2016年1月16日(土)。この日も冬の日が眩しいほどの好天に恵まれました。
自宅からほど近い東京・小平へ。
10時過ぎに西武拝島線・東大和駅で下車すると、偶然、知人と一緒に(被災地の酒蔵を支援する会でお世話になった方。新婚です)。
青梅街道に沿って10分ほど歩くと、立派なシラカシの高垣。似顔絵入りの「にごりや農園」の幟が立てられています。
門の前で江戸東京野菜コンシェルジュの田代由紀子さん(野菜ソムリエ)が出迎えて下さり、敷地内にある農産加工・体験施設に案内して下さいました。
この日は、にごりや農園さん主催による「東京ウド収穫体験会」です。
念願だった東京ウド(独活)の生産現場を、ついに見ることができます。
参加者は13名。
自己紹介によると、野菜や農業関係に携わっておられる方や飲食店の方など。女性の方が多数です。
汚れてもいい服に着替えた後、ご主人の小野義雄さんと息子さんが案内して下さいました。
にごりや農園は、ウドなど野菜や果実の栽培と直売、漬物、ジャム、シフォンケーキ等の加工品の製造販売をされているそうです。
ハウスの前の地面に、1m四方ほどのトタン板が置かれています。この地下に、ウドの室(むろ。地下の栽培施設)があるとは、想像もできません。
にごりや農園には、5つのウド室があるとのこと。
小野さんが置かれていたハシゴを立てると、なかなかの高さです。
トタン板の蓋を開けると見えてきた竪穴に、このハシゴを入れていくと、上部20cm程を残してすっぽりと収まりました。
小野さんが軽快に降りて行かれ、息子さんが収穫用の箱や道具をロープで吊るして下ろします。
いよいよ室の見学と収穫体験。2グループに分かれ、前半の人たちがハシゴを降りていきます。
前半グループ全員が降りたところで、フタをし、ムシロもかけます。
ウドは、わずかな光で黄緑色に変色するそうで、そうなると商品価値が低下するため、生産者の中には暗闇で作業される方もおられるとのこと。見学と収穫体験までさせて下さる「にごりや農園」さんは有難い存在です。
さて、後半グループは、まず、農場内を見学させて頂きました。
一つのハウスの中には、掘り出されたウドの根が積まれています。群馬県等で栽培したウドの根を輸送して室に植え付け、茎の部分を収穫するのですが、収穫後の根は廃棄処分となるそうです。
なかなか膨大な量で、これを室に出し入れするだけでも相当の重労働と思われます。
なお、量が多い場合は、器具を使って出し入れするとのこと。
いよいよ、後半グループが室に入る順番が回ってきました。
覗き込んでみると、高い、狭い、暗い(恐怖!)。覚悟を決めて(オーバーですね)恐る恐るハシゴを降りて行きました。上と下でハシゴを押さえて下さっているのですが、グラグラします。
降りていくに従い、温度がぐんと上がるのが分かりました。小さな電燈が灯されています。
ハシゴを下りた竪穴の四方に横穴(ムロ)が掘られています。そこに、ほのかな灯りに照らされた真っ白いたくさんのウド!
話に聞いたり、写真は何度もみたりしていましたが、実際に自分の目で見ると、何とも言えない幻想的な美しさです。
小野さんが、ナイフで収穫してみせて下さいました。
そして、いよいよ収穫体験。
鮮度保持のために根の部分(石突き)を少し残すようにするのですが、地上からは見えない上に硬いため、なかなか難しいです。
地上に戻ります。見上げるとハシゴの上に青空。
息子さんがヒモを下ろし、ウドを収穫した木箱を吊り上げました。
最初の加工・体験施設に戻ります。
改めて敷地内をみると、ここにも高いシラカシの生垣。暴風のためで、「かしぐね」と呼ぶそうです。
知人から譲られたというクジャクが一羽。道路に面した部分には直売スタンドも設けられていました。
奥さまの小野久枝さんが料理を準備して下さっていました。栄養士の資格をお持ちで、料理コンクールで入賞されたとこともあるそうです。
献立の内容を説明して下さいました。全てにウドを使っているそうです。
手前の長い皿は、左からウドの酢醤油漬け、胡麻和え、オータムポエムとのニンニク炒め、甘酢漬、煮浸し。
汁ものは、練った小麦粉の団子が入った煮団子。コンニャクも手作りとのこと。
ローストビーフには生のウドを巻いて頂きます。グラタンは、ホワイトソースではなくカリフラワーのピューレ仕立て。
いなりずしにもウドが入っています。
デザートにはブルーベーリーとウドのコンポート。ちなみに小平は、日本におけるブルーベリー栽培の発祥の地だそうです。
頂いたお茶が香ばしいと思ったら、ゴボウ茶でした。
最後に、収穫させて頂いたウドをお土産に持たせて下さいました。「大江戸美人」というブランドが書かれた鮮度保持フィルムに包んで下さっています。
ウド尽くしのランチを堪能、お土産まで頂き(ウドの醤油漬けも求めさせて頂きました。)、豊かな気持ちで駅に向かいました。
にごりや農園は住宅地に囲まれ、西武拝島線がすぐ近くを通っているという立地。その都市部の農家の地下に、幻想的なウドの室があるとは想像もつきません。
大変、貴重な体験をさせて頂きました。
小野さんご一家の皆さま、コーディネートして下さった田代さん、有難うございました。
にごりや農園では、ウドの収穫体験会だけではなく、1年を通じて様々な体験会等を開催しているそうです。例えば柏餅づくりでは、柏の葉を採りに行くことから始めるとのこと(売られている柏餅の柏の葉は、実は輸入品が多いのです)。
貴重な都市部の中での農業・料理体験は、随時、ホームページで告知されます。
関心を持たれた方は参加してみていかがでしょうか。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
→プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなったことから、現在、移行作業中です。
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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