「全快野菜ちゃん」とアベノミクス

 2013年5月18日(土)は、初夏の陽気に誘われるようにフラフラと家を出ました。
 何となく品川方面へ。
 京急・青物横丁の駅を降りて旧品川街道を歩いていると、向こうに何やら幟(のぼり)が風にはためいています。
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 何だろうと思って近付いてみると、そこは品川寺(ほんせんじ)の門前。大同年間(西暦806~810年)に開創され、東海七福神にも数えられている由緒あるお寺だそうです。
 そして幟には「全快野菜ちゃん」の文字。「朝採り野菜」とも。
 参道脇に何やら人が集まっています。道行く人たちに声をかけている人もいます。
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 そばに行ってみると、な、なんと、こんなところに八百屋さんが。
 小さなマルシェが開かれていたのです。
 しかも緑色のウィンドブレーカー、どこかで見たことがあると思ったら、先日、檜原村でゴマを植える活動を主催している「グリーンスマイル」の人たちでした。
 全くの偶然に驚きました(わざとらしい)。
 「都会と田舎をConnect(つなぐ)」がキャッチフレーズのグループ、グリーンスマイル(Greensmile)が、地域の方々の協力を得てこのマルシェを主催しています。
 大規模なものではありませんが、なかなか充実したラインナップです。
 茨城・つくばの農業生産法人の若いご夫妻は、今回も泥つきねぎ、トマト、サンチュなど様々な野菜を出品してくれています。
 愛知・一宮市の生産者、長谷川さんちの原木しいたけ。岡山・美作市のさとみ農園からは野菜とお米。
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 岐阜・瑞浪原産の有機茶「なるせ」
 青森のにんにくは、炊飯器の保温機能を使って熟成されたというレアもの。
 特別な製法で作られたという群馬産のこんにゃく。秋田・白神のねぎ。
 手づくりのお猪口も並べられていました。
 クォリティが高いこだわりの品々が並んでいます。
 いずれも、主催者の方と、リアル、バーチャルで繋がった人たちが作られたものです。
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 先月までは、もっと人通りが多い場所に出店しており、今回は集客に苦労しそうかな、と最初は思ったのですが、多くのお客さんで賑わいました。
 15時までということでしたが、14時頃には、どんどん商品は無くなっていきます。
 私も野菜、しいたけ、にんにく、こんにゃく、ぐい飲みなどをキープ。
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 檜原村で育てているゴマも、ここで販売する構想です。
 多くの生産者の気持ち、産地の空気を都会の人たちに繋いでいくマルシェが、これからも月1回のペースで続けられ、次回は6月15日(土)11~15時、同じ品川寺の門前で開催予定です。
 マルシェを後にして、駿河台の明治大学に向かいました。
 この日、明治大学リバティータワーでは、政策分析ネットワーク主催「第15回政策メッセ:公共政策シンポジウム」が開催されていました。
 午前中からのセミナーに続き、15時からは特別シンポジウム「アベノミクス:日本再生のための成長戦略を問う」。
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 モデレーターは東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授。
 パネリストには、慶應義塾大学総合政策学部の竹中平蔵教授、政策研究大学院大学の大田弘子教授、日本経済新聞社編集委員兼論説委員の大林尚さん、それにオリックス株式会社会長の宮内義彦会長(元規制改革・民間開放推進会議議長)。
 伊藤先生は経済財政諮問会議、竹中先生は産業競争力会議、太田先生は規制改革会議員と、それぞれ現在の安倍政権における経済政策(アベノミクス)の立案に直接携わっている方たちです。
 株価が半年で70%上昇するという好況の中、さぞ「景気」のいい話のオンパレードかという予想は裏切られました。
 現在の経済政策について、司令塔(経済財政諮問会議等)が十分に機能しているとは言い難いこと、昨日の総理スピーチにもあった成長戦略については、総花的との批判もあり、大いなる期待と心配があること、本来やるべき「岩盤」規制の改革には手がつけられていないこと。
 また、竹中教授からは、健全なマクロ経済政策こそが最大の成長戦略であり、総理主導による新しい特区と、空港、上水道などインフラ運用の民間化の意義について言及がありました。 
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 会場には、経済界や学界からの参加が多かったようですが、中には一市民の立場で参加されている方もおられました。
 そのような方からの「正確な情報を知るためにできることは」との質問に対しては、政府の審議会でも資料や議事録はインターネットで公開されており、それを丹念に読むことが必要、マスコミの論調とはだいぶ異なることもある、等の回答。
 循環型社会への移行の必要性を強調するあまり、なかには経済成長そのものが不要と言った極端な主張をする人もいます。しかし、高齢化が進み人口が減少するなか、社会の持続性の確保のためには一定の経済成長は不可欠です。
 短期的な株価上昇や円安など目先の景色に浮わつくことなく、この社会にとって必要なことは何か、自分に何ができるか、しっかりと考えていくことが大事です。
 マルシェ等によって都市と農村を繋いでいくことも、重要な取組の一つと思われます。
【ご参考】
 ◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 ◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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