2018年9月10日(月)の終業後は東京・神楽坂へ。生憎と強い雨になりました。
JR飯田橋駅から徒歩10分ほど、坂の途中にあるビルの3階にコミニュケーションバー「レザミ」はあります。
U字型のゆったりとしたテーブルと椅子、大型モニターやパソコン等もある快適な場で、定期的に落語会も開催されています(6月末には私も参加しました)。
この日19時から開催されたのは「めいこさんボラ報告会-私が見てきたこと、感じたこと」。
八王子野菜や「食べる通信」のPR、飾り巻き寿司(先月には教室を開催)等の関係で知り合った八幡名子さんは、このたび、2回にわたって7月豪雨で被災した広島をボランティアとして訪問されてきました。
その報告会を開催することとしたのです。
深刻なテーマですが、であるからこそ、美味しい料理と飲みものとともに、めいこさんの体験を共有しようという企画です。
今年3月まで神田・なみへいの料理長をされていたYさんが準備して待っていて下さいました。
同じくなみへいのスタッフだったMさんも、お手伝いに来て下さっています(お久しぶり!)。
生憎の天気、交通機関のトラブルもあったなか、お1人のキャンセルもなく15名の方が集まってくださいました。
まずは乾杯して、飲みものと食事を楽しみながらめいこさんの話を伺うことに。
この日のために、行程等のレジュメとスライドを準備して下さっています。
被災した民家等は撮影禁止だそうですが、地図、ボランティアセンターの様子、移動した時の船からの美しい景色等が順番に映し出されます。
巻き寿司大使の関係で広島と縁ができ、自分でSNS等で情報収集してボランティアに向かわれたとのこと。
1回目(7月26日)は広島市内では個人宅の土砂出し。ボランティアを派遣して貰えることを知らない被災者の方もおられたとのこと。
2回目(8月20~21日)はご子息とともに、呉で、やはり床下や庭の土砂出しに参加。まだまだ作業が必要な地区 があるそうです。
そして最後に「ボランティアはそれほど大変じゃないと実感。今日はそのことを伝えたかった」とまとめられました。
報告を受けて、参加者一人ひとりから自己紹介と意見交換。
青年関係の全国団体の事務局長をされている方からは、
「そんなに大変しゃない、と言ってくれたのは嬉しかった。自分たちの組織内でも、足手まといになるだけではと躊躇する声も多い。
最初の頃は、ボランティアに行って自分が達成感を得ることに違和感もあった。人がつらい思いをしているのに。しかし現地の人たちと出会うことは自分の人生も豊かにしてくれる。災害からの復興は1年で済むことではなく、継続した支援が必要」とのコメント。
福島・いわき市出身のNさんは
「東日本大震災から7年半が過ぎ、現地に通わないと実感が薄れてしまう。現地で頑張っている人たちも多く、人と人との繋がりを大切にしていきたい」とご発言。
東日本大震災の津波で被災した宮城・雄勝に行かれた経験をお持ちの男性。
大手新聞者で編集委員をされていた方は日本酒『三春駒』を持参して下さいました。
「東日本大震災の後、いわき等に住み込んでルポ記事を書いてきた。現場に行かないと分からない複雑な事情もある。昔に戻す『復興』ではなく地域を作り直していくという視点が必要」とのコメント。
災害教育のNPOで活動されている女性(先週も広島で活動してこられたとのこと)からは、
「広島は支援に入る人が少なく、行ってくれて嬉しかった。このようにボランティアについて語ることができる場は貴重。ボランティアに行くと、もらって帰るものの方が大きい。現地に行くことは自らの学びになる。もっと多くの人にボランティアに行ってもらいたい」との発言。
やはり各地でボランティア活動をされている男性は、めいこさんと同じ八王子の方です。
「自力で情報収集された様子など、今日の話には感じ入った。どんどん情報発信もしてもらいたい。私も、自分が発信したことで人が動いてくれることでフィードバックがある」。
看護士の女性からは
「ボランティアに行っても、専門職(ナース)なのに指示待ちのことも多い。また、熱中症対策のために飲料を配布しても、後で飲むと横に置いたままの人も。専門職としてできることは多い」等の発言。
福島に稲刈り支援等に通っておられる女性は「行けば現地の人との繋がりができる。支え合うことで、こちらが受け取るものも多い。今は広島などに行くのは難しいが、東京にいてもできる支援をしていきたい」との発言。
「名子さんの感性でメッセージを伝えてもらったことは良かった。このような場は、情報共有でき、繋がるきっかけとなる」と話された男性も。
阪神・淡路大震災が起こった1月17日(防災とボランティアの日)が誕生日という女性は、西新宿でマルシェや映画上映等の活動等をされています。
「日を決めて定期的に防災用品の買い置き等をチェックすることも必要。災害を忘れないように、次代に伝えていくことも必要」。
「小さな子どもがいるので、なかなか現地には行けないが、東京で復興イベント等に出展している。先日の『復興バー』では、岡山で支援活動をされている農家の方のブドウ等を販売した」という飲食店経営の男性。
「もし東京で災害が起こったらと、常に考え、備えていくことの必要性を痛感している」と話された女性も。
ところでこの日の料理は、料理長のYさんが、腕によりをかけて広島を意識したコースを準備して下さいました。
アナゴ寿司などの前菜。カツオの刺身。松茸の煮物など。
見た目も美しく盛りつけられています。
牡蠣フライ、広島風お好み焼き。いずれも美味しく頂きました。
名子さんも巻き寿司(八王子ショウガ、江波巻き(広島の郷土食)、ビールの飾り寿司)を持参して下さいました。
美味しい食事と飲みもの(飲み放題!)を頂きながら、対話が弾みます。
ボランティア自身の健康管理の重要性も話題に上がりました。
めいこさんの広島の体験でも、十分に休憩時間を取るなど、しっかりと管理されていたそうです。
ボランティア経験が豊富な男性からは「無理のない範囲で、できることをするのが基本。ボランティアが倒れるようになっては元も子もない」との発言。
これに対して福島出身の方は、「東日本大震災の時は、やむにやまれない気持ちで駆けつけた。無理のない範囲などと言ってられなかった」との心情を語られました。
それにしても今年は、2月の福井豪雪に始まり、6月大阪府北部地震、記録的な猛暑と相次ぐ台風、西日本を中心とした大きな水害。
そして9月に入ってからは北海道胆振東部で最大震度7の地震等と、今年は災害が相次いでいます。
その状況はマスメディア等で知ることはできますが、実際にボランティアとして足を運ばれた方の実体験を伺い、率直な意見や感想を交わせたことは、本当に貴重な機会となりました。
実際にボランティアに行くことにはハードルが高い面もあります。それぞれができる範囲で、というのが基本ではありますが、私自身も、背中を押された気持ちになりました。
めいこさん、参加下さった皆様、有難うございました。