2013年11月17日(日)の熊本の朝。
暑い位だった前日と打って変わり、強く冷たい雨が落ちています。
9時半、毎熊さんがご子息とともに県庁近くのホテルに迎えに来てくれました。
まず向かったのが、市内東区御領というところにある菓子工房「myくま屋」。
毎熊さんは非常に幅広く活動されている方で、前日の講演会を主催した「フード&ライフスタイル協会」の代表もされていますが、今年の4月には、この「myくま屋」をオープンされました。
その目的は、生産が減少しつつある熊本の在来種「みさを大豆」を守ることでした。
需要を増やすための加工品作りに、自ら取り組むことになったのだそうです。
そこで、もともと近所であり、生協の理事としてもお付き合いのあった「とうふ庵うちだ屋」さん(県産大豆と昔ながらの製法にこだわる豆腐屋さん。昨日の昼のお弁当はここのものです。)の店舗の一画を借り受け、一級建築士など知り合いの方の協力を得て厨房に改装されたのです。
ここでは、みさを大豆を原料にしたお菓子やオカラ茶を製造しているほか、小規模の料理教室を開催されることもあるそうです。
昨日の意見交換会の際に頂いたビスコッティもブラウニーも、大変美味でした。ただ、多忙な毎熊さんがほとんど一人で切り盛りされているため、口コミ等での注文生産が中心とのこと。
毎熊さんの思いや活動内容等について、1時間ほどじっくりと聞かせて頂きました(改めてメルマガ等で紹介できればと思います)。
ご子息の運転で車は東へ。
途中、県民総合運動公園(通称「うまスタ」)の脇を通りました。Jリーグ・ロアッソ熊本の最終戦が14時にキックオフだそうで、午前中から駐車場は多くの車で埋まっています。
JA菊池の直売所「きくちのまんま菊陽店」を見学。
すごい混雑、レジには行列ができています。
飼料米を与えて育てた「えこめ牛」もありました。飼料自給率の向上と水田の有効活用につながる取組です。色鮮やかな白菜(オレンジクイーン)が目を引きます。
このような直売所が身近にあることも、熊本の豊かな食を支えています。
車は大津町へ。
バイパスから畑の中の脇道に入り、車が対向できないような狭い道の先に、目指す「郷乃恵(さとのめぐみ)」がありました。
幸い、雨は上がっています。
築200年の農家の母屋を改装した自然食レストランです。
低い引き戸から入ると、梁などは昔のままの重厚さ、天井や壁は和紙で装飾されています。テーブル毎に吊されている電灯も和紙で覆われ、柔らかな光が漏れています。
食卓など調度も昔ながらのもの。箸置きは紅葉した柿の葉、おしぼりは日本手ぬぐいです。
最初に、赤大豆の煮豆とともにゴボウ茶を出して下さいました。くせがない穏やかな風味です。
昼のメニューは定食(御膳)のみで、だご汁か豚汁を選べます。ここは迷わず、熊本の郷土料理・だご汁をチョイス。
ちなみに夜は、産山村の井信行さんの牛肉も頂けるそうです。
間もなく、これも昔ながらの銘々のお膳に載せられて、料理が運ばれてきました。
野菜がたっぷり入った具だくさんのだご汁は、普通のだご(小麦粉をこねてのばしたもの)に加えて「いきなり団子」(サツマイモを包んだまんじゅう)も入っています。
この一帯はサツマイモ(カライモと呼びます。)の産地です。
うちだ屋さんの豆腐や厚揚げも使われています。白和え、サラダ、ぬか漬けなど。ご飯は玄米です。
いずれも優しい、懐かしいような味です。
お手洗いに立ってみると、便座は最新式の洗浄式でしたが、手洗い場は昔ながらの蛇口でした。
縁側に目をやると、鮮やかな色の柿の皮が干されていました。白菜を漬ける時に使うそうです。
このお店、実は菊池市で自然食品のネット販売を手がける「渡辺商店」の関連で、自然食品も多数並べられ販売されていました。
丁寧に作り込んだ郷土料理を堪能した後は、尾ノ上のおしゃれな喫茶店(私が3年間住んでいた場所の近くですが、当時はありませんでした)でコーヒーと手作りのマカロンを頂きました。
その後、熊本駅まで送って下さいました。
お忙しい毎熊さん親子を、前日から2日間も拘束してしまったのは申し訳なかったのですが、お陰様で、多くの懐かしい人と再会でき、新しい方の面識も頂き、さらに熊本の美味しいものも堪能させて頂きました。
そして、熊本の豊かな食がどのように支えられているか、その様子も垣間見ることができました。
熊本を離任してから既に5年半以上が過ぎましたが、今も続いているご縁に、心から感謝したいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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