図5 ケーススタディ:小松菜のフード・マイレージ


◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(8) 地産地消の効果測定-1
今回は、地産地消の取組により、実際にフード・マイレージと二酸化炭素排出量がどの程度削減されるかについてのケーススタディを紹介します。

舞台は東京・小金井市。
都心から西へ25kmの通勤圏ですが都市農業も盛んで、「江戸東京野菜でまちづくり」に取り組んでおり、NPO法人「ミュゼダグリ」(「農の博物館」の意)では、市内の飲食店「くりやぶね」等を舞台に定期的にセミナーを開催しています。

くりやぶねでは、地元産の食材を使った料理を頂くことができます。
ここで使用する小松菜(江戸東京野菜としては「伝統小松菜」)について、フード・マイレージと二酸化炭素排出量を計算してみます。

地元(市内東町)産小松菜のくりやぶねまでの輸送距離は2.1kmです。使用量を500g(0.5kg)とすると、この場合の小松菜のフード・マイレージは、0.5×2.1=1.1kg・kmとなります。
これにトラックの二酸化炭素排出係数(前号参照)0.18g/kg・kmをかけると、1.1×0.18=0.2gとなります。これが、市内産の小松菜500gをくりやぶねまで輸送する際に排出される二酸化炭素の量です。

それでは、地元産にこだわらなければどうでしょうか。小松菜の場合、日本一生産が多いのは埼玉県です。そこで、埼玉県上尾市産の小松菜を使用すると仮定すると、輸送距離は38.4kg、フード・マイレージは19.2kg・kmとなり、輸送に伴う二酸化炭素排出量は3.5gとなります。

さらに、仮に輸入品(中国産)を使用した場合はどうでしょうか。
山東省の産地から青島港まではトラック輸送、そこから東京港までコンテナ船で海上輸送、さらにトラックでくりやぶねまで輸送すると仮定すると輸送距離は2285km、輸送量を掛け合わせたフード・マイレージは1142kg・kmとなります。
これに、それぞれトラックとコンテナ船(0.021g/kg・km)の二酸化炭素排出係数を乗じると、36.5gの二酸化炭素が排出されることが分かります。

結果を整理したのが表5です。

これによると、仮に埼玉県産の小松菜を使用した場合の輸送に伴う二
酸化炭素排出量は地元産を使用した場合の3.5倍、仮に輸入品(中国産)
を使用した場合には地元産の193倍となるのです。

次回は、この表の見方についてもう少し解説します。

[参考]
フード・マイレージ関係資料(F.M.豆知識)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html
NPO法人ミュゼダグリ
http://www.musee-d-agri.org/

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