◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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「GDPに占める農林水産業のシェアについて」
日本経済に占める農林水産業の地位が低下してきていることについては、本メルマガ No.84(2015年12月25日)でも紹介しましたが、今回は改めて経済面における農林水産業の地位について取り上げます。
日本のGDP(国内総生産)に占める農林水産業のシェアは、1.2%に過ぎません(2014年)。
これをもって日本農業はすでに壊滅状況にあるとか、経済的にほとんど意味のない産業である等と決めつける乱暴な議論がありますが、これは以下で述べる3つの点で誤っています。
1つめは国際比較の観点からです。
先進国においては、GDPに占める農林水産業のシェアは押しなべて1%程度です。農産物の大輸出国であるアメリカでさえ1.4%。しかしこの数字をもって、アメリカにとって農林水産業が重要な産業ではないと言うアメリカ人がいるとは、聞いたことがありません。
2つめは、農林水産業には関連産業が多いということ。
農林水産業は、いわば国内産業の最も基盤を成す産業であって、非常に幅広い関連産業を支えています。例えば食料品製造業だけでも GDPの2.7%のシェアを有しています。なお、食料品製造業に用いられている原材料の7割は国産の農林水産物です。
ちなみに食料品小売業や外食産業まで含めると、全GDPの約1割になります。
3つめは、全国平均の議論はあまり意味がないということ。
GDPに占める農林水産業のシェアは、全国平均では前述したとおり1.2%ですが、北海道・東北では2.9%、九州では2.1%%と、全国平均の倍以上のウェイトを有しています。
ちなみに、これに食料品製造業を足し上げると、全国平均では3.9%であるのに対し北海道・東北では5.9%、九州は6.0%となります。
もとより、農林水産業は経済的な指標では捉えきれない多面的な役割(国土・環境保全、景観形成、地域社会の維持等)を有していることも考慮配慮する必要があります。
さて、熊本県についてみると、県内総生産に占める農林水産業の割合は3.3%、これに食料品製造業を加えると5.9%となります。
熊本は、文字通り「食の宝庫」なのです。
[出典、参考資料等]
内閣府「県民経済計算」(経済活動別県内総生産)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h24.html
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
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