世界農業遺産(椎葉、阿蘇)紀行 vol.1

 2016年の少し早い夏休みは、九州の2ヶ所の世界農業遺産を訪ねてきました。
 世界農業遺産とは、伝統的な農林水産業と文化や生物多様性等が一体となったシステムとして国連食糧農業機関(FAO)が認定するもので、現在、世界では15ヶ国36地域、日本では8地域が認定されています。
 そのうち今回訪ねたのは、宮崎の高千穂郷・椎葉山地域(2015年認定)と、熊本・阿蘇地域(2013年認定)です。
 きっかけは、6月22日(水)に東京・西日暮里の From a & e café (フロマエカフェ)で開催されたイベントでした。
 農林水産省・世界農業遺産等専門家会議のメンバーでもある大和田順子さん(一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス共同代表)から、宮崎・椎葉村における焼き畑の話と、今年は8月3日(水)に火入れを予定していることを伺い、お願いして参加させて頂くことにしたのです。
 8月2日(火)12時15分羽田発のSNA(ソラシドエア)013便。
 5月の熊本訪問時とは異なり雲が厚く、阿蘇上空に来ても地上の様子は伺えません。
 空港に向けて次第に高度を下げていくと、5月よりは少なくなっているものの、被災家屋の屋根にかけられたブルーシートが依然として目立ちます。
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 定刻から少々遅れ、12時30分頃に阿蘇熊本空港に到着。
 予約してあったOレンタカーに電話すると、すぐに迎えにきてくれました。
 スズキ・スイフトは初めて運転する車種。もともと運転は得意でも好きでもなく、不安を覚えながら出発。
 最初の目的地は熊本・山都町なのですが、ナビの設定がおかしく1時間ほどのロス。熊本地震の影響で今も復旧できていない道路があります。西原村まで戻り、グリーンロードで南阿蘇へ。
 山都町二瀬本に着いたのは16時30分頃。遅くなってしまいました。
 トマト農家の橋本龍生さんに電話をすると、迎えにきて下さいました。
 新規就農者を含む若手の農業者の方達をメンバーとする阿蘇草原研究会を主宰されている方。5月に南阿蘇でネギの定植作業を見学させて頂いた際に、ご挨拶させて頂いていたのです。
 さらに7月9日(土)の有志による熊本応援食事会の際には、「くまもと食べる通信」の林信吾さんに手配して頂き、橋本さんのトマトも献立に加えさせて頂いた経緯もあります。
 当日のパンフレットをお渡しし、トマトは参加者にも好評だった旨を報告。
 その後、ハウスを見学させて頂きました。
 阿蘇の草資源を使った堆肥を使われているそうで、将来的にはブランド化も構想されているそうです。
 トマトを一箱、持ってきて下さいました。
 熟れ過ぎてJA出荷できないものだからと、代金は受け取って下さいません。有難うございました。
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 最初の目的を達し、その後は、ひたすら国道265号線を南下。
 阿蘇・高森辺りから雲行きはおかしかったのですが、山都町蘇陽辺りから激しい雨に。宮崎県に入るとさらに雨は激しくなり、進行方向に何度も雷が落ちるのが見えました。ワイパー全開。
 これでは翌日に予定されている焼き畑は延期確実と覚悟しつつ、やがて椎葉村に入りました。
 ここでは雨は落ちていません。
 しかし、国道をはずれて入ったダム湖沿いの山道は狭く、見通しも聞かず。しかも次第に暗くなってきます。
 予定より遅れていて焦りも。連絡しようとしてもスマホは圏外(宮崎県内ですが)。
 途中、休憩したダム湖沿いの道端には古いバス停の待合い小屋。なかなか風情があります。 
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 さらに、ひたすらナビ様だけを頼りに細い山道を登っていきます。心も細くなってきます。
 そして19時前、ようやく目標地であった民宿・焼畑に到着。ほっとしました。
 回りを見渡すと、重畳たる山並みです。
 ここから電話をすれば大和田さんが迎えに来てくれることになっていたのですが、圏外のまま。
 民宿の庭におられた男性(椎葉勝さんだったようです。)に尋ねると、途中まで道案内して下さいました。 
 
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 ようやく、大和田さんが1週間借りておられる民家に到着。
 地元の方と、大和田さんご夫妻、椎葉の地域おこしを支援されている(株)さとゆめの皆さんがバーベキューを囲んでいる輪に、加えて頂きました。
 地元産の猪肉は、柔らかくて美味です。
 ビールや焼酎、日本酒を頂きながらの懇談。昼間はあんなに暑かったのに、標高900mのこの地の涼しさは別世界です。
 電灯には多くの虫たち。クワガタムシも飛んで来ました。
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 聞くと、豪雨だった五ヶ瀬とは山一つながら天気は全然違っていたようで、この日は雨は降らなかったそうです。
 翌日は予定通り焼畑の火入れが行われるとのこと。天候次第の焼畑ですが、何ともラッキーです。
 就寝しようと電灯を消し、ふと見上げると、何と降るような満天の星空です。
 標高が高く街灯も一切ないため、いっそう鮮やかです。
 いよいよ翌日は火入れを見学できると思って高まる胸を抱きつつ、これも大和田さんが準備して下さっていた布団へ(続く)。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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