新年度のスタートです。

 東日本大震災の被災者の皆様には、心からお見舞い申し上げます。
 未曾有の大災害から3週間以上が過ぎましたが、今なお被害の全貌は明らかとはならず、さらに原発事故は予断を許さない状況の中、避難所等で不安で不便な生活を強いられている方々のお気持ちを思うと、言葉も見つかりません。

 その福島原発から電気を頂いていた東京・首都圏は、震災の直接的な被害は大きくはなかったものの、計画停電や水道水の放射能汚染の影響もあり、しばらくは混乱が続き、震災以降、多くの行事やイベントが中止となりました。
 そのような中、4月2日(土)には、NPO野菜と文化のフォーラム主催の「野菜の学校2011」の第1回が開催されました。これは、昨年から月1回、日本各地の伝統野菜を取り上げてセミナーと食べ比べ等を行っているもので、毎回、生産者、市場関係者、料理教室の講師、フードライター、マスコミ関係者等、熱心な方たちが受講されています。
 懐かしい東京でのフード・マイレージセミナーの1期生の方にも、久しぶりにお会いすることができました。
 2011年の第1回のテーマは九州・熊本の「ひご野菜」です。講師として、アリアンス代表の北亜続子さんが熊本から見えられました。九州農政局在勤中に食育関係で知己を頂き、その後、日本初のフード・マイレージ実践講座を熊本で企画されるなど、色々とお世話になっている方です。

 北さんは、まず、被害の無かった西日本から元気をお届けしたいとの気持ちを述べられた後、ひご野菜のルーツ、それぞれの種類と特徴、それに生産者の現状や農業高校生の取組等を含めて説明がありました。自ら主催する野菜塾や様々な場で講演をされている北さんですが、聴衆の気を逸らさせない話術には、ますます磨きがかかってきたようです。

 講演の後は、熊本産ひともじ、広島産わけぎ、庄内産あさつき等の食べ比べ。それに、辛子蓮根、水前寺菜のサラダ、水前寺せりのチヂミ、芋の芽のオリーブ油焼、黒皮かぼちゃの和風煮、高菜漬け混ぜご飯の試食。そしてグループ毎に感想の発表と意見交換。

 最後には、福島県の須賀川市から来られた方から、原発事故の関係で一部野菜が摂取・出荷制限されている福島の野菜の厳しい現状について、それでも直売所は頑張っているとの話なども含め、紹介して頂きました。

 未曾有の大災害とかつて経験のない原発事故、被災地の方々のことを思うと言葉が出ませんが、徐々にできるところから日常性を取り戻しつつ、これまで福島の恩恵を蒙ってきた首都圏の人間の一人としては、福島の、東北の野菜や食べものを応援していくことが、できることの一つと理解できました。さらに、伝統野菜は、これからの新しい社会を創造していく上で重要な役割を果たしていくという予感を感じることができたセミナーでした。