地産地消のススメ① -鶴来(つるぎ)のおもてなし-

1年ぶりに金沢に向かった3月2日(金)は雨。
東京20:12発の上越新幹線「とき」347号は満席。越後湯沢で「はくたか」26号に乗り換え。ホームの屋根には厚い雪が残っています。
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直江津で隣の方が降車され広くなったところで、八重洲のデパ地下で買ってきた高菜巻き寿司とチリの赤ワイン。24:03 の定刻に少々遅れて金沢着。駅近くのホテルにチェックイン、天然温泉の露天風呂です。
さて、翌3月3日の土曜日と日曜日は、金沢エコネット主催の2日間にわたるイベント「地産地消のススメ~じわもんおいしいもん」。
「じわもん」とは、金沢周辺の言葉で「地元のもの」を指す言葉です。
1日目は「じわもんバスツアー」。
ここのところ東京も天気が悪く、この季節、日本海側の金沢市は好天の日は珍しいはずなのですが、抜けるような青空です。今年は大雪と聞いていましたが、市街地にはほとんど雪も残っていません。
眩しいほどの春の陽射しの下、金沢駅西口に30名ほどの参加者が集合、9時半に金沢市の研修バス「マナビー号」で出発です。
昨年は海近くの大野地区を訪ねましたが、今年の目的地は山の中、醸造の町・白山市鶴来(つるぎ)です。
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バスの中では、金沢エコネットの北尾千鶴子さんによる日本の食料自給率等についての説明。さすが真面目な金沢エコネットの研修旅行、缶ビールなんか飲んでいる人は1人もいません(当たり前?)。
10時頃に鶴来公民館に到着。「環白山観光ガイド・ウェルカム白山」の金丸事務局長ほかが出迎えて下さいました。ここで2班に分かれ、歩きながらボランティアガイドさんに街を案内して頂きます。
鶴来は手取川の上流、白山への入り口に当たり、有名な白山比咩(しらやまひめ)神社もあります。古くから市が立った歴史のある町で、遠くからも目印となった樅の木が、今も街中にそびえています。2005年に合併して今は白山市の一部となっていますが、市としても地産地消に積極的に取り組んでいます。
鶴来の市街地はさほど広くはありませんが、豊かな歴史と文化、自然環境を反映し、醸造業や和菓子、豆腐、木製品、刃物等の商店がかなりの密度で立地しています。道の脇には除けられた雪がかなり残っており、金沢との違いを実感しつつ、ボランティアさんについて、そぞろ歩いて回りました。
まず和菓子の越原甘清堂さん。酒カステラ、わさび餅、トチ餅等が有名で、ここではトチ飴を求めました。地元の食材が豊富に用いられています。
すぐ近くの「萬歳楽」の小堀酒造さんでは、搾りたての日本酒を試飲させて頂きました。こちらの奥様はNPO法人「スローフード金沢」でも活躍されているそうです。
さらに武久商店さんでは、麹を作る地下の室(むろ)を覗かせて貰い、奥様から甘酒を試飲させて頂きました。塩麹は近年のブームで生産が追いつかないとのこと。
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続いて高田醤油店さん。
こちらでは蕪寿司をご馳走になりました。蕪を麹で漬けた伝統的な保存食で、お寿司といってもご飯(米)はありません。座敷には桐の火鉢が置かれていました。
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最後には、通りがかった前町長さんのお宅へ。予定には無かったようなのですが、皆で上がりこんで熊皮の上に車座になり、鶴来の歴史について伺いました。興味深い話は尽きることはありません。
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交流施設「横町うらら館」前からバスに乗り、獅子吼(ししく)高原のふれあい館に移動。
総支配人の紺清(こんせい)美千子さんが出迎えて下さいました。
数年前、北陸農政局在勤中に白山市松任でのパネルディスカッションで、紺清さんからは鶴来での地産地消の取組の話を伺っていたのです。その中でも紹介されていた ぎゅぎゅっと鶴来牛カレーを、ようやく実際に頂くことができました。
この辺りは鶴来の街を見下ろす高台になっており、雪景色を見ながらの地元産カレーは大変美味でした。
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その後、紺清さんから、日本一の木彫りの夫婦獅子頭等の説明を伺いました。
巨大な夫婦一対の獅子頭は、名工・知田清雲氏の手で、耳の部分等を除いてほぼ一本の木材から掘り出されたとのこと。
ちなみに一回り小さな夫婦獅子頭が、東京築地・波除稲荷神社に納められているそうです。
再びパスに乗って白山比咩(しらやまひめ)神社へ。
加賀国一宮であり、全国に3千以上ある白山(はくさん)神社の総本宮でもあります。ここでもボランティアの方から丁寧な説明を頂きました。最後は物産館「くろゆりの里」。知田工房の職人さんが手彫りの実演をされています。この加賀獅子頭の根付と、武久商店さんの塩麹を求めました。
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風は冷たくなってきましたが、鶴来の皆様のおもてなしに暖かくなった心でバスへ。帰りは、金沢エコネットの室井定志さんから食品ロスのお話。15時半頃に金沢駅に到着。
夕方まで時間があったので、室井さんにつき合って頂き、尾張町にある食事・喫茶「ニワトコ」へ。
明日の説明資料に、こちらのブログにあった諸江ねぎの写真を使わせて頂いたので、挨拶とお礼を兼ねて伺いました。大きな窓、室内は白を基調とした明るくて清潔なお店で、食材にこだわったランチやデザートを頂くことができます。コーヒーも美味しかったです。
(写真左がニワトコさんの外観、中央がニワトコさんのブログにあった諸江ねぎの写真。右の写真は夜の懇親会・二次会にて)
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ぶらぶらと近江町市場地下の「風土金澤」等を覗きつつ、一旦ホテルへ。
夕方の懇親会は、金沢エコネットの皆さん始め、懐かしい方達も参加して下さいました。
美味しい料理とお酒、楽しい話に盛り上がり、2軒目3軒目と、金沢の夜は更けていきます。というか、気がつくと朝が近づいていました。