地産地消のススメ② -学校で地域を学ぶ-

3月6日(火)の東京地方は、雨が上がるとともに気温が急上昇。それとともに、今年は遅かったのですが目と鼻がムズムズし始めました。
 
 さて、初日の鶴来バスツアーに続く「地産地消のススメ」2日目の3月4日(日)は、金沢市女性センターでの研修会です。
 ところで今回の企画の主催者である金沢エコネットは、環境学習活動等を行う市民団体。
 その活動の柱の一つが「食とライフスタイル」というテーマで、これまでフード・マイレージ等に関する学習会や料理教室を積極的に開催されています。
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 左が金沢エコネットの松下浩一代表。現役の小学校の先生です。
 右が「食とライフスタイル」担当の中村早苗さん。2008年度には省エネコンテストで経済産業大臣賞(家庭部門)を受賞されている方です。
 金沢エコネットさんとは北陸農政局在勤中からのお付き合いが続いており、離任後も、昨年に引き続きお呼び頂きました。有難いことです。
 今回のタイトルは「教えて! Mr.フード・マイレージ」。
 「ミスター・・・」とは怪しいプロレスラーみたいですが、私のことのようです。覆面をしていった方がよかったかも知れません。
 そのミスター、前夜(というか早朝まで)の不摂生でぎりぎりに会場に到着。水をガブ飲みしながら「フード・マイレージから日本の食を考える」とのテーマで説明させて頂きました。
 舌の回りも今イチ、時間配分にも失敗して15分ほどオーバー。
 終了後に送って頂いた参加者アンケートでは「よく理解できた」14名、「少し理解できた」10名、「あまりよく理解できなかった」1名とあり、もう少し多くの方に「よく理解」して頂けるよう、丁寧に、焦らずに説明することが必要と感じた次第です。反省です。
 私の前座話に続いて登壇されたのは、金沢市立諸江(もろえ)町小学校の菊池八穂子先生と、志賀(しか)町立志賀中学校栄養教諭の堀栄子先生。
 お二人からの学校現場での実践に基づく話は、大変興味深く、感じ入るところ多いものでした。 
 菊池先生は、地域の将来の姿について主体的に考えることができるようになる「地域学習」を重視されています。
 先生は、地元で古くから栽培されている「諸江ねぎ」に着目されました。
 そして、JAの協力を得つつ、まず3年生157人の学習に協力してくれる生産者の方を探し、家族等と話し合って子どもなりの予想を持って畑を見学し、実際の農作業の大変さと生産者の方の技への驚きを体感したのです。
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 農業を産業(経済活動)としてのみ学習するのではなく、社会的な価値、農業を含めた地域のあり方について、考えることのできる子どもを育てたいとの気持ちで取り組んでおられるとのこと。そして、一人で解決できないことについては、共助、公助の必要性を強く訴えておられました。
 学習の締めくくりに、子ども達は家族に諸江ねぎのことを知ってもらうためポスターやパンフレットを描きました。この日の研修会に持参させ見せて頂きましたが、地域教育を通して育まれた子ども達の心が素直に表現されており、地域学習の大きな成果を感じることができました。
 続いて、堀先生から、「生産者の顔が見える給食をめざして」という内容でお話を頂きました。
 食育基本法や学校給食法において、学校給食がどのように位置づけられているかについても分かりやすく紹介して頂きました。そして、食べ物と生産者に対する感謝の心と、食文化を理解し尊重する心を育むことを目的に、学校給食に地場産物を積極的に導入されているとのことです。
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 写真入りの指導用の教材は、担当の方が実際に漁船に乗るなどして取材して作成されたものだそうです。また、シイラを朝、学校の玄関に展示した後に給食で頂くという試みも。子ども達の喜ぶ姿が手に取るように伝わってきます。
 地場産物の学校給食への導入は規格や数量の確保がネックになるという話を聞きますが、志賀町では、関係者との話し合いや調理の工夫と手間でこれら課題を克服されているとのこと。そして地場産物の導入により、実際に給食を残す量は減少しているそうです。
 これらの様子は、保護者等向けの「給食だより」でも詳しく報告されています。
 終了後は、希望者の皆さんが残ってお弁当を食べながらの意見交換。手作りの煮物や漬物も振舞って下さいました。
 食料自給率の向上やフード・マイレージ削減等と言葉で言っても、いくら行政が旗を振っても、現場での地道な取組が地域に拡がっていかない限り、実現することはありません。特に子ども達を対象とした学校での取組は、非常に大きな役割を果たしていくことは間違いありません。
 もっとも、実際の学校の現場では食に限らず様々な課題もあり、先生方のご苦労も大変な面があることについては、前夜の懇親会で松下代表からもお話を伺っていました。
 そのような中で、今回、お二人の先生から、学校の現場で献身的に実践されている模様を詳しくお聞きできたことは、本当に有意義な経験になりました。
 今回も、金沢の皆様の温かい心に改めて触れることができ、新しい出会いもありました。
 後ろ髪を引かれるような思いで(もっとも髪の毛は乏しくなってきましたが)、金沢駅から15時過ぎの「はくたか」に乗り込んで帰京の途に。
 車中、爆睡。