図28 食料への支出額の増減率(単身世帯、年齢別)


◆ F.M.豆知識
 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
—————————————————————-
 エンゲル係数上昇に関連する話題が続きます。

 前回、食料費支出の背景にある食生活の「欧米化」「外部化」は、高齢者世帯ほど顕著であることを、指摘しました。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/27_nenrei.pdf
 
 今回は、増加傾向にある単身世帯に焦点を当てます。
 総務省『家計調査』によると、2014年における単身世帯の支出金額の総額は2005年に比べて8.7%減少する中、食料に対する支出額は2%の減少に留まりました。その結果、エンゲル係数は25.0%から26.8%へと上昇しています(2人以上世帯よりもやや高い水準です)。
 これを年齢別にみると、60歳以上層では25.5%から27.1%(特に65歳以上では24.9%から27.2%)へと、高齢者層においてエンゲル係数がより上昇している状況がみられます。

 それでは高齢単身者層においては、どのような品目に対する支出額が増えているのでしょうか。
 特徴的な品目に対する支出額の増減を、年齢階層別に示したグラフが図28です。

 これによると、米に対する消費額の減少率は高齢者層ほど高く、パンに対する消費額の増加率も高齢者層ほど高くなっています。前回、2人以上世帯でみられたのと同様、食生活の「欧米化」の傾向は、高齢者層ほど強いことが伺えます。

 高齢単身者層で特に支出が増加している品目は、例えばカップめん、おにぎり等、調理パンです。食生活の「簡便化」が、高齢者世帯で特に進行している様子が伺えます。
 一方、単身者世帯においては外食に対する支出は減少しています(65歳以上層では横ばい)。単身者層においては、食生活の「外部化」は、特に調理食品に対する支出増というかたちで進んでいるのです。

[参考]
 総務省『家計調査(家計収支編)』(単身世帯、詳細結果表、2014年)
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129457

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

—————————————————————-