F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.070

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.70; 2015.6/1(月)[和暦 卯月十五日]発行

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 今日は和暦の卯月(うづき)十五日、そして七十二候のうち第二十四

侯「麦の穂、実る」。

 

 日本の麦生産は、輸入品との価格差から一時、ほとんど無くなりまし

たが、最近は、地元の伝統種を含めて見直され、生産が復活しつつあり

ます。私が住む東京・多摩でも、麦秋の美しさを楽しめるようになって

きました。

 そのようななか、鹿児島・屋久島町の口永良部島で大規模噴火。翌日

には、小笠原・関東地方を中心に大きな揺れに見舞われ、不安感にさい

なまれる日々が続きます。

 

 時の流れを体感するため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と十五

日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は卯月十五日の配

信です。

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  F.M.豆知識

 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げて

いきます。

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 エンゲル係数上昇に関連する話題が続きます。

 

 前回、食料費支出の背景にある食生活の「欧米化」「外部化」は、高

齢者世帯ほど顕著であることを、指摘しました。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/27_nenrei.pdf

 

 今回は、増加傾向にある単身世帯に焦点を当てます。

 総務省『家計調査』によると、2014年における単身世帯の支出金額の

総額は2005年に比べて8.7%減少する中、食料に対する支出額は2%の減

少に留まりました。その結果、エンゲル係数は25.0%から26.8%へと上昇

しています(2人以上世帯よりもやや高い水準です)。

 これを年齢別にみると、60歳以上層では25.5%から27.1%(特に65

以上では24.9%から27.2%)へと、高齢者層においてエンゲル係数がよ

り上昇している状況がみられます。

 

 それでは高齢単身者層においては、どのような品目に対する支出額が

増えているのでしょうか。

 特徴的な品目に対する支出額の増減を、年齢階層別に示したグラフが

28です。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/28_tansin.pdf

 

 これによると、米に対する消費額の減少率は高齢者層ほど高く、パン

に対する消費額の増加率も高齢者層ほど高くなっています。前回、2人以

上世帯でみられたのと同様、食生活の「欧米化」の傾向は、高齢者層ほ

ど強いことが伺えます。

 

 高齢単身者層で特に支出が増加している品目は、例えばカップめん、

おにぎり等、調理パンです。食生活の「簡便化」が、高齢者世帯で特に

進行している様子が伺えます。

 一方、単身者世帯においては外食に対する支出は減少しています(65

歳以上層では横ばい)。単身者層においては、食生活の「外部化」は、

特に調理食品に対する支出増というかたちで進んでいるのです。

 

[参考]

 総務省『家計調査(家計収支編)』(単身世帯、詳細結果表、2014年)

  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129457

 

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達を紹介させて頂いています。

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 日本フードシステム学会は、食をトータルに捉える「フードシステム」

という観点から、わが国の食料や食品産業にかかわる問題を解明しよう

とする産・学・官共同の研究集団(日本学術会議に登録された学会)で

す。

 

 「フードシステム」とは、川上の農漁業(第一次産業)から、川中の

食品製造業(第二次産業)や食品卸売業(第三次産業)、川下に近い食

品小売業や外食産業(いずれも第三次産業)を経て、最終的な消費に至

る一連の流れのこと。

 そのなかでは、様々な主体(生産者から事業者、消費者まで)が相互

に関連しています。その複雑な内容を明らかにしようとするのが「フー

ドシステム学」であり、その体系については、全8巻の全集の刊行により

ベースとなる土俵ができています。

 

 フードシステム学が必要とされる背景には、「食」(消費者)と「農」

(生産者)との間の距離が拡大しているという現状があります。

 この「距離の拡大」は、単に物理的な距離(輸入品など広域流通の発

達など)だけではなく、時間的距離(旬の消失)、段階的・社会的距離

(加工食品や外食の増加)といった3つの局面で拡大しているとされます。

 

 消費者には、自分の食卓に並べられた食材が、どこでどのように生産

され、加工され、運ばれてきているかが見えなくなっています。そのよ

うな、いわばブラックボックスのような状況にメスを入れようとしてい

るのがフードシステム学といえます。

 

 昨日までの530日(土)〜31日(日)の2日間、東京・世田谷にある

東京農業大学で、2015年度のフードシステム学会年次大会が開催されま

した。

 初日のシンポジウムのテーマは「グローバル化とフードシステム」。

地域連携、食品企業の海外事業戦略、日本食・食文化の海外展開等をテ

ーマに報告と討論が行われました。

 2日目は「医福農連携とフードシステム超高齢社会における配食サー

ビスと福祉」をテーマとするミニシンポジウムに続き、約60本の個別報

告が行われました。

 

 日本フードシステム学会の特色は、その間口の広さにあります。

 農業経済学者だけではなく、流通論や食品栄養学など学際的な分野の

研究者が参加しているだけではなく、食品事業者、生産者、JAや生協、

行政などの関係者も、多数、会員となっています。

 今回の学会でも、研究者による理論的な報告とともに、実際に食品輸

出や配食サービスに取り組んでおられる企業の方からの報告もあり、現

下の課題に即した厚みのある議論が行われました。

 

 初代の学会長・高橋正郎先生は、この学会を「広場」と表現されてい

ます。

 幅広い分野の関係者がパートナーとして参加することを通じ、これか

らのより望ましいフードシステムの構築に貢献していくことが期待され

ます。

 

[参考]

 日本フードシステム学会

  https://www.fsraj.org/

 日本フードシステム学会 2015年度年次大会

  https://www.fsraj.org/taikai/2015/

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 表参道 サロン・ド・ケイコ (05/03)

  http://food-mileage.jp/2015/05/19/

 

 5月の畑と沿線会BBQとガンディーと。
(05/21)

  http://food-mileage.jp/2015/05/21/

 

 大賀米づくり隊(仮称)田植え (05/26)

  http://food-mileage.jp/2015/05/26/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 しごと塾さいはら2015−3弾「お茶作り体験&大豆の定植」

 日時:66日(土)825 JR中央線「上野原駅」集合

 場所:山梨県上野原市西原(さいはら)地区

 主催:しごと塾さいはら

 (詳細、お問合せ等

 http://shigotojyuku-saihara.jimdo.com/

 

 田んぼでアイガモと草取り

 日時:66日(土)945八日市場駅集合、16:24出発

 場所:千葉県匝瑳市「みやもと山(齊藤さん)」

 主催:みやもと山田縁の会

 (詳細、お問合せ等

 https://www.facebook.com/events/687196328080262/

 

 気仙沼応援企画

  「気仙沼の高校生による食を通した未来のまちづくり」

 日時:66日(土)14:0017:00

 場所:ちよだプラットフォームスクウェア(千代田区神田錦町3‐21

 主催:戦略経営研究会

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1440372826259624/

 

 ふくしまオーガニックコットン JKSK ボランティアバス2015

 日時:613日(土)7:0020:00 新宿集合・解散

 場所:福島・広野町

 主催:JKSKNPO女性の活力を社会の活力に)

 (詳細、お問合せ等

  http://www.jksk.jp/j/yyp/yyp_cotton2015.html

 注:今回は定員に達しキャンセル待ち、9/1211/22の回は受付中。

 

 第2 東京ゴマ01イベント

  「そうだ!檜原村のゴマ畑に行こう!〜河原でBBQ編〜」

 日時:613日(土)9:30JR武蔵五日市駅前集合

 場所:東京・檜原村

 主催:グリーンスマイル

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/887778207949918/

 

 2015年度農業体験会「田植え」

 日時:614日(日)10:00東武東上線小川町駅前集合

 場所:埼玉・小川町

 主催:US.Peace ファーム

 (詳細、お問合せ等

  http://uspeace.jp/user_data/event.php

 

 表参道 サロン・ド・ケイコ

 日時:619日(金)18:0021:00

 場所:青学会館校友会室B

 主催:中曽根敬子さん

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/104081686594346/

 

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* 今号のコツコツ小咄。

  初めて田植えを体験する女子2人の会話。

 「田んぼって、まるでギャンブルね」

 「えっ、何で?」

 「足が抜けなくなるもの」

 

* 次号No.71は、616日(火)[皐月朔日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

 

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