もやもやフィールドワーク(報告と対話編)第9回

 2015年12月17日(木)の終業後は「芝の家」へ。
 港区芝地区総合支所が慶應義塾大学と協働で運営している交流の場(まちの居場所)です。
 この日の19時から開催されたのは、「東京迂回路研究 もやもやフィールドワーク(報告と対話編)第9回」。
 主催は東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人「多様性と境界に関する対話と表現の研究所」です。
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 「東京迂回路研究」とは、対話と表現を通じたゆるやかなネットワーク作り等を通じて新たな「迂回路」(diversion)を見出していこうというもの。
 「もやもやフィールドワーク」とは、ケアに関わる団体等を訪問し聞取り等を行 う「調査編」、その調査で得られた成果を参加者と共有し考える「報告と対話編」、ゲスト研究者を招いて理論的な考察を深める「分析編」からなり、2014年から進められているそうです。
 また、「多様性と境界に関する対話と表現の研究所(diversion)」とは、社会における人々の「多様性」と「境界」に関する諸問題に対し、調査・研究・対話を通じて“生き抜くための技法”をさぐることをめざして2013年11月に設立(2014年6月にNPO法人化)された団体とのこと。
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 板の間に置かれたテーブル(ちゃぶ台)を囲むように参加者が座っています。
 前半は、「閉じながら開かれる場-ふわカフェの実践から」と題した報告。
 最初の報告者は、同研究所代表・長津結一郎さん(慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所研究員、東京家政大学非常勤講師)です(文責・中田)。
151218_3_convert_20151218071059.jpg 「もやもやフィールドワークは、これからの社会を生き抜いて行くための迂回路を探していこうとするもの。第0回から数えて10回目となる。
 本年5月、国際基督教大学ジェンダー研究センター(東京・三鷹市)を訪問して、「ふわカフェ」 についてインタビューを行った。
 これは、ジェンダーやセクシュアリティに関して“ふわっと”話せる場として、2012年12月以降、ほぼ月1回のペースで開催されているもの」
 この日は、国際基督教大で「ふわカフェ」を運営されている方も参加されていました。
 「ふわカフェでは、開始前にグランドルール(今日のお約束)を共有。今日のお話はここだけの話、話したくないことは話さない、など。
 ふわっとした状態を大事にしつつ対話を重ねるうちに参加者には次第に自信のようなものができてきて、「少し芯のある<ふわっ>」みたいな状況になっていくと聞いたのが印象に残っている」
 続いて同研究所の三宅博子さんから、9月に芝の家で開催された「出張ふわカフェ」の様子について報告がありました。
151218_4_convert_20151218071125.jpg 「まず印象に残ったのは、安心して話せる場作りに綿密に配慮されていること。仮名での参加申し込みでも可とし、外から見えない工夫も。
 テーマは『力 ミングアウト』だったが、ジェンダーヤセクシュアリティのことに限らず、自己を規定するアイデンティティをめぐる語りにくい問題について、多様な形かたちで語られたと思う」
 最後に再び長津さんから、
 「今後に向けては、自分のままでいられ、曖昧な発言を守ることができ、クローズでありながら普遍的な問いを提起できる(閉じながら開かれている)場というものを模索していきたい」と結ばれました。
 後半は、「安全な場所はどこにあるのか」をテーマにした哲学カフェ。
 ファシリテータの井尻貴子さん(同研究所)からは 「哲学者になった気分で問いを出し合い、話し合っていきたい。結論を出すことが目的ではない」とされ、まず、「皆さんにとって安全な場所とは、どこでしょうか」との問いかけ。
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 参加者からは、
 「自宅の自分の部屋にいるとほっとする」「誰も知人がいない大都会や海外に行った時に安心を感じる」「自分にとって安全な場所のイメージは、崖の上にあるブラックジャックの家(安全ではないのでは、との意見も)」等の発言。
 ファシリテータの方は、誰かが発言した後は、その内容をそれ以前の発言と関連付け、時には自分の意見や感想も交えつつサマライズした上で、次の人の発言を促します。
 ファシリテータの役割(手法)も勉強になった次第。
 参加者の一人から「安全な場所と安心な場所は違うのでは」との問題提起も。
 これに対しては「安全は科学的、客観的に判断されるが安心は主観。だから安全であっても安心できないことがある」 「逆に建築現場でつける命綱など、安心できない(怖いのは変わらない)が安全ということもある」等の発言。
 さらに、「そもそも、何からの安心、安全を論じているのか」との問いかけも。
 「問題は差別ではないか」「マイノリティだから直ちに問題になるということではなく、マイノリティを否定的な価値感でジャッジすることが問題」等の意見。
 ふわカフェを主催されている方からは「マイノリティに対する差別等の問題に限らず、マイノリティでなくとも話せないことはたくさんある」といった感想も出されました。
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 話は尽きませんが、結論は出さないという当初の予定通り21時に閉会。
 今まで考えたことのないテーマについて、色々と考えることができた貴重な場となりました。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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One Reply to “もやもやフィールドワーク(報告と対話編)第9回”

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    ふわカフェは、plum villageのプラクティスにある、ダルマシェアのような感じですね。後半のお話も、安心、安全は心の問題が大きいのかなと思いました。

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