石川発・地場産物を活用した学校給食と食育

 2013年2月15日(金)は曇り空。
 8時過ぎ大宮発の上越新幹線が越後湯沢駅に着くと、一面の雪景色です。
 ほくほく線「はくたか4号」に乗り換え、途中、久しぶりの日本海を眺めつつ、11時59分に金沢着。
 季節柄、遅れることもあって早めの列車で来たのですが、無事、定刻に到着しました。
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 金沢は雨模様。街中に雪はほとんどありません。
 県の方に出迎えて頂き、石川県庁へ。
 この日、「平成24年度 栄養教諭・学校栄養職員講習会」が開催されています。
 石川県教育委員会が主催、(財)石川県学校給食会と石川県栄養教諭・学校栄養職員研究会との共催です。
 着いたのは昼の休憩時間中。
 控え室に通して頂き、教育委員会の担当の方、実践報告をされる宝達志水(ほうだつしみず)町立押水中学校の栄養教諭・北出宏予先生と、打合せを兼ねつつ昼食。
 金沢名産の笹寿司と、実際に学校給食で供されている納豆、もずく、ゼリーを頂きました。
 いずれも美味です。
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 「そらなっとう」とは、黄砂が運ぶ細菌を研究している金沢大のチームが能登半島上空約3千メートルで採取した菌を使い、県内のメーカーが開発したもので、大豆、添えられているタレも石川県産だそうです。
 朝の10時から始まった講習会、午前中は学校給食の衛生管理をテーマに熱心な討論が行われ、やや時間が押しているとのこと。
 午後は、県・教育委員会の担当の方からの「学校給食の現状」についての説明で再開。出番は先ですが、傍聴させて頂くことにしました。
 会議室に入ると、約100名の参加者で広い会議室は一杯です。
 若い人たちも多く、ほとんどは女性ですが、若い男性の姿もあります。
 各ブロック代表の方からの今年度の研究の実践報告に続き、「学校給食に地場産物を活用した食育の実践」と題して、押水中学校の北出先生から報告。
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 地場産物の利用率を上げるために、事前に業者や生産者からの情報収集を細やかに行うとともに、旬の食材は調理方法を変えて繰り返し利用する等の取組を行われているとのこと。
 さらに、地元生産者、JA、行政の関係部局等との連携による調達・納入システムを構築されているそうです。
 一方、地場産物を利用した献立は、かえって児童生徒に馴染みが薄く、食べ残しが多い場合もあるとの実態も報告されました。
 なお、北出先生は、翌日からの東京での全国研修会でも報告されるとのことで、講習会終了後、東京に向かわれました。
 石川県での取組は、全国的にも注目されているようです。
 その後、私から「地産地消 フードマイレージから学校給食・食育を考える」と題して説明。
 70分の持ち時間のうち、最後の5~10分は質疑応答に当てるようにと言われていたのですが、説明だけで5分ほど超過してしまいました。今日も時間配分を失敗。
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 講習会の最後は、「地場産物を活用した学校給食・地場産物を活用した食育」というテーマで、数人ずつのグループに分かれての研究協議です。話し合いの後、2グループから発表がありました。
 地場産物の活用については、旬の時期が短く、天候要因等で人数分の安定供給が難しいこと、不揃いなもの等は調理の負担が大きいこと等の課題があること、今後は、使用予定量を早めに生産者、JAに提示するなど連携を強化するとともに、生産者との触れ合いの機会を増やしていきたい等の内容でした。
 これらに対して「指導助言」をと言われ、学校給食には素人であることをお断りしつつ、不揃いになることは農産物の特徴であることを教えることも食育の一環ではないか、そのためには、子ども達が生産の実態をみて経験することの効果も大きいのではないか、等の勝手な感想を僭越ながら述べさせて頂きました。
 司会の方が「自分たち学校給食の現場での取組が、少しかも知れないけれど地球を変えることにつながることが理解できた」と、まとめて下さり、講習会は16時30分に終了。
 色々と報告をお聞きするとともに資料も頂き、私の方が、大変、勉強させて頂いた講習会でした。
 夕方は、「金沢の台所」近江町市場近くの居酒屋で、お世話になった方達と再会しての懇談会。
130215_7_convert_20130220063231.png 北陸農政局在勤中からお付き合いのあった「金沢エコネット」の方たちに昨年3月の研修会に呼んで頂き、その時に事例報告をして頂いた志賀町の栄養教諭・堀栄子先生とご縁を頂き、今回の講習会は、その堀先生が講師として推薦して下さったそうです。
 堀先生は、自宅が遠いにもかかわらず、友人の先生を誘って懇親会にも参加して下さいました。
 この場で、先生が執筆された「給食だより・すくすく」等を頂きました。
 A4版で1頁、家庭の方等向けに、毎月、発行されているそうです。
 後日、改めて読ませて頂くと、食材や料理の知識、現場での工夫等とともに、子ども達の心温まるエピソードが満載でした。先生のお許しを頂ければ、改めて内容を紹介できればと思います。
130215_5_convert_20130219000957.png 金沢で頂いたご縁が拡がっていることに、改めて感謝の気持ちと嬉しさで一杯でした。
 さて、冬の金沢は食べ物もお酒も、美味この上ありません。
 特に、30センチもある旬の「赤がれい」が、各自1尾ずつ出てきたのには狂喜乱舞。石川の地酒とともに、美味しく頂きました。
 翌朝は雪になっていました。金沢の街が白く彩られています。
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 昼を頂いた金沢近郊の食堂の壁には、魚や加賀野菜の絵が描かれていました。
 添えられている言葉も洒落ています。
130216_2_convert_20130219001046.png まず、魚については、
「たたくなり 焼くなり 好きにしてくれ。」(マアジ)
「飛んでいきたい あなたのもとへ 出来ることなら 今すぐに」(トビウオ)
130216_3_convert_20130219001107.png 加賀野菜については、以下のとおりです。
「柔らかいのに 煮崩れしない。まるであたいの ことみたい。」(源助大根)
 ずんぐりとした円筒形の源助大根は、肉質が柔らかく、かつ、煮崩れしないのが特徴で、おでん等に最適の品種です。
 「はごたえ、しゃっきり のどごし、もっちり 見通し、すっきり」(加賀・小坂れんこん)
 でんぷん質が多く粘りが強いのが特徴で、代表的な加賀料理の一つである「はす蒸し」等には欠かせない食材です。
 金沢、石川という地域は、非常に食材が豊かで、農漁業も盛んな土地柄です。
 しかし、四国出身の私が2年間、金沢に住んだ実感としては、特に冬期間は農業生産には不利な気象条件下にあります。
 だからこそ「加賀野菜」のように、伝統的な食材や食文化を大切にする気風と意気込みが強い地域なのだろうと、想像されるのです。
 このような様子が、飲食店の壁にさりげなく描かれた絵と言葉からも伺え、興味深く感じた次第です。
 豊かな食に恵まれた石川県から、学校給食を含め、食育の取組がさらに発展し拡がっていくことを期待したいと思います。
【ご参考】
 ◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 ◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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