2015年11月14日(土)。
東京・東久留米市柳窪集落を舞台にした民家フォーラムを残念ながら中座し、午後から池袋に移動。こちらでも、どうしても参加したいイベントがあったのです。
池袋駅西口からほど近いビルの8階にある「バー クオーレ」(Bar Cuore)からは落ち着いた隠れ家的スペースです。窓からは新宿の高層ビル群も望めるのですが、この日は生憎の雨に煙っています。
ここで15時から開催されたのは、CSA(Community Supported Agriculture)研究会&懇親会「コミュニティの力で農場を作り、運営していく農業」。
店内は20名ほどの参加者で一杯です。
主催者の挨拶と参加者からの自己紹介に続いて、なないろ畑代表の片柳義春 さんから「CSAに取り組んで」と題してお話を頂きました(文責、中田)。
「若い頃から有機農業に関心があったが、実際に始めたのは13年前の45歳の時。自分の体 もくたびれてきた。もっと早く就農すればよかった。
現在、農地は神奈川県下に大和市や綾瀬市を中心に4ha強。長野・辰野町にも新たに畑を借りた。機械や施設はほとんど中古をもらったもの」
「会員制をとっている。現在の会員は85名ほど。
会費は単なる野菜代ではなく、農場を運営・維持する分担金という位置づけ。任意でホランアィアとして労力も提供してもらっている。出荷作業は全てボランテイア任せ」
「会費は最初の頃は積算方式だったが、煩雑なので前払い定額方式に変更した。会員はロコミでどんどん増え、楽しみで手伝いに来てくれる人も増えた。色々と試行錯誤してきた結果、気がついたら今のようなCSAのスタイルになっていた」
「CSAについては概念が拡がりすぎている。整理が必要ではないか。現在、CSAと呼ばれているものの多くは産直型。
地域支援型農業と訳されることが多いが、本来のCSAは地域が支えるのではなく、消費者が参加し、コミュニティ農業を作っていくもの。そうすれば、有機農産物はセレブのためのものだけではなく、庶民も普通に食べられるようになる」
「従来、有機農業研究会等で言われていた『提携』とは、点と点を結ぶ線に留まっていた。沢山の点どうしが結びつくうちに面となり、色んな人が 関わっていくというのがCSAの姿ではないか」
「現在、なないろ畑では、ハーブ畑、映画上映、スローカフェなど会員自らによる様々なサテライト・グループが自然発生しつつある。自分たちでやり始めると面白くなる。この面白さは、お金の流れや採算性では説明できない。商学部ではなく文学部的な発想が必要」
「色んな人が参画できるように、株式会社形態にしている。株式を取得して経営者になる道も開いている。生産者、消費者の株主が半々というのが理想。CSAは若い人を育て、経営を継続していく上でも有効な手法ではないか」
「CSAの最大の生産物はコミュニティ。無縁社会の克服にもつながる。適当な距離で風通しの良い団粒構造 (適正規模のコミュニティ)づくりを目指したい」
「大きなことを言うようだが、エコロジー型社会を模索し一次産業を復権させるために、大きなピジョンと小さなモデルを示し、可視化していきたい。 野菜を育てるだけではなく、人を育て、社会を育てていきたい」
片柳代表の思いがビシビシと伝わってくるような、エネルギッシュな講演でした。
ご講演が一段落した後は、野菜ソムリエで農産物通販会社を経営されている増田久美子さんが、片柳さんが持参して下さった野菜を調理して出して下さいました。
大きな塊がごろごろ入ったボトフは、野菜の味と食感が美味です。
片柳さんを交えて、しばし歓談・意見交換。
農業情報研究所では、これからもCSA Launcher キャンペーンに取り組んでいくとのこと。FBの準備ページも立ち上げられています。
また、様々な講演会等を計画されているそうです(次回は11月30日(月)に越智隆雄さん(衆議院議員)による「都市農業の役割と基本法制定」研究会を開催予定)。
CSAの取組がますます広がっていくことを期待したいと思います。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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