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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信− ◇◆◇
No.94; 2016.5/21(土)[和暦 卯月十五日]発行
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卯月(うづき)も半ば、暦は小満(しょうまん)。
陽気が良くなり万物の成長する気が天地に満ち満ちてくる季節。早く
も紫陽花も咲き始めました。
しかし、地震で避難されている方々には暑くて過酷な時期になります。
まずは余震が終息することを祈りたいと思います。
時の流れを体感するため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と十五
日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は卯月十五日の配
信です。
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◆ F.M.豆知識
食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、
あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ
ていきます。
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「GDPに占める農林水産業のシェアについて」
日本経済に占める農林水産業の地位が低下してきていることについて
は、本メルマガ No.84(2015年12月25日)でも紹介しましたが、今回は
改めて経済面における農林水産業の地位について取り上げます。
日本のGDP(国内総生産)に占める農林水産業のシェアは、1.2%に過ぎ
ません(2014年)。
これをもって日本農業はすでに壊滅状況にあるとか、経済的にほとん
ど意味のない産業である等と決めつける乱暴な議論がありますが、これ
は以下で述べる3つの点で誤っています。
1つめは国際比較の観点からです。
先進国においては、GDPに占める農林水産業のシェアは押しなべて1%
程度です。農産物の大輸出国であるアメリカでさえ1.4%。しかしこの数
字をもって、アメリカにとって農林水産業が重要な産業ではないと言う
アメリカ人がいるとは、聞いたことがありません。
2つめは、農林水産業には関連産業が多いということ。
農林水産業は、いわば国内産業の最も基盤を成す産業であって、非常
に幅広い関連産業を支えています。例えば食料品製造業だけでも GDPの
2.7%のシェアを有しています。なお、食料品製造業に用いられている原
材料の7割は国産の農林水産物です。
ちなみに食料品小売業や外食産業まで含めると、全GDPの約1割になり
ます。
3つめは、全国平均の議論はあまり意味がないということ。
GDPに占める農林水産業のシェアは、全国平均では前述したとおり1.2
%ですが、北海道・東北では2.9%、九州では2.1%%と、全国平均の倍以
上のウェイトを有しています。
ちなみに、これに食料品製造業を足し上げると、全国平均では3.9%で
あるのに対し北海道・東北では5.9%、九州は6.0%となります。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/51_kenmin.pdf
もとより、農林水産業は経済的な指標では捉えきれない多面的な役割
(国土・環境保全、景観形成、地域社会の維持等)を有していることも
考慮配慮する必要があります。
さて、熊本県についてみると、県内総生産に占める農林水産業の割合
は3.3%、これに食料品製造業を加えると5.9%となります。
熊本は、文字通り「食の宝庫」なのです。
[出典、参考資料等]
内閣府「県民経済計算」(経済活動別県内総生産)
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h24.html
FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html
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◆ オーシャン・カレント −潮目を変える−
食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお
られる方達、トピックス等を紹介しています。
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「食べる通信」という“食べもの付き情報誌”があります。
農林漁家など生産者を紹介する冊子と、その方が生産した食べものが
セットで定期的に届くというものです。2013年7月、東日本大震災からの
復興を目的に創刊された「東北食べる通信」を皮切りに、その後、全国
各地の地名等を冠した「食べる通信」が続々と創刊されています(現在、
31通信)。
読んで食べて楽しむだけではなく、交流イベントや現地ツアー等も積
極的に開催されているそうです。
その「食べる通信」の熊本版が、「100年後に伝えたい食の風景」をテ
ーマに2015年11年に創刊されました(別に水俣版も創刊)。
創刊号の特集は阿蘇・産山村(うぶやまむら)のあか牛と、その生産
者の方です。阿蘇の広大な草原は自然にできたわけではなく、そこに暮
らす人が放牧等により手入れすることによって1000年以上にわたり維持
されてきたものです(本メルマガ前回号でも紹介したとおりです)。
生産者の方の思いを知った上で牛肉を頂くことで、広大な阿蘇の草原
に思いを馳せることができるたけでなく、そこに住む人の暮らしや風土、
歴史、文化までを想像することができるのです。
その後、本年4月号(vol.6)までに一番海苔(熊本市)、黒田五寸人
参(大津町)、足赤エビ(芦北漁協)、宝石とまと(氷川町)、すり身・
みりん干し(天草市)が取り上げられています。
2016年5月13日(金)、共同代表の1人である林信吾さんが南阿蘇の生
産者を訪ねられるというので同行させて頂きました。
移住者の方を含めた若い農業者の方達を中心としたグループがネギの
植えつけ作業をされていました。今回の地震で大きな被害を受けた南阿
蘇村ですが、明るく前向きに農業に取り組んでおられる姿に心励まされ
る思いでした。
『くまもと食べる通信』は、被災された方を含む生産者の方達が思い
を込めて生産された食べ物を、これからも毎月、特集記事とともに届け
てくれます。
私も早速、購読を申し込みました。
[参考]
くまもと食べる通信
日本食べる通信
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◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント
の開催情報等をお届します。
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▼ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報
○ 森の読書会 @三鷹・井の頭
(05/09)
http://food-mileage.jp/2016/05/09/
○ 銀座農業政策塾 第5期プレ講座「農的社会をひらく」 (05/14)
http://food-mileage.jp/2016/05/14/
○ 第8回 奥沢ブッククラブ(芥川『蜜柑』) (05/15)
http://food-mileage.jp/2016/05/15/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には
必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。
○ SATOYUME
GINZA march?
@プランタン銀座(5/16〜24)
日時:5月16日(月)11:00〜5月24日(火)20:00
場所:プランタン銀座(東京・中央区銀座3-2-1)
主催:Satoyume Ginza(さとゆめ 銀座店)
(詳細、お問合せ等↓ )
https://www.facebook.com/events/234171550291298/
○ 【丸太から床板つくろう】移動式製材機の講習&体験会
日時:5月22日(日)10:00〜16:30頃
場所:山梨・上野原市西原
主催:西原ifeゲストハウスしたで、Npo法人さいはら
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/589765067853674/
○ 都会の屋上で農食体験しませんか?(スカイファームクラブ)
日時:5月29日(日)15:00〜19:00
場所:ちよだプラットフォームスクウェア(東京・千代田区神田錦町)
主催:農商工連携サポートセンター
(詳細、お問合せ等↓ )
http://blog.canpan.info/noshokorenkei/archive/361
○ 「田植え in
横田農場」
日時:6月5日(日)9:30 東武東上線小川町駅集合
場所:横田農場(埼玉・比企郡小川町青山)
主催:US.Peace ファーム
(詳細、お問合せ等↓ )
http://uspeace.jp/user_data/event.php#taikenkai2
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* 今号のコツコツなぞなぞ。
「阿蘇には、よう来ると(ヨーグルト)?」
「はい、何度も来ました。1年おき位に住みたいと思っているほどです」
「ニュー・参勤(乳酸菌)たいね」
地震で一時、生産がストップしていた阿部牧場(阿蘇市)も、生産を
再開されたようです。
http://www.aso.ne.jp/abe-farm/
注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛(?)投稿中です。
https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7
* 次号No.95は、6月5日(日)[皐月朔日]の配信予定です。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて
頂いています。いつもありがとうございます。
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方
は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
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◆ 発行者:中田哲也
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/