明日(11月23日)は勤労感謝の日。戦後(1948年)制定された祝日法では「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」国民の祝日とされています。
この日は、もともと宮中行事である新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)が行われる日でした。
新嘗祭とは、天皇が米を始めとする新穀を神に捧げ、自らも食することで、収穫に感謝するとともに、毎年の稲作豊穣を祈るというもので、宮中行事の中でも最も重要な儀礼とされています。
また、新たな天皇が即位して最初に行う新嘗祭は、特に大嘗祭(だいじょうさい)と呼ばれ、天皇の代替わりに伴う国家最高の儀式とされています。
新嘗祭・大嘗祭は、天武天皇(在位673~686年)の頃に始まりました。
律令国家を成立させた天武天皇は、式念遷宮など伊勢神宮の諸制度を整備するとともに、新嘗祭・大嘗祭の制度化にも力を注ぎました。新嘗祭で捧げられる米は、全国各地から献上されたものが用いられました。つまり、地方豪族に天皇への服属を確認する儀式でもあったのです。
やがて米は、天皇が祭祀を司る“聖なる”食べものとして、日本社会において大きな地位を占めることとなりました。そして戦後の祝日法では、米作りは勤労の象徴とされたのです。
いずれにしても明日は、勤労者の皆さま(家庭内勤労者の皆さまも含め)、お互いにねぎらい、感謝し合いましょう。
[参考]
原田信男『コメを選んだ日本の歴史』(2006/5、文春新書)
http://food-mileage.jp/2018/09/17/hon-151/
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出典:F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】No.156
https://archives.mag2.com/0001579997/