末は、地元の天祖神社のお祭りです。この地域では、かなり規模が大きい祭礼とのことです。
 生憎の天気にも関わらず、境内や周辺の道路には多くの露店。射的のような、ちょっと珍しいものもたくさん出ていて、子ども連れ等で賑わっています。
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 今回の私のお目当ては「気仙沼ホルモン焼きそば」です。
 かねて勉強会等でお世話になっている行政書士・司法書士のMさん。関係されているロータリークラブを通じて宮城県気仙沼等の復興支援に取り組んでおられ、その一環して、神社近くの居酒屋「かね福」において焼きそばを販売していると聞いて、出かけてきたものです。
 「ホヤがーる」の貼り紙のあるドアから覗いてみると、Mさんがカウンターに座っておられるのが見えたので、隣にお邪魔させて頂きました。
 昼過ぎでしたが、生ビールを注文。
 MさんのパートナーのUさんが作って下さった「気仙沼ホルモン焼きそば」は、初めての体験です。
 にんにく味噌に付け込まれているモツは、そばと一緒に焼かれて香ばしく、食欲に身を任せて箸を進めて行くと、何と底にはキャベツの千切りが敷き詰められていました。栄誉バランスにも配慮したスグレモノです。
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 なかなか居心地の良さそうな居酒屋で、またの機会にゆっくり来たいと思います。
 ほろ酔い気分というほどでも無かったのですが、雨も弱まらず、代々木公園で月1回開催されているアースデイマーケットは失礼して、帰途につきました。
 ここにも何人かの知人が出展されていたのですが、すみませんでした。また来月にお邪魔します。
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2 Replies to “遺産(Heritage)-未来に引き継いでいくべきもの”

  1. SECRET: 0
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    雨が降る中、気仙沼ホルモン焼きそばを食べに来て下さって、とっても嬉しかったです!
    ありがとうございました!\(^o^)/

  2. SECRET: 0
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    コメント有難うございます。
    昨日は、こちらこそ美味しい焼きそばをご馳走様でした。
    植村さん、茂木さんが、色々と活動されていることには、日頃から感服しています。
    普段とは違う家庭的な植村さんのお姿も、新鮮でした。ホルモンも人間も、鮮度が大事ですね。
    また、色々なところでお世話になります。よろしくお願いします。
    > 雨が降る中、気仙沼ホルモン焼きそばを食べに来て下さって、とっても嬉しかったです!
    > ありがとうございました!\(^o^)/

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