F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.012

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 ◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇

     No.12 ; 2013.1/26(土)[旧暦 師走十五日]発行

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 東京では、14日「成人の日」が大雪にたたられるなど、厳しい冬が続

いていますが、皆様、お変わりありませんか。

 自然の時の流れを感じ取って頂く一助とするため、旧暦の毎月1日と

15日(新月と満月の大潮の日)に配信している本メルマガ、今回は旧暦・

師走十五日の配信です。今夜は満月です。

 


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  F.M.豆知識

   3 フード・マイレージを考える背景 (1) 食の「外部化」「簡便化」

 

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

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 前回は、ここ数十年の間で、私たちの食生活が激変し、それが様々な

分野で大きな問題点をもたらしていることを紹介しました。

 

 今回は、「食の激変」の内容の一つめとして、食の「外部化」「簡便

化」という面を取り上げます。

 

 「食の安全・安心財団」の付属機関である「外食産業総合調査研究セ

ンター」が、毎年、外食産業の市場規模を推計し公表しています。

 これによると、2011年の外食全体の市場規模(売上高)は約28.8兆円

となっていますが、これは、1975年時点の8.8兆円に比べて約3.3倍に増

加したことになります。

 特に、このうち、いわゆる中食(持ち帰りの弁当やそう菜等)につい

ては、同期間に0.4兆円から6.3兆円と、実に15倍へと大きく増加してい

るのです。

(もっとも、外食自体は1990年代後半以降減少しているのに対し、中食

はほぼ一貫して増加しているという状況にあります)。

 

 この結果、食の「外部化率」(飲食料費支出に占める外食の割合)は、

同期間に28.4%から44.7%へと大きく高まりました。

 つまり、1975年の時点では、私たちの食のほぼ4分の3は「内食」(家

庭内で食べること)だったのが、現在は半分近くが外食(中食を含む。)

となっているのです。

 

 家庭における調理や食事の内容も、大きく変化しています。

 例えば、レトルト食品の生産量は、1975年は5万トン程度であったの

が、近年は30万トンを超えています。同じように、調理冷凍食品(フラ

イ類、餃子、麺類など)の生産量も大きく増加しています。

 

 これら「外部化」「簡便化」が大きく進行した背景には、様々な事情

があります。

 まず第一にあげられるのは、技術面の発展です。

 さまざまな加工技術、衛生管理技術が発達しただけではなく、コール

ドチェーンなど流通段階における技術革新、さらには家庭における電子

レンジ等の普及が、食の「外部化」「簡便化」を後押ししました。

 

 もう一つは、消費者のニーズの変化です。

 経済の高度成長等の過程で女性の社会進出が進んだことは、家庭内で

調理にかけられる手間と時間を縮小することになりました。

 また、単身世帯が増加したこと、や高齢化が進行したことも、外食や

中食が増えた背景にあります。

 

 これらの様々な事情から、私たち日本人の食生活は、急速に「外部化」

「簡便化」が進行したのです。

 次回は、このことが食品の流通面に及ぼした影響について、みてみた

いと思います。

 

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  オーシャン・カレント −潮目を変える−

 

 食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

んでおられる方達を紹介するコーナーです。

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 greensmile(グリーンスマイル、略称グリスマ)という集まりがあり

ます。

 「都会と田舎をConnect(つなぐ)−都会のニーズと田舎のシーズを

つないで日本をにっこり元気にしよう!」を合言葉に、201111月に活

動をスタートさせました。

 

 活動の柱の一つが「平米(へいべい)ファーム」。

 東京の本土で唯一の村・檜原村等において1平方メートルからのレン

タルファームを開設。普段は地元の方に管理して頂きますが、定期的に

訪ね、農作業と併せてこんにゃく作り等の体験イベントを開催していま

す。

 

 また、品川の青物横丁商店街において、地元商店街の方の協力も得て

定期的にマルシェ「全快野菜屋ちゃん」を開催し、平米ファームで獲れ

た野菜や地域の特産品を販売しています。単なる直売ではなく、田舎と

都会、双方の情報交流とファン作りが狙いです。

 さらに、段ボール箱を使った燻製づくりの体験イベントの開催、飲食

店の協力を得て檜原村の野菜をメニューに取り入れてもらう等の取組も

行っています。

 

 代表の今中徹也さん(通称「てーさん」)はIT関係のコンサルタント

会社に勤務。出身地・奈良県桜井市のような豊かな自然と美しい里村の

景観を残したいとの思いで活動を始められたそうです。

 

 てーさんのパワフルで明るいキャラクターの下、デザイナー、画家、

ファイナンシャルプランナー、商店街のレストラン・オーナー、会社員、

家庭の主婦の方など、様々なメンバーが明るく元気に活動されています。

ネットワークと活動の幅は、どんどん発展していきそうです。

 

 その雰囲気を味わいたければ、ぜひ、グリスマのイベントに顔を出し

てみて下さい。

 ちなみに明日27日(日)1015時の間、青物横丁商店街にある品川法

人会で「全快野菜屋ちゃん」がオープンしています。

 よろしかったらお立ち寄り下さい。

 

 「グリーンスマイル」HP

  http://www.greensmile.asia/

 

 第3回品川マルシェ「全快野菜屋ちゃん」の開催について

  http://www.facebook.com/#!/events/501942789845734/

 

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  情報ひろば

 

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ウェブサイトやブログ

 の更新情報、読者の方からの投稿(告知等)をお知らせします。

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 ブログ「伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 

114日付け 福島の現状と「本当の復興」

 

 世田谷区経堂にあるマンションの1室で、福島に移住し「対話による

未来づくり」の活動支援を行なっている佐野淳也さんのお話を聞く会が

開催されました。

 「本当の復興」とは、私たち自身が、身の回りの地域をどのように作

り直していくかということです。

 http://food-mileage.jp/2013/01/14/fuku/

 

116日付け 東京と地方をつなぐ神田「なみへい」

 

 久しぶりに「東京から故郷おこし」がコンセプトの「全国うまいもの

交流サロン・なみへい」を訪ねました。今月は山形・米沢の特産品コー

ス。

 ここは、東京に住む私たちに忘れがちな大切なことを伝えてくれる場

でもあります。

 http://food-mileage.jp/2013/01/16/

 

120日付け 「三富(さんとめ)を未来に」シンポジウム

 

 埼玉県所沢市、三芳町、川越市等にまたがる三富地域では、古くから

雑木林を活かした地域資源循環型の農業が行われてきました。都市近郊

で営まれる農業の価値を改めて評価し直し、未来につなげていこうとい

う趣旨のシンポジウムの内容です。

 http://food-mileage.jp/2013/01/20/

 

122日付け 「原発事故子ども・被災者支援法」をご存じですか。

 

 昨年6月に制定されていながら実施が遅れている「支援法」の現状と

課題についてのカフェ形式の勉強会の模様です。

 福島から東京都下に母子で自主避難してきておられる方のお話は、

痛切ともいえる現実に、言葉を失いました。

 私たちも被災の当事者として、支援法の動きなどウォッチしていく

必要があります。

 http://food-mileage.jp/2013/01/22/

 

 管理者が参加予定または関心のあるイベント等を紹介します。

 

  3 品川マルシェ「全快野菜屋ちゃん」

 日時:127日(日)10001500

 場所:品川法人会館(青物横丁商店街、品川区南品川2-7-6

 主催:グリーンスマイル

 (詳細、お問合せ等

  http://www.facebook.com/#!/events/501942789845734/

 

  東京朝市アースデイマーケット 3回食の器市

 日時:127日(日)10001600

 場所:代々木公園けやき並木(渋谷駅、原宿駅から徒歩10分)

 主催:アースデイマーケット実行委員会

 (詳細、お問合せ等

  http://www.earthdaymarket.com/

 

 第21 共奏キッチン

 日時:129日(火)18002200

 場所:三田の家(港区芝5-23-2

 主催:共奏キッチン運営チーム

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/list#!/events/333528646763389/

 

 秋そばづくり第6弾「そば打ち・水車粉挽き体験」

 日時:22日(日)、JR上野原駅 10:10 集合・17:15 解散

 場所:山梨県上野原市西原

 内容:水車粉挽き見学、そば打ち、来期に向けた対話会

 主催:しごと塾さいはら

 (詳細、お問合せ等

  http://shigotojyuku-saihara.jimdo.com/

 

「有機農業で生きる」「コミュニティの力」2作品上映&ゲストトーク

 日時:22日(土)17:45 上映、19:30 トークショー

 場所:UPLINK(渋谷区宇田川町)

 ゲスト:金子美登氏(埼玉・小川町、有機農家)

     大江正章氏(コモンズ代表)

 (詳細、申込み等

  http://www.uplink.co.jp/event/2013/6856

 

 シンポジウム「放射線影響の真実に迫る」

 日時:23日(日)12:3016:45

 場所:東京しごとセンター(千代田区飯田橋)

 主催:「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク

    NPO法人市民科学研究室「低線量被曝研究会」

 (詳細、お問合せ等

  http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2012/12/23.html

 

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 F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也(フード・マイレージ資料室 管理者)