図47 1980年代以降の関東圏における人口増減数


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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「東京蟻地獄論」
 牛1頭当たり、森林面積当たりの「一票の格差」から始まった都市と地方の人口問題について、モーしばらく考えてみます。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/44_kakusa.pdf

 日本における一極集中の度合いは諸外国と比べても特異ではないかと、問題提起したのが前々回でした。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/45_daitosi.pdf

 そして前回は、2015年の速報値が公表されたばかりの総務省『国勢調査』を用いて、東京圏への人口の一極集中が先鋭化している現状を指摘しました。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/46_kokucho.pdf

 今回は、1990年以降の関東地方(甲信を含む。)の人口増減に着目します。
 1990年における関東地方(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野)の人口は3,993万人。日本全国の34.1%を占めていました。それが2015年には4,623万人へと、約15%増加しています。

 しかし詳しくみると、この間、関東の各県の人口がすべからく増加しているわけではないのです。
 東京圏(千葉、埼玉、東京、神奈川)以外の茨城、栃木、群馬、山梨、長野では、2000年頃までは人口は増加していましたが、その後は減少に転じています。
 東京圏に属する千葉、埼玉、神奈川の各県は、1990年頃までは大幅に人口が増加していましたが、その増加の度合いは2000年代に入って鈍化しています。
 一方、東京のみは2000年代に入ってから大きく人口が増加しています。

 2000年代に入って人口の東京圏への一極集中が先鋭化していることは前回もみましたが、詳しく都県別にみると、いわば東京の「1人勝ち」の様相を呈しているのです。

 このことは、かつて歴史人口学者の速水融が江戸時代の関東地方について分析・指摘した「都市アリ地獄論」が、現在に甦っているようにもみえます。
 次号に続きます。

[出典、参考資料等]
 総務省『平成27年国勢調査』
  http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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