◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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本欄では、前々回からある新聞の社説をきっかけとして、米の価格と水田農業について取り上げています。
前々回は2015年産米の価格(相対取引価格)は前年産米に比べて高くなっているものの、2013年産米以前の水準までは回復していないことを紹介しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/38_aitai.pdf
また、前回は、この米価の水準を農家の米生産費と比較したところ、規模拡大するほど生産費は低減しているものの、現在の米価水準ではほとんどの農家にとってコスト割れとなっている状況を説明しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/39_cost.pdf
それでもなお、稲作については、規模拡大等の構造改革が必要と考えられます。
リンク先の図40は、主な農産物の品目別にみた主副業別の農家のシェアを表したものです。なお、縦の幅は品目別にみた農業産出額のシェアを示しています。
これによると、米作農家においては主業農家(農業所得が主(農業所得が農家所得の50%以上)で、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家)のシェアは39%と、他の品目に比べて低い水準に留まっています。特に、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいない副業的農家が、米生産の36%を担っているのです。
これは、主業農家が6~9割程度を占めている他の作目と比べると大きな差があります。
この状況は、稲作では機械化による省力技術が確立しているといった状況を反映しているものではありますが、米生産の多くの部分は、中心となる担い手がいない兼業農家によって相当の部分が担われている現状が伺えるのです。
[出典等]
農林水産省「2010年世界農林業センサス 第2巻 農林業経営体調査報告書 総括編」」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001034606&cycode=0
農林水産省「農業経営統計 経営形態別経営統計」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001134827
農林水産省「生産農業所得統計」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129518
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
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