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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇
No.27 ; 2013. 9/5(木)[旧暦 葉月朔日]発行
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今日から葉月に入りました。
葉月とは「穂張り月」、葉月朔日が「八朔(はっさく)」です。
収穫期を迎えた早稲を捧げて豊作に感謝するとともに、台風の被害が
無いことを願う神事が各地で行われていました。
「八朔や 朝日静かに 稲の波 子規」
本メルマガは、時の流れを感じて頂く一助とするため、旧暦の毎月1日
(朔日、新月の日)と15日(ほぼ満月の日)に配信しています。
参考:高月美樹さん著『和暦日々是好日』http://www.lunaworks.jp/
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◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎
回少しずつ取り上げていきます。
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4 日本は「農業大国」か
(1)「日本は世界第5位の農業大国」?
近年、食料や農業を巡って様々な議論が行われています。
それ自体は歓迎すべきことなのですが、中には「向こう受け」をねら
うばかりに、必ずしも十分に実情を反映していないものもあります。
その一つが「日本農業大国論」。
日本農業は弱く保護すべきものであるとの通念を覆し、ある種の痛快
さがあることから、広く受け入れられました。
その代表は「日本は世界第5位の農業大国」というもので、浅川芳裕氏
による同名の著書はベストセラーになりました。
浅川氏ご自身は(私は直接の面識はありませんが)、農業専門誌の編
集に長く携わられ、農業の現場の実情に精通されている方で、本書にも
建設的な多くの提言が含まれています。
食料や農業に関心のある多くの方に読んで頂きたい好著です。
ところが、「世界第5位」というキャッチフレーズだけが一人歩きし
(書名ではあるのですが)、必ずしも農業に対する知見が十分に深いと
はいえないエコノミストや評論家までが飛びついたのです。
彼らの論調には、日本農業は保護すべき弱い対象ではないのだから、
どんどん自由化して市場経済に委ねるべし、との意図が内包されている
場合が多いようです。
実際の統計ではどうなっているでしょうか。
内閣府『国民経済計算』によると、日本の農林水産業の総生産の額は
約5.6兆円(2010年)で、ドルに換算すると633億ドル(換算レートは約
88円/ドル)となります。
これを単純に国際比較すると、確かに、中国、インド、アメリカ、ブ
ラジルに次いで第5位に当たります。
数字だけみると、「日本は世界第5位の農業大国」というのは紛れもな
い事実です。
しかし、このことのみをもって「日本が農業大国」と断じることは、
いささか乱暴な議論であると私は思っています。
その理由(数字の見方)については、次回、説明したいと思います。
(参考)
農林水産省「平成23年度食料・農業・農村白書」参考統計表
(p.64〜65に「農業関係指標の国際比較」が掲載されています。)
http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h23/pdf/t_data_3.pdf
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◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組
んでおられる方達を紹介するコーナーです。
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吉田恵美子さんは、「いわきおてんとSUNプロジェクト」の実施主体で
ある企業組合の代表で、コミュニティ電力、復興スタディツアーと並ぶ
プロジェクトの柱・オーガニックコットンを担当されている方です。
震災前から、NPO法人「ザ・ピープル」理事長として古着のリサイクル
を通じた地域づくり等に熱心に取り組んでおられた吉田さんは、震災直
後は炊き出しや救援物資の配付に携わり、その後、福島・いわきに新し
い事業と仕事を生み出すため、地元で活動されていた方達と企業組合を
立ち上げられたのです。
いわき市の農地も、地震と津波で大きな被害を受けました。
また、線量は低いとはいえ福島第一原発に比較的近いことから、いわ
ゆる「風評被害」により、食べものの生産には不利な面があります。
そこで、吉田さんが注目されたのがコットン(綿花)。
現在、国内生産はほとんどありませんが、東京のNPO法人や企業との縁
を通じて、福島でコットンを栽培して製品化しようという取組を、昨年
から開始されたのです。
その東京のNPO法人「女子教育奨励会(JKSK)」が実施するボランティ
アバスツアーに3回ほど参加させて頂いたことが、吉田さんと出会うきっ
かけとなりました。
1回目は5月25日(土)。
手づくりの太陽光発電設備の落成式で「私たちが立ち上がっていく姿
を見て頂きたい」と心強い挨拶をされた吉田さんの姿が、強く印象に残
りました。
その日は、双葉が出たばかりのコットンの苗を定植しましたが、その
姿は見るからにはかなげで、果たして根付くのか心配したものです。
それが2回目、6月22日(土)に伺った時には30cmほどに育ち、5〜6枚
ほどの本葉が着いていました。
この時には、地元の小学生やマスコミも参加して、昨年収穫したコッ
トンを使ったTシャツのお披露目式も行われました。
そして3回目の8月24日(土)、コットンは腰から胸当たりの高さにま
で成長し、多くの花までつけていたのです。
淡く黄色いコットンの花を見たのは初めてでした。
このように2年目のコットン栽培は面積も増え、順調に生育しており、
11月に予定されている収穫祭が今から楽しみです。
大震災から間もなく2年半、しかし復興は順調に進んでいるばかりでは
ありません。
原発事故の影響が大きい福島県では、今も多くの方が避難を強いられ
ています。そして多くの避難者を受けて入れているいわき市では、住民
との間で様々なあつれきが生じるなど、地域では新たな問題も出てきて
いるそうです。
被災は、まさに進行中なのです。
そのような、外部の者には想像することも難しいような状況の中で、
吉田さん達のプロジェクトは着実に歩みを重ねています。
「環境問題に苦しんでいる福島だからこそ、本物づくりに取り組んで
いきたい。いつまでも被災者ではなく、周りの人たちに希望を与えてい
ける存在になっていきたい。」
Tシャツお披露目式の時の吉田さんの言葉です。
そのお手伝いをする、支援するということではなく、微力ながらも思
いを共有し、自分のこととして、ともに歩んでいければと思っています。
(参考)いわきおてんとSUNプロジェクト
http://www.iwaki-otentosun.jp/
ふくしまオーガニックコットンプロジェクト
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◆ 情報ひろば
食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各
種イベントの開催情報等をお知らせします。
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▼ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」更新情報
○「たからづか食育フェア」(8月31日)における説明資料を掲載しま
した。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/130831_Takarazuka.pdf
▼ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○[8月19日付け]第1回*江戸コン交流会
新宿で開催された「江戸東京野菜コンシェルジュ」交流会。戦後間
もない時期に伝統大蔵大根等の育種に携わられた大先達・植松敬先生
の講演をお聞きしました。
http://food-mileage.jp/2013/08/19/
○[8月20日付け]東京カフェ、東京モヒート、東京ゴマ
東京・墨田区にある東京産食材にこだわったお洒落なカフェ。すみ
だジャズフェスティバルでは東京産のミントを使ったモヒートが完売。
市民農園のゴマ(ゼロワンプロジェクト支場)も成長しています。
http://food-mileage.jp/2013/08/20/
○[8月26日付け]福島・広野町に咲いたコットンの花
JKSK主催のボランティアバスツアーの第3回。オーガニックコットン
は大きく成長し鮮やかな黄色い花をつけていました。いわき市薄磯地
区等の津波被災地を見学させて頂き、その後はワークショップ。
http://food-mileage.jp/2013/08/26/
○[8月29日付け]季節は秋へ。
残暑の中、飛び込んできたコガネムシ。市民農園も、秋の姿に変わ
りつつあります。楽しみもある秋です。
http://food-mileage.jp/2013/08/29/
○[9月3日付け]「コネ連」ビアパーティー
8月29日(木)に渋谷のビルの屋上で開催されたのは、都会と田舎を
つなぐ「コネクター」の皆さんの交流会。渋谷みつばちプロジェクト
の拠点でもあります。渋谷と言えば「ハチ公」と「ハチ子」。
http://food-mileage.jp/2013/09/03/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
募集締切等の場合がありますので、参加を希望される場合等は、
必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。
○ 第3回「江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座・入門編」
日時:9月7日(土)13:00〜17:00
場所:東京アグリパーク(JA東京南新宿ビル3F)
主催:江戸東京野菜コンシェルジュ育成協議会
(詳細、お問合せ等↓)
http://edocon831.seesaa.net/article/366777075.html
○ greensmile
≪東京ゴマ01プロジェクト≫ in 檜原村 Part4
日時:9月7日(土)9:30にJR武蔵五日市駅に集合。
場所:東京都檜原村
主催:グリーンスマイル
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/486594494756740/
○ すみだ日本と技と酒めぐり2013
日時:9月8日(日)12:00〜17:00
場所:すみだ産業会館サンライズホール(墨田区江東橋、丸井8F)
主催:すみだ日本の技と酒めぐり実行委員会
(詳細、お問合せ等↓)
○ キビの収穫・脱穀とキビまんじゅうづくり
日時:9月14日(土)、28日(土)11:15びりゅう館集合
(電車の場合は10:25上野原駅発バス利用)
場所:山梨県上野原市西原(さいはら)地区
(お問合せ、申込み↓)
taro.tomisawa☆gmail.com(☆を@に変更して下さい。)
(参考ウェブサイト)
http://www.yamanashi-kankou.jp/y-tabi/health/bosyuchu/chojushoku-taikenshukuhakusaihara.html
○ 久松達央さんセミナー「小規模農家のマーケティング戦略」
日時:9月18日(水)19:00 〜20:50
場所:ちよだプラットフォームスクウェア(東京・竹橋)
主催:農業ビジネス研究会
(詳細、お問合せ等↓)
http://m-motegi.at.webry.info/201308/article_3.html
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方
の部分は、全て、筆者の個人的なものです。
* 今回も読んでいただき有難うございました。
次号は9月19日(木)(旧暦・葉月十五日)の配信予定です。
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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
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◆ 発行者:中田哲也