2018年10月17日(水)は快晴。
出勤前、職場近くにある霞が関ナレッジスクエアへ。
この日7時30分から「霞ヶ関ばたけ」が開催されました。
食や農林水産業をテーマにをテーマにほぼ隔週で行なわれている朝の勉強会で、若手のビジネスパーソン、大学生、公務員など、食や農林水産業に関心がある人なら誰でも参加することができます。
毎回1人ゲストをお招きして話を聞き、参加者とともに議論を深めることで、ゲストと参加者あるいは参加者同士の交流をつくる場にもなっています。
私は今回、初めて参加しました。
この日(第136回)のテーマは「ローカル×編集のおもしろさ」。
ゲストの伊集院一徹さんは鹿児島出身。
東京の出版社に勤めたのち、静岡・南伊豆町の地域おこし協力隊(広報担当)として移住。『南伊豆新聞』等の編集長のほか、イラストレーターとしても活躍されている方(ほのぼのとした素敵なイラストです)。
霞ヶ関ばたけ代表の松尾真奈さん(林野庁職員)の開会挨拶に続き、30名ほどの参加者一人ひとりから自己紹介。
商社、保険会社、不動産会社、IT関係、新聞社、生協関係、公認会計士、大学生、公務員など様々。いずれも出勤前に勉強しようという意欲のある方ばかりです。
南伊豆町の様子を描いた動画の映写(海岸など素晴らしい景観です。)に続き、伊集院さんの話が始まりました(文責・中田)。
「地域おこし協力隊として南伊豆町に移住してからまだ6ヶ月で、今回は途中経過の報告。
大きな言葉(主語)で話すのではなく、『地元の○○さんが言っている』といったことを私の言葉で伝えたい。」
「移住する前は東京の出版社に勤務していた。現在はネット上の『南伊豆新聞』と『南伊豆暮らし図鑑』の編集者」
「『南伊豆新聞』は人にフォーカス。飲食店を取り上げる場合も、メニュー等ではなく、その方がなぜその店を始めたのか、なぜ南伊豆なのか等を重点的に紹介している。例えば、ある食堂のご主人は元バンドマンだった等。
週1本の記事掲載が目標だが、取材等は結構大変。飲食店には身銭を切って通い、顔を覚えてもらって仲良くなることからスタート」
「『南伊豆暮らし図鑑』は、1対1の暮らし体験プログラム。
漁師さんやジャムづくりをされている女性などを訪ねて体験するもので、モニター募集中」
「観光以上、移住未満の『関係人口』を増やすことが目的。その土地に友達がいれば訪ねるきっかけになる。その意味で、自分の活動は友達を作る取組でもある。
役場の人とは、一緒にチャートを作成する等して目的を共有しつつ取り組んでいる」
「元々、東京が大好きだった。多くの人と知り合う機会も多い。
その私が南伊豆町に移住した理由は、誘って頂いたこともあったが、編集+イラストという自分がしたい仕事ができると思ったから。ここでの経験が次の仕事にも役立つのではとも思っている。
それに温泉があること。JR踊り子号で2時間半という距離もちょうどいい」
「僕は地域の編集者という仕事をさせてもらっていますが、編集とは文章を書くことだけではなく、場を作り、人を繋ぐという面もあります。そのような思いで、現在、奮闘中です」
分かりやすく、興味深いお話でした。
後半は参加者の方たちとの質疑応答と意見交換。
「ネット上の南伊豆新聞等の閲覧数はどの程度あるのか」との質問には、「今は上質で魂のこもった記事を一本一本書くことに集中しており、あえて閲覧数等はチェックしないようにしている。
ただ、地元の人はあまり地元の飲食店を利用しないが、新聞をみて行ってみようと思った等と声を掛けてもらえることもあるので、ある程度は見てもらっているという実感はある」
「ネットの情報は、正直、高齢の方には十分には届いていないと思う。毎月の回覧板でも協力隊の活動については書かせてもらっているし、将来は紙媒体でも新聞を発行できればとも思っている」
静岡出身の参加者の方から「伊豆の人は観光客には親切だが、移住者にはどうか」との率直な質問には、
「自分が住民としてどれほど受け入れられているかは分からないが、『協力隊、頑張れ』と声を掛けてくれるなど、移住者を受け入れてくれる風土はあると思う」との回答。
また「市町村の範囲にこだわらず伊豆全体の情報を発信をする予定はないか」との質問には
「今は南伊豆で手一杯。範囲を拡げると薄っぺらなものになる恐れがある」との回答。
最後に伊集院さんは、
「協力隊の任期は最長3年間だが、『暮らし図鑑』をしっかり作っていくなど、これからも小さな主語で情報発信を続けていきたい。
皆さん、ぜひ南伊豆に来て下さい」とまとめられました。
窓の外には、出勤する人の姿が増えてきました。
東京のど真ん中(政治や行政の中心)で、食や農林水産業、地域づくりについて学ぶ朝活・「霞ヶ関ばたけ」。
若い方を中心とするスタッフや参加者の皆さんの熱気に感じ入った次第です。