図42 農業の地位と「生/消割合」の推移


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 経済学に「ぺティ=クラークの法則」という有名な経験則があります。
 これは、経済社会の発展に伴い、国民経済(総生産、就業人口等)における第一次産業(農林水産業)の地位は次第に低下し、代わって第二次産業(製造業)、さらには第三次産業(サービス業)のシェアが高まっていくというもので、先進国、途上国を問わず普遍的にみられる「法則」です。
 日本においても、そのとおりの動きがみられます(リンク先の図42の上半分のグラフ)。

 例えば、総世帯数に占める農家の割合は、1960年には29.0%だったのが2000年には5.0%へ、さらには2013年には2.6%へと低下しています。同じ期間に、総人口に占める農家世帯員数の割合は36.5%から8.2%、さらに4.4%へと大きく低下しています。
 つまり1960年頃は、自らは農家でなくとも、実家や近隣に農家や農業はありふれていたのです。しかし現在は、多くの国民・消費者にとって農家や農業は縁遠いものになってしまいました。

 GDP(国民総生産)に占める農業総生産のシェアも、1970年には4.4%あったのが最近は1%程度で推移しています。

 このように、国民経済に占める農業の地位が低下していることを問題視する論調があります。しかし、このことは先に述べたように普遍的な「法則」であるということは別にしても、見方を変えれば、1960年頃は農家1戸が3.45世帯分(1÷0.29)の食料を支えていたのが、最近は38.5世帯を支えているという計算になります(図42の下半分のイラストは、この「生/消割合」を示しています)。
 輸入が増加していることを考慮しても、日本農業は目覚ましく生産性が向上したとみることもできるのです。

 さらに見方を逆転させると、仮に農家の経営を消費者が支えていこうとすると、1960年頃は3.45世帯で1戸の農家を支える必要があったのが、現在は38.5世帯で1戸の農家を支えればいいということになります。
 この辺りの数字をみても、CSA(Community Supported Agriculture、地域支援型農業)の可能性は、より高まっていることが伺えるのです。

[出典、参考資料等]
 農林水産省「平成26年度 食料・農業・農村白書 参考統計表」p.60
  http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h26/pdf/26_tokei.pdf

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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