2015年11月7日(土)から8日(日)にかけての週末は、「ふくしまオーガニック旅2015-だいずな大豆。」 に参加しました。
東北新幹線と東北本線を乗り継ぎ、11時30分に二本松駅に到着。曇り空です。
改札を出ると、主催者であるNPO法人 福島県有機農業ネットワークの菅野正寿(すげのせいじ)さん、浅見彰宏さん達が出迎えて下さいました。
協力団体である福島とつながる種まきプロジェクトネットワークの前田さん始め、電車利用の5名が集合。
分乗させて頂いた2台の車は、阿武隈川を渡り、次第に阿武隈山地に分け入っていきます。
駅から30分ほどで菅野さんの農場「あぶくま高原 遊雲の里ファーム」に到着。
稲刈りが終わった山間いの田んぼやハウス舎。
菅野さんの講演会で何度もスライドで拝見していた阿武隈山中の農村地域が、いま、目の前に広がっています。ようやく来ることができました。
交流のためのロッジやハウス(農具舎 兼 着替え・荷物置きスペース)があります。壁には、福島の現状等に関するパネルや写真。
ここは、菅野さんのお嬢さん(菅野瑞穂さん)が代表をされているきぼうのたねカンパニー(株)の活動拠点にもなっているようです。
自動車で来られた方達も合流し、炊き込みご飯のおむすびと豚汁、トマトなど野菜たくさんの昼食を頂きながら、菅野さんと浅見さんから挨拶とスケジュール等の説明。
続いて参加者から自己紹介。東京からは企業にお勤めの方やNGOの職員など8名(後に、夕方から来られた方が2名)。東京で畑を借 りて農作業を行っている女性、山形や福島に頻繁に通っておられる男性など、いずれも農業や「農的暮らし」に強い関心を持っておられる方達のようです。
パーマカルチャーを研究しているというジンバブエの方も参加されていました。
昼食後は再び車に分乗し、最初のプログラムである大豆収穫作業へ。
国道を折れて狭い山道に入り、登り詰めたところに平坦な畑が広がっています。かつて桑畑として開塾された土地だそうですが、20年ほど前から菅野さんが借りて畑作を行っておられるそうです。標高は600m程とのこと(寒い!)。
生憎の天候でしたが、晴れていれば安達太良山も望めるそうです。
春に種を播き、夏には草取りをした広い大豆畑(今回の参加者の中には、これらの活動に参加されたリピーターの方達も)。
大豆はカラカラに乾いて、サヤがはじけそうになっています。
これをまず根っこから引き抜くのですが、なかなか力が必要で、中腰の作業は腰にも負担です。
抜いた大豆は、菅野さんのお母様に教えても らいながら藁で束ねていきます。
気温は低く、途中、休憩時に頂いた熱いコーヒーの美味しかったこと。
パラパラと細かな雨が落ちてきました。
全てを束ねて搬出するのはあきらめ、この日は抜くことを優先することに。
幸い、その後は雨は落ちてこず、2時間弱の作業で全ての大豆を抜き終わりました(何事にも終わりがあることを知りました)。
束ねた分は、2台の軽トラに乗せて搬出。この後は機械にかけて脱穀するそうです。
大豆畑の隣には、カブが植えられていました。大小の真っ白なカブが地面の上にぎゅうぎゅうと並んでいます。
ビニール袋をもらって収穫させて頂きました。
土を落として齧ってみると、何ともみずみずしく、甘い香りと味が広がります。
畑を後にし、車は道の駅ふるさと東和に隣接するJAの共同利用施設へ。
ここは、二本松市内に4箇所ある米の全量・全袋検査を行っている施設のひとつとこと。
福島県内で生産された米は、ふくしまの恵み安全対策協議会(生産者団体、流通事業者、消費者団体及び福島県等で構成)が全量・全袋検査を実施し、食品衛生法に定める一般食品の基準値(100ベクレル/kg)以下であることを確認した上で出荷しています。
27年産の新米の検査が本格化していますが、現在までに基準値を超えた米はないそうです。もっとも、最近は基準値超えはほとんどありません。これらの検査結果は全て協議会のホームページで公開されています。
生産者が持ち込んだ玄米(30kg袋)を一つずつベルトコンベアに乗せ、生産者を識別するバーコードを読み込んだ後に検査機を通します。前面のモニターにはまず「検査中」の文字が表示され、スクリーニングレベル以下であることが確認されれば○印に表示が変わります。その後、袋に検査済みのラベルが貼られて出荷されます。
ラベルには1袋ずつの識別コードが付されていて、これも協議会のホームページで検索できるようになっています。
全量・全袋検査の様子は初めて見学しました。消費者の安心のためとはいえ、かなりのコストではあるようです。
検査所では、きぼうのたねカンパニーが主催するHISのスタディツアーの方達と合流し、一緒に隣接する道の駅に移動。
会議室では、菅野正寿さんと瑞穂さんから、福島の農業の現状、有機的な土壌が作物へのセシウムの移行を低減させるメカニズム、都市と農村の共生の新しい関係づくり等について説明を頂きました。
正寿さんのお話は東京では何度か同っていますが、現地で話を伺うと、改めて迫ってくるものがあります。
18時近く、道の駅を出た時には暗くなっています。
車で15分ほどの名目津(なめつ)温泉へ。かなり気温は下がっていたのですが、ここのお湯は温度が高く、たちまち体はほかほかに。
この日の宿泊所である木幡山隠津島(こはたさん おくきつしま)神社(こはたさん おくきつしま)の参宿所に到着したのは、19時半頃でした。
木造2階建ての広く快適な建物です。
その1階の広間で、東和の語り部・紺野雅子さんが待っていて下さいました。
実は2013年3月に道の駅を訪ねた際に話を伺いかけたのですが、あるアクシデントで中断して以来です。
参加者とのやり取りを交えながら、「権蔵と殿さま」「ででっぽっぽ」「鍋の底で躾がわかる」等の民話を語って下さいました。方言での語り口は何とも温かいものです。
「昔話は、昔の人たちが伝えたいという心があるから残されてきた。いい話だからこそ、残ってきた。その心を伝えたいと思って話している」と言われたのが、印象的でした。
気が付くと、時計の針は20時を回っています。
厨房に隣接した食堂で夕食・懇親会。地元の野菜料理やすいとん汁、お赤飯等が並べられました。地酒、地ビール等も。
タ方から参加されたお二人を加えて、改めて(悩み事を語り合いつつ?)自己紹介。
盛り上がって、気がつくと23時を過ぎていました。全員で片付けた後に2階の部屋へ。
何とも充実した、盛りだくさんな一日でした。でも、まだ初日が終わったに過ぎません。
福島・東和の「オーガニック旅」は翌日も続きます。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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