低炭素まちづくりフォーラム(さいたま市)

 10月最後の日曜日は、さいたま市の大宮ソニックシティで開催された「地球温暖化防止セミナー・低炭素まちづくりフォーラム」に参加しました。
 午前中の基調講演は、東京工業大学大学院教授の本川達雄先生。名著「ゾウの時間ネズミの時間」の著者、そして「歌う生物学者」。
 講演のテーマは「日本人はゾウなみのエネルギーを使う?!」。
 動物は体重(エネルギー消費量)によって時間の速さが違う、というのが本川先生の「生物学的時間」節ですが、人間は、特に日本人は速く生き過ぎていて、その分エネルギーもたくさん使うしストレスも溜まっているとのこと。
 そして、狭い「利己主義」ではなく、子孫やコミュニティ、環境までも「私」の一部として捉えることが必要とのご主張は示唆に富むものでした。
 最後には自作の「生命(いのちはめぐる)」を熱唱、大変印象に残るご講演でした。
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 引き続き、埼玉県「家庭の電気ダイエットコンクール」表彰式と事例発表。
 電気ダイエット部門1位を受賞したのは、大震災をきっかけに家族で話し合って無駄な電気を大幅に減らした一家で、代表して小学校4年生の男の子が作文を発表しました(コンクールの内容は後述)。
 午後のフォーラムは4分科会に分かれ、そのうち「くらしのエコ」分科会に参加。
 「私たちの食と地球環境」と題して30分ほど報告した後、パネルディスカッションのコーディネータも務めさせて頂きました。
 お2人のパネリストの報告は素晴らしいものでした。
 まず、獨協大学の経済学部教授で環境共生研究所の所長でもある犬井正先生から、全国的に見ても先導的な「エコキャンパス・プロジェクト」の概要について紹介して頂きました。
 2010年に完成した新棟は、自然の光や風を取り入れ、太陽光や地中熱を利用するように設計されており、「見える化」だけではなく「見せる化」によって省エネのモデルとして地域に提案・発信するとともに、屋上や庭園部分は里山空間として菜園や水田まで設けられているとのこと。
 学生たちは、自分で育てた作物を食べることで、食料自給率やフード・マイレージの問題について考える効果があるそうです。
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(写真は独協大学ホームページより)
 また、地元の草加市民に積極的に講座を開放するとともに、川の再生や町づくりなどのプロジェクトも協働して進めているとの報告もありました。
 そして、協働の推進力になっているのが学生の自主組織DECO(Dokkyo Environmental Cooperating Organization)で、リユースマーケットやサルベージ(川に不法投棄された自転車等の引き上げ)等、学生らしいユニークな発想で様々な活動に取り組んでいます。
 この日の司会をされていた代表の渡邉さんからも、直接、活動内容の紹介をして頂きました(突然、指名してすみません)。
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 このように、草加市においては、獨協大学を拠点として、市民レベルで様々な取組が拡がりつつある様子が分かり、非常に興味深い報告でした。
 続いて、埼玉県環境部温暖化対策課の池田主幹からは、午前中に表彰式が行われた「家庭の電気ダイエットコンクール」の詳しい結果について報告がありました。
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 このコンクールは、もともと生協が2000年から始めていた取組を基に、2009年から県も含む実行委員会と、企業、県内市町村、大学、NPO等からなる「コンソーシアム」方式で進められているものです。
 今年度の応募は過去最高の15512家族。昨年の12倍と、震災と計画停電等により節電意識が大きく高まったことが伺えます。そして、8月の1家族平均の電気使用量は、昨年の約4分の3に削減されており、更に節電に取り組んだ、家庭でのライフスタイルの見直しのきっかけとなったとの声も多かったとのことです。
 これだけの規模のコンクールは全国的にも珍しく、経済産業省からも話を聞きに来たとのこと。今後も内容を充実しつつ、継続されていくことを期待したいと思います。
 パネルディスカッションの時間は足らなかったのですが、会場からも積極的な発言が相次ぎ、行政の情報発信力の拙さを改めて感じさせられるご意見も頂くなど、私にとっても非常に実り多い分科会となりました。

 最後は全体会が開催され、各分科会でどのような議論がなされた課等について全員で共有がなされました。
 環境問題とは、正に地球的規模で全人類が直面している喫緊の課題ですが、それを解決していくためには、政策的な対応だけでは不十分で、結局は一人ひとりの心がけしかありません。現に今回のコンクールでは、家庭でも25%近い節電が実現できることが明らかになりました。
 また、このフォーラム自体、民間主体の実行委員会により運営されているのが特徴です。当日の司会進行や会場設営なども含め、多くのNPO、ボランティアの皆様に支えられています。参加者も、お客様ではなく一人の当事者として参加されている様子が感じられました。
 環境ネッワーク埼玉を始めとする皆様の活動に敬意を表するとともに、さらに地域でライフスタイルを見直す取組が拡がっていくことを期待したいと思います。
 ところで、時期を逸したかと心配していた落花生は、無事に収穫でき、例年通り不揃いで見た目は良くありませんが、さっそく茹ででいただくと、例年以上の美味しさでした。冷凍しておくのでしばらく楽しめます。
 また、自宅近くの駅前商店街では、津波に襲われた石巻の水産会社が、瓦礫の中から掘り起こしたという鮭の水煮缶詰。これも美味しく頂きました。大震災からもうすぐ8カ月です。
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